芸能人麻薬問題から考える「欲望」と「恐怖」の罠 | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

『無敵の「1日1食」 疲れ知らずで頭が冴える!』
さあ、元気に歳でもとりますか!それに女性は明日の美しさを迎えにいこう。

■「生の欲望」の裏に必ずある「死の恐怖」
近年、次々と芸能人の麻薬使用による逮捕の事件が報じられ、世間を騒がせていますね。

では、なぜ華やかな芸能の世界は、麻薬と縁を切れないのでしょう? これを「森田理論」という古典的な心理学理論の中の「生の欲望、死の恐怖」という理論から考えてみたいと思います。

「生の欲望」とは、「よりよく生きる」ためのポジティブな願望。人間はただ生きているだけでは満足できず、「もっと賢くなりたい」「安心して暮らしたい」「美しくなりたい」「理想の職業につきたい」「人から認められたい」といった、よりよく生きたいという欲望が次々に生まれる生き物です。

 

「生の欲望」は、一つ満たされてもさらに次の欲望が生まれ、果てしなく続いていきます。希望した「安心した暮らし」がかなったとしても、「もっと質のいい暮らしがしたい」「豊かに暮らしたい」というように、欲望はどんどん膨らんでいくのです。

そして、生の欲望が湧き出せば、「うまくいかなかったらどうしよう」「失ってしまったらどうしよう」といった「死の恐怖」も必ず湧いてくる。「森田理論」では、そのように考えられています。

 

たとえば、念願かなって、希望の土地に夢のマイホームを建てた喜びもつかの間、「この家が壊れたらどうしよう」「ローンを返せなかったらどうしよう」といった不安も、セットになって湧き出てしまうものなのです。

■欲望が強くなれば、恐怖も強くなる
華やかな芸能界は、そもそも「生の欲望」のかたまりのようなところではないでしょうか。「大きな夢をかなえる」という欲望に突き動かされて、大成功した人たちが棲息する場所です。

とはいえ、その仲間に入れば満足できるという訳ではありません。「もっと売れるようになりたい」「主役を取りたい」「ビッグネームになりたい」という「生の欲望」は限りなく湧き、同時に「干されたくない」「嫌われたくない」「仕事が来なくなったらどうしたらいいのか」という「死の恐怖」も強くなります。

こう考えると、「芸能界は『生の欲望』の聖殿、『死の恐怖』の魔窟」と、言えそうです。頂点に立った人たちは、最高の快感を得るとともに、その栄光を失うかもしれない強烈な恐怖に、さらされながら生活している――これが芸能人の運命なのです。

そして、麻薬はこうした強烈な死の恐怖から、一瞬で救ってくれる「魔法の薬」です。使えばたちまち、「オレは絶好調だ!」「万能だ!」という確信が湧き、あれほどぬぐっても消えなかった「死の恐怖」から、一瞬で解放されるのです。

しかし、この「一時の快感」が地獄への入り口です。薬を使えば、最高の高揚感が舞い戻りますが、効果が切れれば、恐怖や不安は以前の何倍も強くなり、薬がなくてはいられない状態になります。

 

こうして心身のコントロールを失い、地位も栄光も社会的信頼も失って、奈落の底に転落してしまいます。

■欲望があるから意欲が湧き、恐怖があるから努力する
消せない「死の恐怖」に振り回され、麻薬に走った芸能人、自ら命を絶った芸能人が、なんと多いことでしょう。絶世期の笑顔の裏にある心の闇を想像すると、華やかな世界で働く人たちの「死の恐怖」の痛烈さを、感じずにはいられません。

では、「死の恐怖」から解放される手段はあるのでしょうか? そもそも、「死の恐怖」を消そう、なくそうとどんなに試みても、無理なのです。「生の欲望」と「死の欲望」は、切っても切れない双子のような存在だからです。

では、なくせないのなら、どうしたらいいのでしょう? まず、「必ずあるもの」と認めてしまうことです。そもそも、「生の欲望」が人間のやる気を賦活し、「死の恐怖」が努力を後押ししているのです。

 

たとえば、受験生は志望校に合格したいという「生の欲望」と、落ちたらどうしようという「死の恐怖」に突き動かされ、必死になって勉強をしています。つまり、欲望と恐怖は、セットになって人を前進させるエンジンなのです。

大切なのは、自分の中にある欲望と恐怖を認めたうえで、「やるべきこと」という目的に向かって前進することです。つまり、「うまくできなかったら」「失敗したら」という死の恐怖に襲われても、その恐怖に流されず、本当にやりたい方向に向かって歩み続けること。

 

こうして「目的本位」で前進していけば、その経験から、「かけがえのないもの」(成果、自信、知識、人脈など)を必ず得ることができます。こうした経験を積み重ねることで、人間は成長し、いつまでも向上していくのです。