熟年離婚で陥る「老後破綻」の知られざるリスク 制度改正された「年金分割」にも注意が必要 | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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『無敵の「1日1食」 疲れ知らずで頭が冴える!』
さあ、元気に歳でもとりますか!それに女性は明日の美しさを迎えにいこう。

ハワイで暮らしてみると、50代、60代(中には70代も)といったシニア世代の単身留学生に出会うことも少なくありません。

 

「人生100年時代」、さすがだなあと思いながら、渡米された理由について聞いてみましたら、驚くべき答えが返ってきました。

 

「子育てもひと段落したので、これからは自分の時間を楽しみたくて……、

 

実は夫から離れたかったんです。でも、離婚となると経済的に不安で……、それならいっそのことやりたかったことをやってみようと思って」

 

なるほど、シニア留学という名の別居(⁉)。これからはこの形も選択肢の1つになるのかもしれません。

知識と備えがないと慌てることにも

事実、長年連れ添ってきた夫婦が離婚を選択するケースは上昇の一途をたどっています。

 

厚生労働省「令和4年度 離婚に関する統計の概況」によりますと、同居期間20年以上の夫婦が離婚するいわゆる「熟年離婚」の離婚数全体に占める割合が、令和2年時点で21.5%と過去最高になったということです。

 

よく耳にするようになった「熟年離婚」というワード。すっかり認知されて久しいものの、経済的な観点からすると決して気軽なものではなく、むしろリスクのある行為であると言わざるを得ません。

 

大前提として、熟年離婚は老後が迫っていることから、経済力や貯蓄が十分でない状態のまま離婚をしてしまうと「老後破綻」を招くなど、かえって大変な老後になってしまう可能性が高いと心得ておくことが大切です。

 

そんなの知らなかった、あの時こうしておけばよかったと、後悔しないためにも、離婚を切り出す前に知っておきたいこと、中でも公的年金や保険に関する疑問についてよくあるご質問にお答えしたいと思います。

 

Q1:老後は年金が頼りですが、離婚しても夫の年金の半分はもらえるのでしょうか?

答えはNOです。熟年離婚が増えている背景の1つに、2007年の年金制度の改正によって、「年金分割」(離婚時に夫が積み立てた年金を分割すること)ができるようになったことが挙げられますが、実はこれには注意が必要です。

分割されない年金がある!

①そもそも年金は、会社員であれば、国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建てになっていますが、離婚した場合に「年金分割」の対象になるのは、厚生年金のみです。

 

つまり、国民年金(基礎年金)は対象にはなっていません。

 

さらに、厚生年金のうち婚姻期間中に保険料を払った部分のみが分割の対象になるため、厚生年金ですら相手の年金を半分もらえるとは限らないのです。

 

つまり、配偶者が自営業者やフリーランスで、国民年金(基礎年金)にしか加入していなかった場合は、年金分割を請求することはできません。

 

②当然ながら「遺族年金」については、離婚したら配偶者ではなくなるため、原則として元配偶者の遺族年金は受け取ることができません。

 

③ちなみに、確定拠出年金や個人年金保険など、公的年金に上乗せする形で加入している私的年金については、年金分割の対象ではないということにも注意が必要です(後述の「財産分与」の対象になる可能性はあります)。

 

このように、全ての年金が半分受け取れるというわけではありません。

 

年金事務所で実際に自分がどのくらい年金を受け取れるのか(あるいは、減らされるのか)確認することができますので、まずは相談してみるのがおすすめです。

貯金や保険は分けることが可能

Q2:夫婦で貯めた貯金や保険は、離婚するとどうなるのでしょうか?

「財産分与」により夫婦で公平に分けることができます。財産分与は、夫婦が結婚している間に協力して築いた「共有財産」を離婚の際、原則として2分の1ずつ分けることができる制度です。

 

夫婦の共有財産は、名義にかかわらず財産分与の対象となりますので、預貯金だけでなく、購入した自宅や、まだ支給されていない退職金、解約返戻金のある積み立て型の生命保険なども財産分与の対象になります(掛け捨て型の生命保険は対象ではありません)。

 

特に、熟年夫婦ともなれば、積み立て型の生命保険に加入されている場合、長期にわたって支払いを続けてきたはずで、多額の保険料を負担してきた可能性が高いです。

 

まもなく保険が満期を迎える、またはすでに満期を迎えているケースも少なくないはずですので、財産分与の対象であることを忘れないよう内容について把握しておくべきでしょう。

 

 

まだ満期を迎えていない生命保険については、保険会社や保険の担当者に、離婚時の解約返戻金の見積もりを出してもらい、その解約返戻金を財産分与の対象とします。

 

Q3:離婚したら、保険は解約したほうがよいでしょうか?

なお、離婚したからといって、保険を解約しなければならないわけではありません。名義や受取人の変更など、今の契約を生かしつつ継続できる方法もあります。

 

そもそも何のために加入した保険なのか、その目的を改めて確認し直すことが大切です。保険の解約にはデメリットも多いため、安易に解約をしないことがポイントです。

保険を解約する場合に留意すべき点

① 解約すれば、当然ながら保障(保険金)はなくなります。医療保険やがん保険にせっかく入っていたのに、高齢になり、いざ必要となった時に保険金が受け取れないという事態は避けたいところです。

 

そこで、もし新たに加入し直したい場合には、いったん、今の保険を継続したまま新しく加入し、新しい契約が成立した後に前の保険を解約することで、保障の切れる空白期間を避けることができます。

 

② 被保険者の健康状態によっては、新たに保険に加入できないケースもありますので、必ず、前の契約を残したまま、新しい保険について担当者に相談することが大切です。

 

③ 同じ保障(保険金)でも、年齢が上がるにつれて保険料も上がりますので、新たに加入しようとすると、保険料が高くなってしまう場合があります。

 

④ 積み立て型の生命保険の場合、解約返戻金が受け取れたとしても、解約のタイミングによっては、支払った保険料より受け取る解約返戻金のほうが少なくなる(元本割れする)場合があります。

 

このように解約にはリスクもあり、そもそも保険の契約内容をちゃんと把握していないケースも多いですので、担当者にまずは相談してみるのがオススメです。

財産分与の請求は離婚から2年以内に

財産分与は、夫婦のどちらかが他方に対して、離婚から2年以内のみ請求することができる権利のため、どちらかが行使しなければそのまま財産は分与されません。

 

まずは今ある夫婦の財産を(負の財産も含めて)しっかり把握し、「財産分与」を最大限に受け取れるように準備しておくことが最も大切です。

 

年金分割が思ったより少なかった、老後の資金が足りない、なんてことにならないよう、

 

事前に弁護士など専門家に相談しながら準備をしていくのが理想的ではありますが、少なくとも、年金分割や財産分与など、老後に少しでもお金の心配を減らすためにできることを知っておくことはとても大切です。

 

そして、冒頭でご紹介した方のように、リスクの伴う離婚を決断する前に、別居や留学といった形で、パートナーと距離を置いてみるのも1つの選択肢かもしれません。