フィギュアスケートの羽生結弦選手が脳震盪(しんとう)を起こしていたにもかかわらず、試合に強行出場したことが話題になっています。 演技終了後は顎を7針縫い、側頭部の傷口は医療用のホチキスでとめたということですが、心配されるのは目に見える傷よりも脳震盪です。
ここでは見た目ではわからない脳震盪の怖さについてみてみます。
◆脳震盪(しんとう)とはどんな症状?
脳震盪とは、頭部への衝撃によって一時的な脳機能障害をもたらす症状のことをいいます。脳震盪ではほとんどのケースで、画像診断で出血や骨折などの異常が認められないといいます。
症状としては、頭痛やめまい、目のかすみ、耳鳴り、吐き気などがあります。これはすぐに意識を取り戻すことがあっても起こり得ます。症状が強ければ、記憶の消失、ろれつが回らない、呼吸や脈拍が乱れるといった症状が出ることもあります。
症状が軽い場合でも、数週間~数か月後に頭痛や意識障害、片麻痺などの症状を訴えることがあります。そこで病院を受診し、頭部CTを撮ったところ、慢性硬膜下出血と診断されたというケースもあり、注意が必要です。
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◆脳震盪で怖いのは「セカンドインパクト症候群(シンドローム)」
もうひとつ、脳震盪で怖いのは「セカンドインパクト症候群(シンドローム)」」です。これは、最初に脳震盪を起こしたあと、短期間のうちに2度めの衝撃を受けることにより、脳に重大な損傷を生じ、重篤な症状に陥ることです。脳に重い障害が残ったり、最悪の場合は死亡したりすることがあります。
今年8月26日、当時所属していたマンチェスター・ユナイテッドでの試合で、香川真司選手が脳震盪により途中交代したことを覚えている人はいるでしょうか。
その1か月半後となる10月10日には日本代表としてジャマイカと戦ったものの、試合後に脳震盪の症状を訴え、14日のブラジル戦への出場は見送られました。
このとき、香川選手が短期間で2度も脳震盪を起こしたことに対し、その深刻さを訴える専門家がスポーツ紙などで見られました。なぜなら、「セカンドインパクト症候群(シンドローム)」の危険性がはらんでいたからです。