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「オロナミンC」と「リポビタンD」の決定的な違い…日本がレッドブルを生み出せなかった残念な理由とは?

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Photo:Diamond© ダイヤモンド・オンライン

 

「24時間戦えますか?」のキャッチフレーズで一世を風靡した第一三共のリゲインの主力商品が今年4月で出荷を終えました。栄養ドリンク市場は縮小している一方で、エナジードリンク市場は世界的に成長しています。「オロナミンC」と「リポビタンD」の決定的な違いとは?日本がレッドブルを生み出せなかったのには理由があるのです。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

栄養ドリンク市場は縮小エナジードリンク市場は成長、違いは?

「24時間戦えますか?」のキャッチフレーズで一世を風靡した第一三共のリゲインの主力商品が今年4月で出荷を終えました。30年以上にわたって約20種類を販売してきましたが、今後はドリンク剤としては100ミリリットルのMJ-リゲインという商品のみの販売になります。

 

 栄養ドリンク市場は2000年をピークに市場縮小傾向が続いているようです。

 

私も20代から30代にかけては激務の毎日の中で、残業時間によく栄養ドリンクを飲んだものです。ただ管理職になったころから、24時間戦わなくなったせいでしょうか、栄養ドリンクはすっかり飲まなくなりました。

 

 あくまで個人の振り返りですが、市場が縮小しているということは日本全体で似たような現象が起きているのかもしれません。

 

 栄養ドリンク市場が縮小する一方で、世界的に市場拡大が続いているのがエナジードリンク市場です。

 このふたつの市場、何が違うのかから説明する必要があるかもしれません。

 

 栄養ドリンク市場の売れ筋商品の代表例はリポビタンDです。一方のエナジードリンク市場の代表格といえばレッドブルということになります。

 ではこのふたつの製品の違いは何なのでしょう?実はこの説明はなかなか興味深い論点があるのです。

「分類」が違うことから売り方が大きく異なる

 まずは公式説明から入りましょう。リポビタンDのような栄養ドリンクは医薬品ないしは医薬部外品に分類されます。一方のレッドブルなどのエナジードリンクは清涼飲料水に分類されます。

 

 そのため、栄養ドリンクは疲労回復の効能をうたうことができます。一方でエナジードリンクは効能をうたうことはできず、なんとなく元気が出るようなイメージを訴求することしか法律では許されていません。

 

 つぎに非公式な説明をしますと、レッドブルはもともとタイで圧倒的なシェアを持っていたリポビタンDに対抗する製品として地場の会社が発売したドリンクがルーツです。

 

 その後、エナジードリンクの可能性に目をつけたオーストリアの企業がタイのレッドブルのグローバル市場での販売権を獲得します。

 

 このオーストリアの企業がとにかくマーケティングがうまかったのです。味や成分を改良し、広告宣伝も果敢に投資して欧米市場で製品を売り込みます。

 

 結果、世界中にエナジードリンク市場が生まれ、モンスターなど対抗ブランドも出現し、いまではエナジードリンク市場が世界の飲料の重要なセグメントにまで発展しています。

 

 つまり非公式な説明によれば、もともと同じような競合商品だったのだけれども、売り方がうまいレッドブルが世界市場を制したという話でもあるのです。

オロナミンCが国民的ドリンクになれた理由

リポビタミンDにはない「強み」とは?

 実は非公式な栄養ドリンクの歴史にはもうひとつ面白い先行事例があります。 オロナミンCは「医薬品ないしは医薬部外品が栄養ドリンク」という定義に当てはまらない製品だということをご存じでしょうか?

 

 大塚製薬のヒット商品であるオロナミンCも日本の栄養ドリンク市場を拡げようという野望から生まれた商品です。当時大塚製薬ではキングシローなどの栄養ドリンクを発売していたのですが、苦戦を強いられていました。

 

 当時の開発陣が苦心をした結果、編み出したのがそれまで市場になかった「おいしいドリンク剤を開発する」というアイデアでした。1965年のことです。炭酸を加えることでオロナミンCはそれまで市場になかったおいしさを手にいれたのです。

 

 ところがここで厚生省(当時)から待ったがかかります。「炭酸入り飲料は医薬用ドリンク剤として認めることはできない」というのです。

 

 炭酸を抜いて医薬品とするか、炭酸入りで清涼飲料水として発売するか。当時の経営陣は悩んだすえに、オロナミンCをおいしいままで発売することに決めました。だからオロナミンCは清涼飲料水なのです。

 

 当時のこの経営判断はもうひとつ別の未来を拓きます。医薬品でなくなった結果、大塚製薬はオロナミンCを一般の小売店で流通させることを決めるのです。当時の社長は、薬局よりも食料品店は10倍も多いのだから、これはチャンスだと社員にはっぱをかけたというエピソードも残っています。

 

 結果的にオロナミンCはリポビタンDとは違う形で国民的な愛用ドリンクとなりました。大村崑さんのCMと「元気ハツラツ」という効能をうたえないキャッチフレーズが日本中に浸透して、国民的に飲まれるようになったのです。

 

 さて、ここまでの公式および非公式な歴史解説からみなさんはこの市場についてどうお感じになるでしょう。

 

 リポビタンDが日本国内で圧倒的な地位を占める一方で、世界市場はレッドブルにとられてしまった。そして、そのやり方が有効なことは実はオロナミンCが日本国内で過去に証明していた。

 

 そう考えると栄養ドリンク市場の縮小と、エナジードリンク市場の拡大については、ある種、感慨深いものがあります。

エナジードリンクは「清涼飲料水」だが問題点もある

 栄養ドリンクとは少し違う話になるかもしれませんが、歴史という観点ではサプリメントについても触れておいたほうがいいかもしれません。今の若い方はご存じないでしょうけれども、1980年代まではビタミン類は医薬品で、価格もかなり割高でした。

 

 それがこの頃から日米貿易摩擦が激しくなり、アメリカ側の強い圧力があってサプリメントを医薬品ではなく食品として流通できるように制度が変わり、現在に至るのです。

 

 その当時からアメリカはサプリメント大国でしたから、アメリカから安く輸入されたビタミンなどのサプリメントはあっという間に日本市場を席捲します。