現代社会では、新しい技術の開発によって、生活のスタイルなどが変化している。その変化は、かつての時代よりも早い。
新しい技術には、良し悪しがある。そして、新しいものが必ずしも、良いという訳ではない。その評価は、慎重に行うべきだろう。
しかし、新しい時代の技術について、便利な側面もある。
例えば、筆者は時々、YouTubeに投稿されている、ある映像を眺めることがある。そんなにしょっちゅう見ている訳ではなく、数年に一回くらいの頻度だが、見ると必ず励まされる。そして、懐かしさに心が包まれる。
それは、大学院の卒業式の動画である。
筆者が卒業した英国の大学(レスター大学)は、YouTubeにおける大学の公式チャンネルで、卒業式の映像を公開している。そうした映像の中に、筆者が参加した卒業式もある。
荘厳なパイプオルガンの響きから始まり、様々な楽器による生演奏が奏でられる。そして、金属製の杖や鎚を掲げた人物に先導され、アカデミックな正装に身を包んだ関係者が壇上に上がる。これぞアカデミックという、伝統的な精神に溢れた光景である。
そして、ステージの下のフロアには、アカデミック・ガウンに身を包んだ卒業生たちが笑顔で控えている。
大学の代表者の挨拶には、ちょっとした冗談が織り込まれている。その場にいる卒業生たちは、クスリと笑う。ユーモアを大切にしている、イギリスらしい雰囲気だ。
卒業生たちは、順番に壇上に上がる。そして、一人一人名前を読み上げられ、壇上の代表者と握手や短い言葉を交わす。
そのため、卒業式は時間がかかる。そこで、数日にわたって分割して開催されるのだが、卒業生としては嬉しい。卒業生全員が、主人公になれる瞬間が用意されているのだ。
筆者は、三回ほど動画に映し出されている。二回はフロアに座っている時、一回は壇上に上がり、名前を呼ばれた後、代表者と握手をしている場面だ。壇上の映像では、筆者がアップで映し出されているので、この当時のコンディション(久しぶりに日本に戻り、美味しい日本食をたらふく食べ、顔がパンパンに膨れている状態)が分かる映像になっている(ちょっと恥ずかしいので、この記事にリンクは貼らない)。
多くの卒業生は、片手で握手をしているが、筆者は両手で握手をして、会釈もしている。これは文化や習慣の違いだが、筆者としては片手の握手は「軽く」感じてしまい、どうしても両手の握手をしたかった。
卒業式の光景について、もちろん自分でも覚えている。特に、ステージから降りる前、顔を上げてフロアを見た時のことはよく覚えている。そこにいる、大勢の卒業生たちを見た時、深い達成感に包まれた。
この時の思い出と関連するものについて、例えば卒業式と関連する写真も、たくさん残っている。以下はその一つであり、卒業式の後、図書館内で撮影したものである。
数ある写真の中には、卒業式の当日に業者によって撮影され、後に日本に郵送された、額縁入りの大きな写真も含まれている。
しかし、動画でもこの時の映像が残っていることは嬉しい。あの瞬間を、いつでも鮮明に思い出すことができる。
このように、様々な形で、思い出が残っているのは嬉しい。
筆者が学位を取得したpain managementのコースについて、レスター大学では現在、運営されていない。大学院のコースの改変に伴い、閉じられたのだと思われる。慢性痛の分野で国際的に有名なPaul Watson先生を含めて、優秀な教授陣が集まった素晴らしいコースだったので、閉鎖は残念だ。
このことには、寂しさを感じる。もちろん、学位の証明書等は手元にあるし、思い出は変わらず心の中にあるが、それでも寂しさはある。
筆者が学んだpain managementのコースに関する個人的な思い出について、例えばレスター大学日本事務局のウエブサイト(筆者は体験記を書いている)にもあるが、そちらは文章であり、動画とは異なる。もちろん文章も良いが、動画には別の良さがある。
卒業式の動画は、今後も残してほしい。コースに関わる思い出を鮮明に蘇らせることのできる機会を、残してほしい。動画を見ることにより、あの頃の日々を振り返り、自分のやる気を引き出してくれるきっかけにしていきたい。
(この記事について、当ブログの管理人が運営しているサイトにて、管理人自身が執筆した記事を見直して修正を加えたものです。https://www.tclassroom.jp)