彼は公園を離れて、大学のキャンパス内に戻ることにした。
student unionや図書館の建物だけではなく、他の場所も、彼は見て回るつもりだった。さて、次はどこに行こう。彼は、キャンパス内にある、いくつかのレストランの一つを訪れてみることにした。
そのレストランは、建物内の大きな窓を通して公園を眺めることができ、彼のお気に入りの場所であった。メニューも豊富で、イギリスの料理はもちろんのこと、世界の様々な地域から集まる学生に向けた、エスニックなメニューもあったと思う。
彼のお気に入りは、ビーンズと目玉焼き、ハッシュドポテト、トマト、ソーセージ、チップス(アメリカ英語ではポテトチップスのことだが、イギリス英語ではフライドポテト)など、その多くはイングリッシュブレックファストに含まれている内容である。これらの中から二つくらい選んで、ヨーグルトやパンなどを付け、美味しくいただいた。高い位置にある、椅子の座面に「よいしょ」と腰掛けて、眼前に広がる緑の景色を眺めながら、食事を楽しむ。リラックスできる時間であった。
レストランには大勢の学生たちが集まるので、食事だけでなく、社交の場でもあった。彼も、ここでよく友人たちと会い、おしゃべりを楽しみながら食事をしていた。院生は忙しく、こういうちょっとした場所での会話は、親交を深めるための大切な機会だった。
懐かしい場所である、レストランを再び訪れたいと思い、その場所にやってきた彼だったが、そこで違和感を覚えた。「あれ、以前と雰囲気が違っているぞ」。
そう、外観も内装も変わっており、彼が卒業した後に、大幅に改装されていたことに気づいたのである。
レストランの新しい雰囲気は、モダンなものであった。この方が、新しい世代の学生たちには受けがいいのかもしれない。時代の流れに合わせた変化だと思うので、これも一つの選択肢なのだと思う。しかし、彼は以前の雰囲気を再び感じたかったので、改装に関しては、ちょっと残念だった。
キャンパス内を歩いてみて分かったのだが、以前と同じ部分もたくさんある一方で、違っている部分もあちこちにあった。記憶の中の風景と、現実の風景との相違に、少し戸惑いを感じることもあった。
そして、その時に改めて感じたのが、もし思い出を巡る旅に行きたければ、できるだけ早い時期にそうするべきだということだった。もっとも、時期が早すぎても懐かしさを感じにくいかもしれないが、あまり時間が経ってしまうと、懐かしい風景がどんどん変化していく可能性がある。
この時の旅で、彼は数年振りにイギリスを訪れたが、ちょうど良い時期だったのかもしれない。変化した部分もあったが、多くの場合は以前と変わらない景色を見ることができた。
今後も、可能であれば、イギリスは何度も訪れたいと考えているが、例えば10年後には、景色はどんな風に変化しているのだろう。変化を見るのも興味深いが、これからも変わらないでいてほしいと思う気持ちもある。いずれにしても、思い出を巡る旅は、今後も続けていきたいと思う。
(この記事について、当ブログの管理人が運営しているサイトにて、管理人自身が執筆した記事を見直して修正を加えたものです。https://www.tclassroom.jp)
