デパートのお土産店を見て回った後、彼と、カナダから来た友人夫妻は、建物の外に出た。
外は既に、暗くなり始めていた。茜色の空から、夜の闇へと空が変化している状況だった。
ちょうどその時、デパートの外では、光を発しながら、巨大なガンダムの立像が動いていた。先程は静止していた状態だったので、見栄えのある光景を二人に見せることができて、嬉しかった。
デパートを出て、当時はまだあったヴィーナスフォートを横目にしながら、北の方にある鉄道の駅に向かい、三人は歩いて行った。
先程までとは異なり、デパートを離れると、三人の周りに人は少なかった。落ち着いた状況で、三人は歩きながら話をしていた。
オーストラリアのパースで出会い、再会を期して別れてから、10年以上。友人は、新婚旅行の行き先を日本に決め、彼と友人は再会することができた。
オーストラリアは、彼が初めて訪れた外国だった。パースで理学療法の技術の一つ(manual therapy)を勉強するコースに参加していた当時、世界の様々な国々から集まっていた理学療法士たちの中で、彼は緊張していた。
そんな状況の中、初期から彼に親切にしてくれた参加者たちがいた。
特に、印象に残っているのは4人。一人はオーストラリア出身の女性、一人はブラジルから来た男性、そして残る二人はカナダから来た男性たちだった。彼がコースの雰囲気に慣れるまで、皆の親切な振る舞いはありがたかった。
後に日本で再会したカナダ人の友人とは、4週間のコースの間、よく一緒に勉強していた。試験が近くなると、会場に残って、一緒に実技の練習をした。
コースが終了して、日本に帰る前に、現地で知り合った他の友人二人と一緒に、海辺の町であるフリーマントルを歩いていると、偶然、上記の友人を見かけた。
コースが終わった後、これでしばらくは会えないと思っていた友人と再会できたことに喜び、他の二人の友人を紹介せずに話し込んでしまうという、失礼なことをしてしまった。
それでも、彼は嬉しかった。そして、いつの日か、再び会えることを願い、二人は分かれた。
それが、本当に、こうして再会できるとは。それも、日本で。彼は、本当に嬉しかった。
三人は、駅にたどり着いた。ここで、友人たちとは別れることにした。翌日に、友人夫妻は長野県のスキー場に行き、そこでスキーを楽しむ予定であり、移動の準備も含めて、この日は早めにホテルに戻ることにしていたのである。
駅の改札で、またの再会を期しながら、三人は別れの挨拶をした。
そして、友人夫妻が歩き去っていく姿を、彼は見守っていた。時折手を振りながら、彼は友人たちの姿が見えなくなるまで、その場にいた。
帰りの電車の中、彼はオーストラリアの楽しかった出来事に、思いを馳せていた。あの頃の思い出は、時間が経っても、彼の心の中では色あせていなかった。
(この記事について、当ブログの管理人が運営しているサイトにて、管理人自身が執筆した記事を見直して修正を加えたものです。https://www.tclassroom.jp)