「私、食べてないのに太るんです」と言う人の食事内容。漢方の観点から考える改善法 | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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『無敵の「1日1食」 疲れ知らずで頭が冴える!』
さあ、元気に歳でもとりますか!それに女性は明日の美しさを迎えにいこう。

漢方において、日々の習慣で健康な体を目指す「養生」は、心と体を整える近道。

 

そんな養生の考え方で体調トラブルを改善するヒントを教えてくれるのは、漢方家の櫻井大典さん。ここでは、体のことを考えた食事などについて漢方や中医学の観点から教えてもらいます。

太る=自分の許容量を超えて食べているということ

「私、食べていないのに太るんです」と相談される方がいるのですが、聞いてみるとなにかしら飲食しています。そうでなければ、世界の飢餓問題はあっという間に解決できるはず、ですよね。

 

ただ、同じものを食べても太る人もいれば痩せる人もいて、変わらない人もいる、これは事実としてそうです。でも、ざっくりと言えば、どんな場合であれ“太る”ということは、自分の体の許容量を超えて食べている、ということ。

 

中医学でも、体が消費する量よりも、摂取する量が多い、というシンプルな理屈で考えます。摂取量は変わっていないのであれば、活動量が減り、それだけの食事を必要としていないのかもしれませんし、もしくは加齢に伴い、筋肉量が低下し、代謝が悪くなっているのかもしれません。

 

大前提として、中医学は検査機器のない時代の医学なので、例えば体重や、西洋医学で言うところのBMIなど、健康状態を示す数値的な目標はありません。

 

胸の肋骨が浮き出ないぐらいの肉づきで、ちゃんとお腹が空いて、バナナ状の便が毎日1回あり、睡眠時間もきちんと取れて健やかに過ごせていれば、見た目として痩せていても太っていても、それほど問題がない、という考えです。

 

そのうえで、昔の体重に戻したい、ということであれば修正していきましょう。

 

例として、「一日三食、栄養を考えた食事を摂っていますが、最近太ってきました」という女性の一日の食事内容を見てみます。朝:コーヒー牛乳、パンにウインナー、卵料理と果物が定番ですが、たまに納豆、ご飯、おみそ汁などの和食のときも。

 

昼:手づくりのお弁当

夜:ご飯とメイン料理、野菜の小鉢にみそ汁

間食はせず、水は一日2L飲むと要らないものが排出されてよいと聞いたので、毎日そのぐらいを目標にしています。

 

この内容だと、朝ごはんは脂質が多めと感じられます。パンにも油脂分は含まれていますし、ウインナーも同様です。コーヒー牛乳はどういったものを指しているかにもよりますが、いずれにせよ乳脂肪分は含まれており、これらを控えめにするだけでも変わると思います。

 

もしくは、全体量をもっと減らしてもよさそうです。朝は野菜スープやおかゆで十分な場合もありますよ。

 

お昼のお弁当は問題なさそうです。夜は、メイン料理がどんなものかにもよりますが、例えば揚げ物が多いなら、焼き魚にする、煮物にする。

 

ご飯の量を今よりも減らす、などの点はすぐにでも改善できそうです。それから、一日三食にこだわる必要はありません。空腹でなければ食事は抜いて構いません。しっかりと空腹を感じてから次の食事を摂るようにもしてください。

その水分量は、本当に必要?

さきほどの食事内容で一点気になったのは、水を2L飲んでいることです。本当にこの量が自分に必要なのかは、見極める必要があります。テレビで見ただれかにとってよかったことが、あなたにも当てはまるとは限りません。体が求める以上に飲んでいれば、単純にむくみ、体重に表れている可能性も考えられます。

 

水は、口から入ると「脾(ひ)」「胃」を通過して「腎」「膀胱(ぼうこう)」で処理され、不要物はおしっことなって排出されるという流れで、常に内臓に負担がかかります。その量が増えれば増えるほど、臓器は疲弊します。

 

六腑の「腸」は老廃物を排出する役割を果たしますが、大量の水を日々摂取し続けたことによって疲弊し、その排出機能が低下したため、うまく排出されなかった水分が体にたまって太った、ということも考えられます。

 

中医学で『「脾」は湿を悪(にく)む』という言葉があるのですが、これは、水分をたくさん摂ると「脾」は弱る、という意味。水をたくさん飲みすぎて下痢をした、という状況は想像しやすいでしょう。

 

「脾」の機能が低下すると、食べものの消化・吸収がうまくいかなくなりますから、必要なエネルギーはつくれないうえ、不要物を溜め込むことにもなりかねません。

 

昨今では、「高齢になったらタンパク質を積極的に摂りましょう」と盛んに言われています。たしかにそのとおりですが、摂取したタンパク質をきちんと消化・吸収できる「脾」「胃」の状態に保っておくことが、まず、大切です。

 

少なくとも50代ぐらいまでは「脾」「胃」に負担をかけない食養生を意識することをおすすめします。