2014年の冬、東京の六本木ヒルズ森タワーの52階にある、森アーツセンターギャラリーにて開催されていた展覧会を、彼は訪れることにした。

 

 

展覧会の題名は、「ティム・バートンの世界」。シザーハンズやバットマン、アリス・イン・ワンダーランドなど、印象的な映画作品を作り続けている、ティム・バートン(以下、敬称略)の展覧会である。

 

ティム・バートン監督の映画は印象的な作品が多いが、ジョニー・デップが出演している作品が特に好きだ。デップは、監督の映画に多数出演している。

 

特にシザーハンズは、彼のお気に入りの作品の一つである(ジョニー・デップの出世作でもある)。

 

シザーハンズの主人公である、人造人間のエドワードは、手がハサミになっている。

 

エドワードの制作者である発明家のおじいさんは、仮の手であるハサミの手を付けた状態でエドワードの制作を進めた。後に手の部分を作ってくれたのだが、それをエドワードに付ける前に亡くなり、手は壊れてしまった。そのため、エドワードの手はハサミのままになっていた。

 

心優しいエドワードは、次第に周囲の人々に受け入れられていく。後に大好きな人ができるのだが、ハサミの手では、その人を抱きしめることはできない。ハサミの手は、触れるもの全てを傷つけてしまう。

 

心に響く、切ない物語である。

 

展覧会には、様々なキャラクターの原画を含めた絵画作品を中心に、ジョニー・デップに向けて書いた直筆の手紙なども展示されるという。彼は展覧会を訪れる日を、心待ちにしていた。

 

当日は、大勢のお客さんがいた。ただ、はっきりとは覚えていないのだが、確か入場時間が指定されたチケットだったので、混乱はなかったと思う。

 

会場に入ると、その独特の世界観に魅了された。不思議で、幻想的な、それでいてポップな感覚がある、個性的な作品が展示されていた。

 

ティム・バートンは、絵を描くことを大切にしてきたという。画家としても抜きんでた才能を感じさせる、ティム・バートンは生粋の表現者なのだと思った。

 

展覧会を通じて感じたのは、監督の優しさだった。この人は、本当に優しい人なのだと、心から思った。だからこそ、シザーハンズのような、愛を感じさせる作品が作れるのだろう。

 

展覧会は、とても楽しかった。監督のイマジネーションの源泉を知ることができる、とても貴重なイベントだった。

 

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