ある穏やかな秋の日に、彼は自身が住む、イングランドの地方の街を歩いていた。この日は珍しく晴天で、歩いていて気持ちが良かった。彼はこの頃いつも楽しみにしていたものを見ながら、息抜きの散策を楽しんでいた。

 

彼が住む街では、蔓のような植物の茎が葉とともにレンガ作りの建物の壁の表面を適度に覆っている風景をいくつかの場所で見ることができた。これだけでも、ヨーロッパに来ているんだなと感慨深かったが、そうした植物は秋になると、ほかの草と同様に紅葉を始める。すると、少し薄めの茶色のレンガの壁の上に、紅葉の赤が差し色として加わることになる。カラーコーディネートとしても素晴らしい。こうした風景について、欧米のようにレンガ作りの建物が多くなければ、見ることは難しいだろう。ヨーロッパの秋の風景である。

 

こうした風景を楽しみながら、彼は街中にあるカフェに入った。Caffé Neroという名前の、イギリスではよく見かけるカフェだ。イタリアの系列のお店かもしれない。しかし、建物はイギリスなので、この地域の風景に馴染んでいるように思う。

 

彼はそこでダージリンティーとクリスプスを注文して、空いている座席に座った。店内はおしゃれな内装になっていて、そこでは英語が飛び交い、人々の表情が明るい。窓の外には紅葉に彩られたレンガの壁が見える。そこで楽しむ、一杯の紅茶。とても贅沢で、落ち着いた時間である。

 

彼は懐から一冊の本を取り出し、紅茶を飲みながら読書を始めた。ダージリンティーの芳醇な香りが、勉強でつかれた彼の精神を落ち着かせてくれる。少しの金額で楽しむことができる、贅沢で、知的でもある時間。彼が大好きな時間の過ごし方であった。

 

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