イギリスの大学院を卒業後に、数年振りに渡英した時の旅行記を最近は記事に書いていましたが、今回は別の内容について書きます。次回から、旅行の話に戻ります。
以前、日本企業の英語促進の状況と、大学の教員と英語との関わりの変化について、記事に書きました。
https://ameblo.jp/sekainokesiki/entry-12750963784.html
https://ameblo.jp/sekainokesiki/entry-12755318826.html
そして、後者の記事で、大学の教員の公募(採用)あるいは昇進の際に、何らかの英語力の証明が今後求められるようになるかもしれないということを書きました。この記事では、10年以内にそうなるかもしれないと書きましたが、そうなる時期が更に早まる可能性があると思えるニュースを見ました。
日本政府は、海外の一流大学の誘致を促進したいようです(「ニュース 大学 誘致」などのキーワードで検索すると、関連する記事が出てきます。私は、テレビのニュース番組で知りました)。スタートアップの増加に繋げて、日本経済の成長に結び付けたいようです。
関連するニュース記事を読むと、閣僚経験者の方が、着手するのに2、3年はかかるのではと言っていました。言い換えると、早ければ数年以内に、このことが実現する可能性があります。
海外の大学を誘致すれば、本当にスタートアップの件数が増加するのかは分かりません。また、日本にあるキャンパスで、日本人学生が多い環境で学ぶことになると思うので、語学力の向上や異文化体験、国際的な友人作りなどの点では海外への留学と比べると物足りなくなる可能性もあると思います。
しかし、いずれにしても、海外の有名大学が数多く日本に来れば、アカデミックの分野の状況は大きく変わると思います。現状でも、海外の大学の日本キャンパスはいくつかありますが、数のインパクトは大きいので、多くの大学が来ればニュースになり、今まで以上に社会に影響を与えると思います。
そうすると、海外の大学の日本キャンパスで学ぶことは、ある種のステータスになるのではないかと思います。特に、英語化が進んできている大手企業では、歓迎されると思います。
少子化の影響を受けて、日本では入学者の数が定員を下回る大学の数が増えています。例えば、2021年9月28日の読売新聞のオンライン記事を見ると、私立大学のほぼ半数が定員割れの状況になっているようです。学生の奪い合いとも言える、このような状況に、海外の有名大学が参加してくると、日本の大学(一部の有名大学は除く)の入学者を集める活動は更に厳しくなると思います。
こうした状況下で、大学の魅力を高めて、海外からの留学生も含めて多くの学生を集めるには、どうすればよいのか。効果的と考えられる宣伝の手段として、「本学は、英語教育に力を入れています。例えば、英語で行われる授業だけで、単位を全て取得することも可能です。本学は、学生たちの英語によるコミュニケーション能力の向上を支援しています」というメッセージが挙げられます。
もっとも、こういうメッセージを掲げていたとしても、現実には英語を苦手とする学生もいるので、日本語で行われる授業だけで単位を得て卒業するというパターンも実際には残ると思います。上記のようなメッセージは、実情は別として、受験生へのアピールと、学生の就職活動における企業へのアピールのために掲げられることが多くなるのではないかと思います。
しかし、この場合、たとえアピールのためであったとしても、日本語で行われる専門分野の授業と英語で行われる専門分野の授業の両方を、大学側は用意する必要があります。それぞれについて、日本人と、英語のネイティブの専門家を別に雇う余裕は、恐らくないと思います。
そうすると、もっとも効率的な解決方法は、「一人の教員に、同じテーマの授業を、日本語と英語のそれぞれで実施してもらう」ことです。すなわち、多くの教員が、日本語だけでなく、英語でも専門分野の授業をすることが求められるようになる可能性があります。そして、それができる能力を持つ人を教員として優先的に採用したいと、大学側は考えるようになるでしょう。
今後、大学の教員になりたい人、あるいは教員として昇進したい人に対して、英語力の証明や向上を求められることが多くなっていくと思います。以前の記事で、10年以内と書きましたが、もっと早くなるかもしれません。アカデミックの分野で働きたいと考えている人は、このことをよく考える必要があると思います。
(この記事について、当ブログの管理人が運営しているサイトにて、管理人自身が執筆した記事を見直して修正を加えたものです。https://www.tclassroom.jp)