今回の記事は、痛み関連の内容です。

 

痛みについて、痛みの有無だけが問題となるのではなく、他にも考えるべきことがあります。

 

例えば、痛みに「敏感」な状態について、考えてみましょう。

 

痛みに「敏感」な状態は様々な原因で起こり、また末梢性や中枢性のように、様々な身体部位で生じます。興味深いことの一つに、睡眠の問題と、痛みに「敏感」な状態との関係も、様々な研究で指摘されています。

 

痛みに「敏感」な状態は、やっかいです。痛みの発生のしやすさ、痛みの強さの増加、痛みの長期化などに繋がり、痛みと関連する問題が悪化しやすくなります。

 

痛みに「敏感」な状態は、珍しくはありません。例えば、変形性関節症(osteoarthritis)はよく聞く診断名ですが、変形性関節症の痛みと痛覚過敏(hyperalgesia:痛みの反応が強くなっている状態)の関係は様々な研究で指摘されています。他にも、例えばむち打ち損傷と痛覚過敏の関係も、様々な研究で指摘されています。

 

このように、痛みに「敏感」な状態は、医療現場でよく遭遇する状態であることを覚えておくと良いと思います。

 

痛みに「敏感」な状態があれば、痛みに「敏感」な状態へのアプローチを用いると、より効果的な対応を行うことができます。

 

痛みに「敏感」な状態へのアプローチは、非薬物療法(薬を用いないアプローチ)でもあります。こうしたアプローチも知ることで、痛みに苦しんでいる方に、より効果的な対応を行うことができるようになるでしょう。

 

私が開催している講習会では、痛みに「敏感」な状態について、程度の差こそあれ多くの講習会で説明していますが(痛みに関して、重要なテーマなので)、「痛みと神経系:痛みに「敏感」な状態への対応」の講習会は、この問題により焦点を当てています。

 

この講習会では、神経障害性疼痛や痛覚変調性疼痛のような、痛みに「敏感」な状態(疾患では、CRPSや慢性腰痛などをイメージすると分かりやすい)を中心に、侵害受容性疼痛の一部(神経刺激テストに反応するタイプ)も加えて、痛みに「敏感」な状態への非薬物療法等について説明します。

 

痛みを減らすアプローチに興味があるという医療従事者の方でも、痛みに「敏感」な状態へのアプローチについては、あまりよく分からないという方は多いと思います(もし何らかのアプローチを知っていたとしても、それがこのような状態に対しても効果的であるということは知らないという場合も含まれます)。

 

痛みに詳しい医療従事者が増えることで、痛みに苦しむ方に対して、より効果的な対応が行われるようになり、患者さんの悩みが減るようになることを期待しています。

 

(この記事について、当ブログの管理人が運営しているサイトにて、管理人自身が執筆した記事を見直して修正を加えたものです。https://www.tclassroom.jp