以下の文章について、多くのニュースで話題になっている、子供に関する埼玉県の条例の改正案についての内容となっている。元々は、10月11日にブログに掲載しようと考えて、作った記事だ。
この案について、10月10日に速報が入り、取り下げになったようだ。多くの人々が、ホッとしたと思う。
ただし、今後、同じようなことが起こらないとは限らない。議会の動きを見ていく必要があると思う。
今後、同じようなことが起こらないように、注視していく意味合いも含めて、過去(10月10日よりも前)に書いた記事を掲載する。興味がある人は、以下の内容を読んでほしい。
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昨今、あちこちで問題視されている、子供に関する埼玉県の条例案について、記事に書いてみたい。
埼玉県の議会で、小学三年生以下の児童を一人にすることを禁じる、条例案(改正)が議論されている。
子供たちだけで遊ぶことや、子供だけで登下校することも、対象になるようだ。これらの行為は、例えば高校生の兄や姉が一緒にいても、許されない。ニュースによると、議会における最大派閥である、自民党の県議団が提案したらしい。
ニュースを見ると、この条例では、そうした児童を見かけたら、県民は速やかに通報することが義務付けられるらしい。この案は自民党と公明党の賛成多数で委員会を通過、13日の採決で可決される見通しだという(追記:10日のニュースで、条例案は取り下げになったことが発表された)。
なお、「放置」が除外されない場所は存在しないらしい。そして、小学四年生から六年生までも、努力義務にするという。
もう、SNS等では様々な欠点が指摘されている案だが、現実を無視した(知らない)条例だと思う。確かに、子供を守るシステムは必要だが、この条例はおかしい。現時点では罰則はないようだが、こんな条例が採用されてしまったら、幼い子供がいる家庭には相当なプレッシャーがかかるのではないだろうか。
まず、「放置」が除外される場所はないということなので、これは自宅内にも適用される。例えば、子供を家に置いて、親が近所のコンビニエンスストアに行って、短い時間の買い物をすることは条例違反。家から少し離れたゴミ置き場に、ゴミを持っていくことも条例違反だ。他にも、無数の例が考えられる。
もっとも、「さすがに、そこまで厳しくはないだろう」と思う人がいるかもしれない。
しかし、ニュース(2023年10月7日配信の朝日新聞デジタル)によると、6日の委員会の審議で、「100メートル先の近所の家に回覧板を届けるために一時外出する」といったことも禁じられるとの見解が示されたという。
また、別のニュース(2023年10月7日配信の読売新聞)によると、「短時間でも子供に留守番させる」、「子供だけ家に残し、ごみ捨てに行く」等の行為も禁止の例として挙げられたらしい。
すなわち、子供を家に置いて、近所のコンビニエンスストアで短い時間の買い物をする等の行動は、実際に条例違反になる可能性が高い。
また、子供が幼稚園や小学校などにいる時間しか、親は一人で外出できなくなるので、仕事にも影響があるだろう。共働きは難しくなり、特に一人で子供を育てている場合には、限られた時間しか働けなくなる。学童施設が利用できる場合でも、送り迎えの問題などもある。結局は、仕事に影響が出ることは避けられないと思う。
しかも、施行後の経過を見て、罰則を設けることも検討するという(2023年10月5日配信の東京新聞など)。
どんな罰則なのか分からないが、そうなってしまうと、子供を持つ親のプレッシャーは計り知れないだろう。他の市民から通報される恐れがあるため、一人で家から出ることもためらわれるような状況になってしまう可能性さえある。
少子化が問題となっているのに、逆に子供を持つことを、ためらわせるような条例だ。
この条例案には、反対意見が相次いでいる。例えば、さいたま市のPTA協議会は、本会議で採決しないように求める署名活動を始めた。「ほとんどの保護者が条例違反に当てはまってしまう」と危機感を募らせているらしい。
政治家は、思い付きで、あるいは現状の未熟な認識で、とんでもない制度を作ることがある。日本は民主主義の国なので、政治家の言動に疑問を持つことがあれば、何らかの形で意思表示をすべきだ。自分たちの生活を守るのは、政治家ではなく、自分たち自身であるということを忘れないようにしたいと思う。
(この記事について、当ブログの管理人が運営しているサイトにて、管理人自身が執筆した記事を見直して修正を加えたものです。https://www.tclassroom.jp)