ゴールデンウイークの休日に、自転車で地元の公園に行った時、そこにあるものが設置されていることに気づいた。
それは、3人掛けくらいの長さのベンチだった。
公園にベンチがあること自体は、珍しくもないだろう。しかし、そのベンチには、ある特徴があった。
ベンチの上に、間隔を空けて、仕切りが二つ付いている。
これを見て、彼はうんざりした。「とうとう、地元にも、こういうベンチが設置されるようになってしまったのか。他者を思いやる気持ちが減ってしまっている」と、悲しくなった。
この種のベンチについて、初めて見かけたのは、東京の公園だった。その時も、とても残念な気持ちになった。
この仕切りは、何のために置かれているか、ご存じだろうか。
ベンチを誰かが一人で占領しないように、仕切りを作っているのか?
違うだろう。これは、ホームレスの方が、ベンチの上で横になれないようにする仕切りだと思われる。
仕切りがあると、体を横にすることが難しくなる。この種の設備について、以前、海外に関する本で、読んだことがあった。
地面の上に直に寝ると、体温が奪われ、凍死の危険性さえあるということを、何かで読んだことがある。そういう状況を避けるために、ベンチの上で寝るという手段があるのだと思われる。
しかし、こういうベンチを設置して、追い出されたホームレスの人たちは、どこで寝れば良いのだろうか。例えば、避難施設を用意して、そのことについて多くの人々に周知できるような仕組みがあれば良いが、恐らくそういう状況にはなっていないのだろう。ただ、排除するだけである。
血も涙もないような、このような対応に、怒りを感じる。
海外から見た、日本人の印象について、本で読んだことがある。
真面目?礼儀正しい?
そういう側面もあると思うが、その本に書かれていてショックだったのが、「残酷」という印象である。
残念だが、弱者に対する一部の日本人の態度は、このような印象に該当するかもしれない。
例えば、以前、超大型台風が日本を通過した際、ホームレスの方が自治体の施設に避難しようとしたところ、行政の職員から断られたというニュースがあった。
この件は、海外でも、ニュースになった。恐らくは、「日本人は残酷」という印象が、強まる結果になったと思う。実際、「これがオリンピックを開催しようという国なのか?」といった反応があったことが、海外のニュースで報じられていた(日本のニュースだけ見ていると、こういうことには気づきにくい)。
もっとも、日本にも、困っている人への酷い対応が問題だと感じている人はいるらしい。このことは、心強く感じる。
例えば、上記のような、仕切りがあるベンチを排除した例もあるという(「排除ベンチ」の排除に初めて成功…野宿者支援に取り組む市議が平塚駅前ベンチ改修に込めた思いは>東京新聞 2023年9月4日配信)。
困っている人に対して、優しい社会であってほしいと思う。「困った時はお互い様」という言葉を、近年の日本人は忘れつつあるのではないか。困っている人を見捨てずに、助け合い、再起を支援するような社会になることを、目指すべきだと思う。そして、そういう姿勢こそが、経済的な低迷が続く、日本の復活にも繋がっているように思う。
(この記事について、当ブログの管理人が運営しているサイトにて、管理人自身が執筆した記事を見直して修正を加えたものです。https://www.tclassroom.jp)