筆者は以前、大学院生として、英国に滞在していた。
日々の勉強は忙しく、余暇のための時間は限られていた。しかし、自分が興味を持っているものについては、何とか時間を見つけて楽しんでいた。
そうした中に、庭園の散策が挙げられる。
筆者は昔から、自然が好きだ。植物がある環境にいると、ホッとする。そのため、庭園も好みである。
ただし、筆者は、ヨーロッパによくある、対照的で人工的な造形の庭はあまり好きではない。イギリスでよく見られる庭のように、人間が手を加えすぎずに、自然な形を活かした庭が好きだ。そして、人間だけでなく、そこを訪れる生き物たちにも優しい庭(wildlife garden)が好みである。
今回の記事は、イギリスの庭園について書くことにする。もっとも、これまでに数えきれないほどの庭を訪れたので、その全てを記事で紹介することは難しい。そこで、一部の庭に限定して、紹介する。
まずは、リージェンツ・パークについて書く。
リージェンツ・パークは、ロンドンの北部にある公園で、市民の憩いの場となっている。敷地面積が広く、気品あふれるガーデンに加えて、周囲を流れる水路や広大な芝生等もある。この場所と周囲の地域は、シャーロック・ホームズや101匹のワンちゃん(アメリカの物語と思っている人がいるかもしれないが、この物語の舞台はイギリス)と関連があり、シートン動物記のシートンも英国に滞在中、この公園にある動物園をよく訪れていたという。
この公園には、美しいバラの庭園がある。他に、日本庭園等もあるが、この公園に関しては、筆者はより自然な趣の場所を好む。
例えば、春に咲く水仙の花を眺めることは楽しい。イギリスの水仙は、周囲の風景と見事に適合していると思う。
なお、この公園は、春になると満開の桜が咲く。イギリスに留学中、この風景を見て、日本のことを思い出していた。
次に、シェイクスピアの生家にある、庭園を紹介したい。
シェイクスピアの故郷である、ストラトフォード・アポン・エイヴォンという街には、シェイクスピアが生まれた家が保存されている。そして、この場所には博物館も併設されていて、シェイクスピアと関連する様々なテーマについて学ぶことができる。留学中、この場所を様々な友人たちと訪れた。
この敷地内には、美しい庭園が整備されている。以前、庭園の近くの開けた場所で、演劇が行われている場面を見たことがあった。緑に囲まれた環境で、シェイクスピアの演劇について思いを馳せるのも楽しい。
それから、有名なキュー・ガーデンも紹介したい。
ロンドンの郊外にある、広大な敷地面積を持つキュー・ガーデンは、世界でもっとも有名な植物園だと思う。植物関連の膨大な研究資料があり、研究施設としても有名である。
筆者はこの場所を友人たちと訪れて、温室なども含めてあちこちを見学した。なぜか、敷地内には日本庭園もあった。日帰りでは回りきれないくらい、見どころはたくさんあった。
そして、筆者が学んでいた大学の付属庭園も紹介したい。
この庭園には、ハーブなどの花も植えてあるが、筆者は緑の風景を好む。林の中を歩いていると、「こういう場所で、詩人は詩を読むのだろうな」と自然と思えてくる。
そして、芝生の美しさと、伝統的な建物の組み合わせも見事である。筆者はこの場所で、一緒に来ていた友人たちと寝転んだ。目の前には、美しい青空が、どこまでも広がっていた。
それと、筆者が学んでいた大学のキャンパスにおける、白薔薇の庭園も紹介する。
伝統的な建物に、白いバラはとてもよく合っていた。勉強で疲れた心身を、これらのバラが癒してくれた。
イギリスの庭園は美しい。これは、自信を持って言うことができる。
旅行等でイギリスを訪れる際には、庭園を訪れることを是非お勧めしたい。自然を生かしたイギリスの庭園の魅力は、インターネットではなく、実際に訪れてこそ、その魅力がより深く理解できると思う。
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