オーストラリアの議会で、16歳未満の子供がSNSを利用することを禁止する法律を賛成多数で可決した。

 

筆者は、この決定はとても良いことだと思う。

 

もっとも、子供だけではなく、大人であってもSNSに過度に依存することは危険だと思うが、特に子供では影響が強いことが推測されるので、この決定は妥当だと思う。

 

このことについて、子供が情報を得る機会が制限されるのではないかと、懸念する人がいるかもしれない。

 

しかし、報道を参考にすると、規制するのはSNSの利用であり、インターネットの使用を禁じている訳ではない。そのため、例えば専門組織のガイドライン等の情報を閲覧することには何の問題もなく、重要な情報に接する機会はちゃんと確保されていることになる。また、健康や教育に役立つ可能性があると考えられる一部のSNSや機能には、アクセス可能のようだ。

 

今後は、日本を含めた世界各国で、SNSの利用に関して議論が進められていくと思う。

 

個人的な意見だが、日本でも、子供におけるSNSの影響はもっと議論されるべきだと思う。SNSの過度な利用を抑制できれば、学習や健康などの様々な点で、良い影響が期待される。

 

例えば、筆者はあまり受験、受験と言いたくはないのだが、SNSの利用を制限することで、受験勉強にも良い影響があるもしれない。

 

分かりやすい例として、現役の東大生のライターである布瀬川氏が、受験とSNSの関係について書いている(<LINEでもXでもInstagramでもない…東大生が「受験生は絶対入れるな」という"バカになるアプリ"の名前 眺めているだけで時間が溶け、成績がどんどん下がる>PRESIDENT Online)。

 

布瀬川氏は、東大生の30人を対象にインタビューを行い、スマホと受験について質問をしたという。

 

その結果、スマホに入れるべきではないというアプリについて、SNSが多数を占めたらしい。

 

以下、関連する内容について、一部引用する。

 

 

<主な意見として「自分よりもすごい人を見ると自己嫌悪になってやる気がなくなってしまう」「口喧嘩が発生しやすいコミュニティもあり、無駄に感情的になってしまう」「通知が気になってスマホから目を離せなくなってしまう」「投稿を伸ばすことに夢中になると、勉強よりもSNSを利用することに熱中してしまう危険性がある」といったものがありました>

 

 

また、SNSのアプリを削除したところ、成績が上がったという人の例について、報告している。

 

 

<現在法学部に通う彼は、高校2年生の1月にスマホからLINEとInstagramを消去した結果、2月の東大同日模試から同年6月の東進ハイスクール主催の東大模試までの4カ月間で120点も点数が伸びたそうです。判定もC判定(合格率50%前後)からA判定(同80%以上)まで急上昇し、「SNSを削除してよかった」と語っていました>

 

 

この記事を書いた布瀬川氏自身も、受験生の時にSNSのアプリを消して、東大の英語の成績が30点も増えたことを経験しているという。

 

そして、スマホを勉強に利用するかということについても、大半の人が「積極的には使わない方が良い」と答えたらしい。

 

 

<その理由として、「科学的な研究データとして、電子スクリーンによる読解よりも紙媒体の読解の理解度が高いことが示されているため、できれば紙媒体にこだわったほうが良い」「本番は結局紙とペンだけで勝負をするため、本番に近い環境で練習をするのであれば、受験本番に近づくほどデジタルデバイスの活用頻度は減らすべき」といった意見がありました>

 

 

こうした意見について、妥当だと思う。関連する研究や専門家の意見を参考にすれば、電子機器の過度な使用は学習に悪影響を及ぼすことが考えられるので、従来型の勉強の方が有効である可能性は高い。

 

また、上記の記事の中でも言及されているが(記事の中にリンクがある)、文部科学省の調査でも、スマホの利用時間が長いと、全国学力テストでの各教科の平均正答率が低くなる傾向があったという。

 

このように、SNS、あるいはスマホ自体の過度の利用を抑制することで、受験にも良い影響があることが期待される。そして、関連する研究を参考にすると、受験勉強に限らず、他の面(例えば睡眠)等でも、役に立つことが考えられる。

 

しかし、詳しい理由も告げずに、子供たちにただスマホの使用を抑えるように言っても、効果はあまり期待できないかもしれない。

 

まず、大人が電子機器の過剰使用による悪影響をきちんと学び、その上で子供たちに丁寧に説明することが望ましいと思う。そうすることで、家庭内で意識の共有ができるようになるだろう。

 

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