韓国の出生率が、驚くほどの速度で低下し続け、世界で最低の水準になっているとBBCニュースが伝えた(<韓国の女性たちはなぜ子供を持たないのか 世界最低水準の出生率、さらに低下>BBC NEWS JAPAN 2024年3月5日、英文記事はWhy South Korean women aren’t having babies)。
韓国の出生率の低下については、他のニュースでも見たことがある。本当に、深刻な状況らしい。
2023年の韓国の出生率は、0.72。この数字は、出生率が低いと言われている日本の約1.20と比べても、半分くらいの数字になる。なお、人口を安定させるためには、2.1という数値が必要になるらしい。
先進国では、全体として人口の減少傾向がみられるが、そうした中でも韓国の数値は極端と言われている。
結婚をするかどうか、そして女性であれば出産をするかどうかは、男女ともに個人の自由だと思っている。しかし、あまりにも低いこの数値については、分析する必要があると思う。
BBCの記事は、韓国の女性へのインタビューや様々なデータ等を紹介しながら、出生率の低下に影響を及ぼしていると思われる要素について考察している。
実は、こうした要素について、日本と驚くほど似ているのである。
このことは、日本も将来、韓国と似たような状況になる可能性があることを意味する。
例えば、韓国の歴代政権は、子供を持つ夫婦に様々な援助をしてきたという。毎月の補助金の支給や、住宅の補助、医療費の支援など。しかし、こうした政策は効果を発揮していない。
これは、日本の状況と似ている。日本も、経済的な支援を拡充することで出生率を高めようとしているが、韓国の状況を見ると、恐らくは上手くいかないと思う。出生率の低下は、お金の問題だけではない。
そして、労働時間の長さの問題もある。
例えば、BBCの記事の中で、インタビューの内容が書かれている(以下に、一部引用する)。
<イェジンさんは韓国で長年一般的な勤務時間となっている午前9時から午後6時まで仕事をすることになっている。しかし大抵の場合、午後8時まではオフィスを出られないし、そのうえ残業もある。帰宅して寝るまでには、掃除か運動をする時間しかないという>
日本も、規定の勤務時間が過ぎても、職場に残って残業をすることが多い。
朝早くから、夜遅くまで、長時間の仕事が連日続く。毎日の仕事をこなすだけで、精一杯になりがちだ。このような状況では、子供を持つという選択肢について、考えるだけでも憂鬱という人は多いだろう。
更に、女性に関しては、以下のような状況があるという。再び、記事から一部引用する。
<人事部で働いているという28歳の女性は、産休を取得後に退職を迫られたり、昇進対象から外されたりする人たちを見てきたと話す。この女性が、絶対に出産しないと自分自身に言い聞かせるほどの現実だった>
女性は、出産をきっかけとして、仕事のキャリアに影響が及ぶことが、今でもある。このことを考えると、子供を持つことに躊躇する気持ちに繋がるだろう。これも、日本でも似たような状況はまだ残っているのではないかと思う。
他にも、たくさんの要因が挙げられているが、いずれの問題も、日本と共通している部分がある。
出生率の激減という韓国の状況は、日本でも起こりうると思う。この状況を変えようとするのであれば、日本社会の在り方を大きく変える必要がある。負担を減らして、年齢や性別などで差別されない、もっと人々が生活しやすい社会を目指すことが必要になるだろう。
(この記事について、当ブログの管理人が運営しているサイトにて、管理人自身が執筆した記事を見直して修正を加えたものです。https://www.tclassroom.jp)