美容医療のボトックス注射を受ける前に/見た目のアンチエイジングで体も若返る!? | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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ボツリヌス毒素を無毒化して筋肉を緩める「ボトックス注射」

 この連載を読んでくださっている皆さんなら、アンチエイジングは食事や運動などの毎日の生活習慣が大切ということは、しっかり学んでいただけたと思います。でも、美容医療への関心もきっと高いと思います。

「見た目のアンチエイジング」も、アンチエイジングの一部であることは確かです。今回は最近話題の美容医療のひとつ、「ボトックス注射」についてお話しします。

 「眉間のしわをとる」という目的で、近年「ボトックス注射」が普及してきています。

 ボトックス注射は、食中毒の原因としても知られる「ボツリヌス菌」の毒素を無毒化したボツリヌス毒素製剤を注射するもの。神経から筋肉への刺激を伝達するアセチルコリンという物質を抑えることで、筋肉の収縮を弱める効果があります。

日本では現在、目の周りがピクピクする病気の「眼瞼けいれん」(時々まぶたや目の周りがピクピクするのは疲れ目の症状で眼瞼けいれんとは異なります)、顔面がけいれんし続けてしまう「片側顔面けいれん」などの治療法として「ボトックス(R)」(グラクソ・スミスクライン社)が厚生労働省の認可を受けて保険適用となっています。

最近ではワキの多汗症の治療にも認められました。

一方、美容目的の自由診療として、「65歳未満の成人における眉間の表情シワ」に限り「ボトックス・ビスタ(R)」(アラガン社)の使用が認められています。

ここでお気づきのように、「ボトックス(R)」および「ボトックス・ビスタ(R)」は商標で、日本で厚生労働省の認可を受けている薬の名前ですが、これが広まって、その他の薬剤についても「ボトックス注射」といわれています。

実際には他の海外製剤を医師の裁量で個人輸入し、眉間のしわ以外に、おでこや目尻、ほうれい線、首のシワなどに使われるケースが増えてきており、安価な中国製、ロシアや中東の製品などは問題があると指摘されています。

副作用についても知っておこう

 ボトックス注射の治療は、シワの位置や左右差、深さを医師がよく観察して薬の量や針を打つ場所を決めて、注射をします。メスを使うことがなく、治療時間も短く、効果も1~5日後には実感できます。ボツリヌス菌の毒素の影響で、シワをつくっていた筋肉が緩み、シワが目立たなくなります。

個人差はあるものの、効果は3~6カ月程持続し、元に戻ります。効果を持続させたい場合は、定期的に注射を打たなければなりませんが、抗体ができないように3~4カ月以上間隔を空ける必要があります。

 一方、副作用としては、まず内出血や出血斑があります。これは100%防ぐことは難しいのですが、注射前に冷やす、細い針を使う、圧迫するなどの方法で、リスクを減らすことができます。また、注射した部分が腫れたり、赤くなったりすることもあります。

多くは数時間で消えるといわれていますが、まれにアレルギー反応で長引くことがあるので、アレルギー体質の人は注意が必要です。妊婦さんは禁忌とされているなど、注意点もあります。

肌のアンチエイジングから全身のアンチエイジング効果へ

 ボトックス注射以外に、ヒアルロン酸注射やプラセンタ注射などもありますが、これらによってシワが目立たなくなる「肌のアンチエイジング」は、肯定的な人と否定的な人がいるでしょう。

見た目が若く見えること以外に、それによって自信がついて健康に対するモチベーションが上がったり、体も若くなった気になって運動する回数が増えたりと、二次的なアンチエイジング効果にもつながることもよくあります。外見の変化が精神や行動に良い影響を与えることも確かです。

実際、見た目年齢が若い人は、体の年齢も若いという研究もありますので、「見た目のアンチエイジング」を僕は否定しません。それをきっかけに運動する気持ちになったら、とてもいいことですよね。

 ただ、中にはドライアイやコンタクトレンズが原因で眉間にしわが寄っている場合もあります。ボトックス注射をする前にドライアイの検査をぜひ受けてみてください。ドライアイの治療でしわがなくなったら、そのほうがいいですよね。

また、眼瞼下垂といって、加齢とともにまぶたが下がってくる病気があります。この場合、目を開けようとしておでこにしわが寄ります。眼瞼下垂は眼科できちんと治療ができます。

眼瞼下垂なのに、おでこにボトックス注射をしても意味がないばかりか、別の問題も生じてきます。きちんと正しい診察を受けて、適応を見極め、正しい治療を受けることが重要です。

 過去に、「フロリダ事件」といって、 米国フロリダにあるクリニックでこの治療を受けた男女4人が中毒を発症して入院したという事件が報道されました。このクリニックで使われていたのは製品化された製剤ではなく、動物実験用の人に認可されていない薬剤だったとか。びっくりですね。

こうした特殊な例も報告されていますが、これはそんな違法なことを行っていた非常識な医師に問題があったためで、認可を受けた正規の薬を適正に用いれば大きな問題は起こりにくく、比較的安全な治療だと評価されています。ただし、注射の場所や量によって表情に影響を与えてしまう場合があるので、医師の知識や経験も問われるところです。

医療リテラシーを磨こう

 こうしたプラスの医療、つまり、病気を治すのではなく、より快適に、その人の生活の質を上げていく医療が増えてきています。先日紹介した近視を治すレーシックは、美容ではなくれっきとした眼科医療ですが、似ている側面があります。

適応の見極め、技術やモラル、つまり治療の質が施設や医師にゆだねられます。広告をみて軽く受けるのではなく、治療について自分も勉強して知識をもち、疑問点をしっかりドクターに質問して、ベストな治療を受けてほしいと思います。

 僕自身、1回だけボトックス注射をやってみたことがあります。微妙に表情に変化があるように感じました。

ボトックス注射を長年続けていると、少し突っ張ったような独特の表情になってくることがあります。「ボトックス顔」と言われたりしています。表情の動きがどう見えるか、どこまで治療をするかなど、医師とよく相談しましょう。

僕は1回でやめてしまったけど、人それぞれの考え方や価値観による選択となってきます。治療を受けられるときは医療機関やドクターの情報などをよく調べて、信頼できる医療機関を選んでください。