イギリスに来た当初、彼の行きつけのお店は中華料理のレストランだった。しかし、現地での生活に慣れていくにつれて、レパートリーは増えていった。そんな中で、彼のお気に入りはトルコ料理のお店だった。

 

トルコはヨーロッパとアジアやアフリカを結ぶ、地中海にあることから、様々な文化の交流の地となっている。これは食文化においても同様で、トルコにはそれぞれの地域の特徴を取り入れた、興味深い料理がある。例えば、ケバブは国際的にも有名だ。

 

彼のお気に入りは、鶏肉を焼く料理だ。これに、お米や野菜が付いてくる。この料理が本当に美味しい。例えば鳥の手羽先や唐揚げが好きな方であれば、この料理はほぼ確実に好きになると思う。

 

このお店の緩い雰囲気も好きだった。大学院の卒業後、イギリスを旅行で再び訪れた時、このお店にも久しぶりに来たのだが、入り口のドアにはまだ閉まっていることを示す看板が出ていた。しかし、店内には人がいて、どう見ても営業している雰囲気だ。中に入って、営業しているか確認すると、営業しているという。閉まっているという看板が出ていることを教えると、「あ、そう」という感じで何事もなかったかのごとく、ゆっくりと看板を直していた。彼の母国のレストランだったら、看板を慌てて直そうとしたと思う。こういう緩い雰囲気は、個人的にはお気に入りである。

 

このレストランで、彼のお気に入りのメニューがある。100%オレンジジュースだ。オレンジジュース?普通にあるよね?そんな感想を抱く人がいると思う。しかし、このお店が提供するオレンジジュースは新鮮さも「100%」のオレンジジュースである。

 

このお店には、彼の母国では見たことがない、オレンジを絞る専用の機械がある。この機械の中に、店員が大きなオレンジを二つ入れる。すると、機械の力で圧縮して、その場で絞りたてのオレンジジュースを作ってくれるのである。

 

このオレンジジュースが信じられないくらい美味しい。彼はオレンジやミカンのジュースが好きで、彼の母国では少々値段が高いジュースを買って飲むことがあったのだが、味がはっきりと違う。めちゃくちゃ美味しいのだ。オレンジの良さもあるのかもしれないが、恐らく絞りたてのジュースということの影響が大きいのかもしれない。この機械を使うと、ミキサーと違い、とても澄んだ出来上がりになるのも良い。

 

図書館での勉強の間に、このトルコ料理のお店を訪れて夕食を食べるのが、彼にとっての大きな楽しみとなった。その時には、もちろんこのオレンジジュースも一緒に注文した。口にすると、芳醇な酸味と甘みがいっぱいに広がる。凄く幸せな気分になれる。ここに来ると、リフレッシュして課題に再び取り組めるようになった。彼にとって、イギリス滞在時における思い出の味だった。

 

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