NHKの朝ドラである「虎に翼」が、好評だ。筆者の周囲でも、気に入っている人が多い。

 

性別による役割を押し付けられるのではなく、男女ともに自らが望んだ道で活躍できることが望ましい。そして、そのための機会は平等であるべきだ。

 

ドラマの時代設定は、昭和初期。この頃は、まだ、男女平等の考え方は今よりも広まっていなかった(もっとも、今の時代でも、他の先進国と比べて、日本は男女平等が進んでいないが…)。

 

しかし、男女平等の考え方について、江戸時代に既に提唱した人がいたことを、ご存じだろうか。

 

その思想は、鈴木頂行(敬称略)によって、本に記されている。

 

以下に、歴史に関する本(<家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊>磯田道史 著、PHP新書)より、一部の内容を引用してみたい。

 

 

<鈴木頂行の『家宝伝』は近年、研究も現れています(桐原光明『「無題」改め「家宝伝」の研究』)。)江戸時代後期の農政家・二宮尊徳に影響を与えたともいわれるもので、鈴木頂行は、「男女に役割がある」ことに疑問を投げかけ、「人間は平等であり、助け合いで世の中は成り立つ」という考え方を提示しています>

 

 

しかし、こうした思想は、秩序(安定した支配)を重視した江戸幕府からは、警戒されたと思われる。何故なら、幕府の支配には、縦の関係、すなわち上下関係を基礎にした思想が含まれていたからだ。以下に、再び上記の本から引用する。

 

 

<「助け合い」は、人々がフラットで横に繋がった世界で成立するものです。上下関係に立脚する徳川の朱子学の世界では、男女の平等も、武士と民の平等も表立っては語られにくい思想です>

 

 

江戸時代に男女平等の思想を唱えて本を書いた鈴木頂行は、強い意志を持っていたのだろう。本に書けば、様々な人々によって読まれて、幕府の役人から睨まれる可能性がある。それでも、敢えて自身の考えを書き残したのだと思う。

 

世の中を変えるためには、小さな積み重ねが必要である。そして、そうした積み重ねはやがて大きなうねりになり、社会に影響を及ぼすようになる。

 

しかし、初期の頃の努力は、辛いものになることが多いだろう。その社会の「常識」に、挑戦するのである。受け入れられず、非難されることは多いと思う。

 

どの分野でも同じだが、先駆者の努力と勇気は大変なものだと思う。結果が伴わないこともあるだろう。しかし、それでも敢えて挑戦を続ける姿勢は、素晴らしいと思う。

 

(この記事について、当ブログの管理人が運営しているサイトにて、管理人自身が執筆した記事を見直して修正を加えたものです。https://www.tclassroom.jp