意外に思えるかもしれないが、現代の「AI」は、人間の言葉の意味を理解していないということを、専門家のコメントなどを引用しながら、過去に記事に書いた。

 

https://ameblo.jp/sekainokesiki/entry-12830921079.html

 

生成AIが作る文章は、膨大なデータを参考に、次に来る可能性が高い言葉を繋げているに過ぎない。コンピューターは、まだ、人間の言葉の意味を理解できるほどには進歩していない。

 

しかし、AIを試してみたことがある人なら、このような方法でも、かなり自然な文章を作ることができるということを経験しているだろう。

 

このことについて、人間が作る文章は、定型文を並べて組み合わせた内容が多いということが関係していると思う。だからこそ、言葉の意味を理解していないAIでも、文章を作ることができるのだろう。

 

このことは、言語学と関連する研究でも、明らかになっている。

 

例えば、「英語学習の科学」(中田達也・鈴木祐一編、研究社)から、以下の部分を引用する。

 

 

<母語話者の発話の6割から8割がチャンクによって構成されており(Altenberg, 1998; Erman & Warren, 2000)、チャンクを覚えることは重要です>

 

 

チャンクとは、短い表現、要するに決まった言い回しのことを指している。ネイティブが滑らかな発話をすることができる理由の一つとして、膨大な量のチャンクを覚えていることが挙げられる。

 

チャンクは決まった表現なので、それを使う際の負担は少ない。深く考えることなく、自然な表現を使うことができる。

 

このことは、英語学習にも活かすことができる。文章を素早く作る、あるいはスラスラと理解するためには、覚えているチャンクの数を増やすと、役に立つ。

 

もっとも、英語圏で育った人とは異なり、日常生活で英語に触れる機会が少ない学習者(例えば、日本に住んでいる人)の場合、チャンクの数を増やそうとしても限界はあると思う。それでも、できるだけチャンクの数を増やすことは、基本的には良いことだと思う。

 

チャンクを覚えて、細かい部分をアレンジして使うようにすれば、コミュニケーションを行う時の負担は減る。特に、流暢性が要求されるような状況では、チャンクを覚えることはかなり役に立つだろう。英語学習者は、勉強の一環として、チャンクの数を増やすことを意識すると良いと思う。

 

(この記事について、当ブログの管理人が運営しているサイトにて、管理人自身が執筆した記事を見直して修正を加えたものです。https://www.tclassroom.jp