イギリスに来て知り合い、仲が良かった女性の友人と、彼はストラトフォード・アポン・エイボンに向かった。この街を訪れるのはこれで二回目だ。シェークスピアの生まれ故郷であるこの街を、案内したかった。

 

駅を出て、まずはランチを食べることにした。彼と友人は中華料理店に入ることにした。その友人とは、これまでに様々な中華料理店を訪れていた。初めてのお店ではあるが、慣れ親しんだ中華料理ということもあって、いつもの、安心できる雰囲気だった。

 

シェークスピアの生家を訪れた際に、他の人にお願いして、二人で一緒に写真をいくつか撮った。これまでに、この友人とは様々な場所を一緒に訪れていた。写真もたくさん撮っている。

 

しかし、二人は出身国が異なる留学生同士である。いつかは、それぞれの国に戻らなければならない。あと何回、こうやって二人でどこかに出かけることができるのだろう。楽しい時間を過ごしているはずなのに、寂しい気持ちを感じていた。

 

お土産店を見てから、彼と友人はエイボン川の岸辺に向かった。前回も利用した、観光船に友人を乗せてあげたかった。エンジン音と共に、船はエイボン川をゆっくりと進んでいった。

 

川のほとりを眺めながら、彼はこれまでに過ごした時間を思っていた。もう少しで、彼は母国に戻る予定だった。そうすると、友人たちと会えなくなる。この美しい景色を見ることが難しくなる。この夢のような時間から、現実に戻るような、そんな寂しさを感じていた。

 

駅に戻る前に、洋服店に一緒に入った。友人は、上質なシャツを購入した。彼へのプレゼントだった。彼はそのシャツを受け取った。嬉しかった。本当に、嬉しかった。

 

ストラトフォード・アポン・エイボンのストリートには、花がたくさんあった。その花たちが、風に揺れながら、彼と友人のことを見守っていた。

 

 

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