夏型過敏性肺炎って知ってますか? | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

『無敵の「1日1食」 疲れ知らずで頭が冴える!』
さあ、元気に歳でもとりますか!それに女性は明日の美しさを迎えにいこう。

夏型過敏性肺炎という日本独特の肺炎があります。梅雨時から秋口にかけて起きる肺炎で、原因はトリコスポロン属のカビ(真菌)です。

■東北より西日本に多い

 肺炎には大きく分けて、原因になる細菌やカビなどがヒトの肺に入って増殖して病原性を現すものと、その菌やカビなどに対するアレルギー反応として肺炎様の症状を呈するものとがあります。

 

夏型過敏性肺炎はこのカビに対するアレルギー反応として発病するタイプの肺炎です。従ってこのカビを吸い込んだからといってすべての人が肺炎になるわけではありません。

しかし、アレルギーとして症状が出る場合は、少量の病原体に接しただけでも重篤な症状を呈する可能性があります。

 

夏型過敏性肺炎の症状は、軽い咳や痰、頭痛程度のこともありますが、悪寒、全身倦怠感、体重減少、発熱、著しい呼吸困難、チアノーゼなど重篤な症状になることもあります。

好発年齢は30~50歳代の女性。女性に多い理由は家庭内の滞在時間が長く、カビとの接触時間が他の家族より長いためといわれています。日本独特といっても東北よりも西日本に多い傾向で、高温多湿の環境がカビの増殖を促すからでしょう。

■家にいると症状が出る

 専業主婦のSさん(当時52歳)は、カゼをこじらせて息が苦しいとの訴えである病院の外来を受診、ひと通りの検査をして簡単なカゼ薬をもらって帰宅しました。

 

しかし、その日の深夜、呼吸困難が耐えられなくなって救急車で再受診、入院しました。

 当直医が昼間撮影した胸部レントゲンを取り寄せて見ると、両肺に1~5ミリの細かい粒状陰影がみられました。動脈血の酸素を測定すると正常の半分くらいまで低下しており、酸素吸入でやっと楽になり眠ることができました。

 ところが入院2日目以後は呼吸困難は軽くなり、酸素吸入がなくても動脈血の酸素は正常になり、レントゲンの影も急速に消退したため、病名確定のないまま元気に退院しました。

 

しかしその日の夜、3日前の救急入院した時と同じ状態で、家族に付き添われて病院に戻ってきました。

 後日よくよく聞いてみると、前年の夏も咳が出て苦しくなったことがあったとのこと。

 

しかし、ドイツに留学している長男のところに行ったら咳は忘れていたといい、その後京都の大学院に行っている次男のマンションに行っていたので、昨夏は東京にはほとんど居なかったという話でした。

■症状が軽いと単なる夏カゼと判断

 どうも東京の家に問題があるようだと気付いた担当医はSさんの自宅を訪ねてみることにしました。

当時、同じような症状所見を呈する原因不明の病気があるようだとの情報が学会でも話題になっていたことから、担当医のカンで家の中の細菌かカビに注目すべきと考え細菌検査室の技師を伴っての訪問となりました。

 流しや風呂の排水口、水道蛇口、換気扇、冷蔵庫、エアコン、洗濯機の中、天井や壁の表面、カーペットの裏など目につくあらゆるところから検体を採取して持ち帰りました。

トリコスポロン属のカビは冷蔵庫の蒸発皿から検出されていました。当時の冷蔵庫は冷却器についた霜は庫外に導いて蒸発させる仕組みになっていて、ここの清掃を怠っていたためかカビが生えてしまったのです。

 Sさん、その次の年は梅雨時からドイツに避難、最終的にはほとんど建て替えに等しいリフォームをすることになり、その後は清掃に心がける生活をしたため問題はなくなりました。

 この病気の診断はトリコスポロン属に対する抗体を血液検査で証明できるといいのですが、症状がない人でも陽性になる場合もあります。

そこで、肺胞洗浄(肺を生理食塩水で洗った液を種々分析する)や肺生検(肺の組織の一部を切り取って顕微鏡で調べる)など他の検査所見を綜合して診断します。

 症状が軽いと単なる夏カゼと判断され、今年の夏カゼは長引くネなどと言ってる間に秋になってなんとなく治ってしまっている例も多いと思われます。

■エアコン内部を徹底的に清掃

 原因のカビが居なければまたは接触しなければこの病気は発症しないのですから、Sさんのように原因から遠ざかるのもよし、身の回りから原因のカビを消してしまうのもよしでしょう。

 

このカビ、湿気のあるところではどこにでも生息しますが、最近はエアコン(加湿器、除湿機も)の熱交換器の部分の結露に検出されることも多いようです。

 

止めてあったエアコンのスイッチを入れると、中にいたカビが部屋中に撒き散らされるわけですからたまったものではありません。

 日常の手入れ法としては、スイッチオフの前に少なくとも15分位は送風運転をして水滴を飛ばしてしまうことを心がけたいものです。

 

そして秋になって空気が乾燥してきた今の時期にエアコン内部を徹底的に清掃し(次亜塩素酸ナトリウムやカビ取り剤、消毒用アルコールなどで)、1時間以上の送風運転で内部を乾燥させて、次シーズンの使用に備えるべきでしょう。