前回の記事で、日本における高等教育の学費の値上げの問題について書いた。

 

中央教育審議会で、大学の学費を年間300万円、国立大の学費も150万円程度に将来引き上げるべきという提言があったらしい(<「国立大学費を年150万円に」提言が波紋、慶応義塾長「高度な人材育成に必要」…「低所得層が進学できない」と批判の声>読売新聞 2024年5月15日)。

 

このことと関連して、もう一つ記事を書くことにする。

 

こうした金額を見て、個人的に思ったことがある。

 

これなら、日本の大学じゃなくて、海外の大学に進学しても、費用はあまり変わらないのではないか。

 

例えば、オーストラリアの大学への進学について。

 

日本からオーストラリアの大学に進学する場合、留学関連のいくつかのサイトを見ると、近年では、年間200万円から300万円の学費になるらしい(円安等で、この金額は変わると思うが)。

 

もし、日本の大学が本当に上記のような値上げをしたら、年間の学費については、オーストラリアの大学に留学しても変わらない、あるいは留学する方が安くなる可能性もある。

 

もっとも、物価高などの影響で、日本にいるよりも、海外にいる方が生活費の負担は増える可能性が高い。

 

しかし、オーストラリアの大学は、医学部などを除き、基本的には3年間で卒業できる(入学準備としてのファウンデーションコースもあるが、直接入学であれば3年間)。

 

このことを考えると、日本の大学で4年間勉強するよりも卒業までの学費は安く抑えることができるし、生活費についても3年間の滞在の場合なら、日本で一人暮らしを4年間することと比べれば、あまり変わらない可能性がある。

 

もっとも、注意しなければならないこともある。

 

例えば、オーストラリアに限らず、海外の大学は卒業が難しいということが挙げられる(<オーストラリア大学進学 入学条件からかかる費用まで徹底解説【2024年】>海外進学のワールドアベニュー 2023年10月8日)。

 

このことは、理解できる。例えばイギリスの大学の図書館では、学部生たちも一生懸命、勉強に励んでいた。特に、試験が近くなると、空いているスペースを探すことが難しいような状態になっていたことを思い出す。課題を完成させるために、深夜まで図書館に残って勉強をしていた学生も多くいた。

 

日本人の学生は、英語や、勉強のスタイルの違いから、留学しても慣れるまでは勉強が大変だと思う。しかし、卒業できれば、語学力の獲得も含めて、様々な利点がある。日本だけでなく、海外でも働きやすくなり、国際的な人脈を築くこともできる。

 

日本の大学が、本当に上記のような値上げをするのかどうか分からない(なお、学部の学費が上がるのであれば、大学院の学費も上がるだろう)。しかし、将来、本当に年間の学費が300万円くらいかかる状況になったら、留学という選択肢の方が良い点が多いかもしれない。

 

日本の高等教育の発展のために、日本の大学には頑張ってほしいと思うが、もし本当に学費の大幅な値上げが行われたら、留学の方が良いことが多くなる可能性がある。このことをよく考えて、大学側は学費の検討をしてほしいと思う。

 

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