今回と、次回の記事について、最近のテーマとは異なる内容について書く。
東京都の多摩市にある恵泉女学園大学が、閉学を前提として2024年度以降の募集を停止することにしたという(2023年3月22日配信の毎日新聞のオンライン記事より)。なお、系列の中学や高校には影響はないらしい。
彼は続報をフォローしている訳ではないので、最新情報については関連するニュース記事などを参照してほしい。
日本の高等教育機関について、若者の人口の減少に伴い、経営が困難になっていく大学がこれまで以上に出てくるだろうということは、以前から論じられていた。恵泉女学園大学のニュースを聞いて、このような状況が徐々に表面化してきたのかもしれないと感じた。
なお、恵泉女学園大学について、3月23日に発表された、タイムズ・ハイヤー・エデュケーションとベネッセグループが共同して作成した「日本大学ランキング」では、「国際性」の分野で19位となっている。これは、18位の一橋大学や、20位の大阪大学と並ぶ評価の高さである。近年の日本では、そういう大学でも、閉学の可能性があるということが分かる。
在校生や卒業生の方々は、寂しく感じているだろう。大学側は、できる限りのケアをしてほしいと思う。
今後、日本のアカデミックな環境は、変化していくことだろう。
まず、大学教員の需要が減る。大学の数が減れば、当然のことながら教員の募集は減り、これから新しく教員になりたいという人にとってはこれまで以上に狭き門になると思うし、既に大学教員になっている人にとっても、所属している大学が閉学になれば新しい職場を探さなければならない。教員採用の限られた枠が競争になり、それは今まで以上に熾烈なものになると思う。
そして、大学教員の待遇についても、悪化していくと思われる。子供の数の減少に伴い、受験料などの収入が減っていき、大学の収支も厳しくなるので、教員の年収の減少は当然起こりうる。
また、人件費の削減のため、学科などに所属する事務員の数も減るだろう。教員は、教育などの本来の業務に加えて、事務的な作業を担当する割合が増えると思う。
更に、教員が忙しくなれば、教育の質に影響する。授業の内容は、最新の情報を反映せず、授業で使うスライドは毎年同じものになるかもしれない(忙しさとは別の理由で、そうなっている場合もあると思うが)。
そして、大学教員の需要が減れば、大学院に進学を希望する学生の数も減ると思う。すると、教員や研究者として働ける人材の数が減り、日本における教育や研究の全体的な能力の減少にも繋がる。
日本のアカデミックな環境は、悪循環のサイクルの入り口に立っていると思う。
もう、日本の大学も、そろそろ覚悟を決めた方がよいと思う。これからの時代を生き残るには、まだ何とか余力があるうちに、思い切った改革が必要だ。先に延ばしている余裕はもう、ないはずである。
次回の記事では、大学の改革について、書いてみたい。
(この記事について、当ブログの管理人が運営しているサイトにて、管理人自身が執筆した記事を見直して修正を加えたものです。https://www.tclassroom.jp)