流行りのプロテイン製品。タンパク質は積極的に摂ったほうがいい?医師「現代人が高濃度のタンパク質を摂ることで何が起こるかというと…」
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「とくに病気はないのに体がだる重い」「午後になるとどっと疲れが」「睡眠時間を確保しているのに眠気がひどい」…。原因がよくわからないながら、こうした心身ともに冴えない症状を訴える人が増えていると糖尿病をはじめとする生活習慣病・肥満治療のためのクリニックを東京・銀座で開業する牧田善二先生は言います。
一方で多忙な名医ほど「食事」を活用して疲労回復しているそうで――。今回、先生の著書『疲れない体をつくる最高の食事術』から一部引用・再編集してお届けします。
【書影】医学的データと臨床経験から導きだしたミラクルフードとは!『疲れない体をつくる最高の食事術』
「タンパク質」は積極的に摂るべきか
重要な役割を持つタンパク質。やはり積極的に摂ったほうがいいのでしょうか。
たとえば、私たちが肉や豆腐を食べると、そのタンパク質は分解されてアミノ酸となり、体内で再びタンパク質がつくられます。
そのことから、多くの人が「たくさんタンパク質を摂れば、アミノ酸が増えて筋肉の原料となるし、不足したら内臓など全身のタンパク質が足りなくなる」と考えるようです。
でも、それは本当なのでしょうか。
結論から言えば…
結論から言うと、その考えは捨てるべきです。タンパク質摂取に関しては、「今のままで大丈夫」です。
「ステーキなら300グラム食べる」という人であっても、「タンパク質は豆腐や納豆が中心」という人であっても、そのままで大丈夫。
つまり、みなさんが普段の食事から摂るタンパク質(一日約60グラム)で充分だということです。
それ以上に摂ろうとしたり、ましてや粉末や液体のプロテインで補ったりする必要は皆無です。むしろ、それをやってはいけません。なぜなら、私たちの体には、「アミノ酸プール」という優れたシステムがあるからです。
アミノ酸プールは、その名の通り、アミノ酸をプール(ストック)しておけるシステムです。そのアミノ酸は再利用できるため、そもそも不足することはありません。
こうして、もともとアミノ酸プールが整っている上に、食事からもタンパク質を摂っているのだから、アミノ酸は余ってしまうぐらいの状況にあります。
腎臓病の原因になると指摘
そこにプロテインを摂れば、大量のアミノ酸が生成され、行き場がなくなります。行き場がなくなった大量のアミノ酸は、ほとんどが尿から排泄されます。
その役割を担っているのが腎臓です。
現代の食生活において、腎臓は老廃物や毒素を処理することで手一杯なのに、そこにわざわざ余計な仕事を増やしてしまうのが、プロテインの摂取なのです。
毎日の食事で肉や魚、大豆食品などタンパク質を摂るのはいいことです。炭水化物と違って、タンパク質は血糖値を上げないので、むしろ大いに食べてOKです。
ただし、プロテイン製品のような高濃度のタンパク質を摂ると、腎臓を悪くして腎臓病の原因になることが、約50年前から医学の研究では指摘されています。
医者よりも賢くなって自分の体を守ろう
みなさんの中にも、プロテインは健康に良いと教えられた人がいることでしょう。そして、「運動して筋肉を使ったり、疲れたりしたら飲んだほうがいい」と考え、実践している人もいるでしょう。
でも、もうやめましょう。
もちろん、プロテインをすすめる人たちに、まったく悪気はないはずです。医者ですら、健康のためにプロテインをせっせと摂取している人もいるくらいです。
しかし、そうした医者は腎臓について専門外で、素人と同じくらいの知識しか持っていません。
みなさんは、医者よりも賢くなって、自分の体を守ってください。
※本稿は、『疲れない体をつくる最高の食事術』(小学館)の一部を再編集したものです。