今後、日本の医療従事者は、英語の能力をもっと高めていく必要がある。また、医療従事者に限らず、海外で挑戦したいという意欲のある人を応援したい。

 

このような思いから、英語圏の大学の日本キャンパスで、英語教授法と関連する英語指導のコースを受講することにした。他者に英語を教えるということに関して、きちんと学んでみたかった。

 

約1年間、126時間の授業で構成される英語指導のコースが、ついに始まった。

 

学ぶ内容は様々で、どれも興味深いものだったが、特に面白いと感じた一つはfluency development(流暢性の向上)と関連する内容だった。

 

例えば、最初に受けた一連の授業では、授業の初めに毎回speed readingと関連する練習を実践していた。

 

これは、速読のための練習方法の一つである。このアプローチを、受講生自身が生徒役となって行う。毎回の結果を見て、講師が各受講生にアドバイスを行い、実際に読むスピードを上げていく練習をしていった。

 

これは、受講生(既に英語の指導者として活動、あるいは活動予定)が生徒を指導する際にも、大変参考になる教え方だと思った。

 

この練習を繰り返していく中で、驚いたことがあった。「これ以上、読む速度は上がらないだろう」と思っていた、筆者自身のreadingの速度が更に向上したのである。

 

readingは筆者の得意分野であり、例えば海外の大学院に留学する前の時点で、IELTS(イギリス英語圏の国々への留学の際に、よく用いられる試験)のreadingのスコアは最大で7.5(文部科学省による、「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」によると、英検1級に相当)に達していた。

 

イギリスの大学院に進学してからは、膨大な量の文献を読みこなしていく過程の中で、英文を読む速度は更に向上していった。

 

もう、これ以上、英文を読む速度は増えないだろうと思っていた。

 

それが、speed readingの練習を繰り返していく中で、英文を読む能力が更に向上したのである。読む速度の変化はグラフで表されるので、分かりやすかった。

 

これは、自分自身、驚きの変化だった。

 

なお、このような方法について、関連するテキストを購入して独学をしてもある程度の効果は得られると思うが、大きな変化を得るためには、speed readingに詳しい教師から指導を受けることが望ましい。

 

なぜなら、この方法では、課題を終了させるまでにかかった時間や、問題の正解の数を参考にして教師が助言を行うのだが、これが大変参考になる。このことは、自分自身でこの方法を練習してみて、よく分かった。英語教授法を学んだ教師から指導を受けることの重要性を感じた。

 

英文を読む速度を向上させることは、大変重要である。分かりやすい例としては、大学入試における共通試験の英語問題が挙げられる。

 

例えば、新聞等で発表されている最新の問題を見ても分かるが、平均的な高校生にとっては相当にきつい量の英文を時間内に読みこなす必要がある。これは、従来型の英語の指導方法では、対応することは難しいだろう。共通試験のreadingの問題で高得点を狙うのであれば、速読の能力を高めるトレーニングを受けることが効果的だと思う。

 

英語教師の資質について、教師自身の英語力を宣伝にしているケースが多い。もちろんそれも重要だが、一番大切なことは、英語の指導方法に関する知識の有無だ。現役時代に活躍したスポーツ選手が、指導者としても有能であるとは限らないことからも分かるように、英語指導についても、学問的な裏付けのある英語教授法と関連した知識を学ぶことが望ましいと思った。

 

このコースを受講して良かったと思った。授業に参加することが、楽しく感じた。

 

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