バストアップまでの道のりはとても険しいもの。「豆乳を飲む」「キャベツを食べる」にはじまり、あやしいサプリメントや吸引器具に至るまで、世の中にはありとあらゆる豊胸法があふれています。
でも、これらに本当に効果があるなら、どうして胸の大きさの悩みは解消されないのでしょうか。そこで今回は、実際には効果のないバストアップ法を10個、医者の卵である私が医学的に検証します。無駄な苦労をする前に、ぜひチェックしておきましょう。
■1. きな粉を食べる
大豆のイソフラボンが女性ホルモンのエストロゲンと似た効果を発揮すること、エストロゲンが乳腺を発達させることは本当です。
でも、エストロゲンとイソフラボンは似て非なるもの。最近では否定的な研究報告も多くなっています。
■2. キャベツを食べる
キャベツに含まれるボロンがエストロゲンを活性化するという研究結果があるようですが、ボロンとはホウ素、これはゴキブリ駆除剤のホウ酸団子の原料なので、なにも新発見されたすごい元素というわけではありません。
■3. 鶏肉を食べる
鶏肉のバストアップ効果の根拠として「良質なタンパク質だから」とよく聞きます。でも、胸の中身は脂肪。鶏肉を食べて胸が大きくなったのなら、それはただタンパク質が脂肪に変わった、つまり太ったのとおなじことになります。
■4. 小さいころに牛乳を飲む
胸を含めた体の発育をよくしたいなら、第二次性徴期、つまり女性が女性らしくなる一番大切な時期に、十分な栄養を摂取する必要があるでしょう。しかし、それは牛乳だけではなく、バランスのよい食生活が大切です。
■5. サプリメントを摂取する
プラエリアは強力なエストロゲン活性を持つとされていますが、たとえば妊娠前後のような急激なバストアップでは、あとで形崩れやサイズダウンが起きることも。ホルモンバランスをいじるのは、じつはリスキーな行為と知るべし。
■6.揉む
性的に興奮すると、たしかにエストロゲンなどの女性ホルモンが分泌されます。ただし、男性に揉まれても性的に興奮していなければ女性ホルモンは分泌されません。そして、いつでも興奮してはいられないので、この効果は一時的です。
■7. 矯正下着を身につける
矯正下着はバストアップではなく、形崩れを防ぐためのものです。ただし、背中やワキあたりの脂肪には可動性があり、バストまで持ってくることも可能。でも、これがバストの脂肪として定着するかは議論のわかれるところです。
■8. ブラジャーをキツくする
即効性はありますが、もちろん本当にサイズが大きくなっているわけではありません。むしろ「盛る」ことで跡が残ったり、バストを支える靭帯を痛めることがあるので、ほどほどに。
■9. 筋トレをする
腕立て伏せなど大胸筋を鍛える運動は、バストの脂肪の土台となるため、一定の効果があります。しかし、やりすぎると女性ボディービルダーのようなマッチョな胸元になってしまうので気をつけましょう。
■10. マッサージをする
マッサージで血流やリンパ流が改善することはあっても、それはバストアップとは関係ありません。むしろ、ストレッチなどで猫背を直したほうが、バストは美しく見えるようになります。
いかがでしたか? この検証からわかるのは、夢のようなバストアップの方法は存在しないということ。劇的に大きくなることはないと覚悟しつつ、猫背を直したり、筋トレをしたりするのが一番堅実で、効果のある美容法です。
大事なのはむしろ中身、というのはあまりに綺麗事ですが、まず気にするべきは胸の大きさではないことは声を大にしてお伝えします。
参考:医療情報科学研究所『病気がみえる vol.9: 婦人科・乳腺外科』メディックメディア(2002)