現代は、高齢になっても元気な人が増え、活躍の機会が広がっていると言われる。
しかし、江戸時代に生きた人々のことを知ると、驚かされる。江戸時代には、晩年になって大きな仕事を成し遂げた人が多い。現代の人々よりも、人生を活動的に過ごしていたように思う。
例えば、日本地図を作り上げた伊能忠敬(敬称略)。
忠孝は、50歳の時に商売を引退して、江戸で様々な学問を追求した。そして幕府の依頼を受け、日本各地を歩いて測量した。その期間は、約17年間。歩いた距離は、地球一周分にも及ぶという。忠孝は73歳で亡くなり、その後は弟子の手によって地図は完成したが、晩年まで測量の旅は続けられた。
また、富嶽三十六景を描いた葛飾北斎。
世界でもっとも有名な日本人画家と言われる北斎がこの一連の作品を完成させたのは、72歳の時である。そして、この作品を完成させた後も、北斎は作品の制作を続けた。亡くなったのは、90歳だった。
他にも滝沢馬琴など、晩年になって大きな仕事を成し遂げた人は多い。
生涯現役。
この言葉は、医療が発達した現代にだけ使われる言葉ではない。
健康でないと、活躍はできない?
そう思う人には、滝沢馬琴の話をしたい。南総里見八犬伝の最終編を執筆していた頃、馬琴は両目が見えなかった。家族に手伝ってもらい、原稿の執筆を続けていた。
人間は、何歳になっても活躍できる可能性を持っている。努力と工夫により、高齢になっても活躍できることは、江戸時代の先人たちが既に証明してくれている。
もっとも、穏やかに過ごす老後も良いし、政府は年金等を充実すべきだと思うが、高齢になっても活躍を続けるという選択肢も素晴らしいと思う。
人の可能性は無限であり、年齢には影響されない。このことは、年齢による差別をなくすという点でも、重要だと思う。年齢や性別などで、人の可能性を判断しようとすることは避けるべきであり、意欲のある人に活躍の機会を提供できる社会が望ましい。
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