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《体内に入り込むマイクロプラスチックから身を守るには…》“効率的な体外への排出”が期待できる食事は「根菜」「海藻」などの和食

《あなたの臓器と血管はプラスチックに汚染されている 衝撃レポート》。本誌『女性セブン』は5月23日発売号で、プラスチックごみが細分化された「マイクロプラスチック」の脅威を伝える記事を掲載した。

 

【図表】身の危険に潜むプラスチックの種類には何がある?

 世界中の最新研究によって明らかになったのは、人体に侵入したマイクロプラスチックが心臓発作や脳卒中を引き起こし、死亡リスクを上げる恐れがあると示唆されていること。

 

そればかりか乳がんや子宮内膜症、精子数の減少や死産、流産といった重篤な症状をもたらす可能性も指摘されていることなど、マイクロプラスチックが健康を害する危険性を指摘する記事には大きな反響が集まった。

◆根菜や海藻など和食中心の献立を

 まず知っておくべきは、汚染物質がどんな経路で私たちの体内に入ってくるかということ。そもそもマイクロプラスチックとは、捨てられたプラスチックが紫外線や大気中の酸素により劣化し、微細化されて作られる。

 

やがて海に流れ着き、魚や貝などがエサと間違えて食べて体内に蓄積され、それらを人間が食することで体内が汚染される。さらに身近な汚染経路が「プラスチック製容器」だ。東京農工大学教授の高田秀重さんが語る。

 

「ペットボトルのプラスチックが劣化すると、中身の飲料にマイクロプラスチックが混入します。

 

また、プラスチック製の食品保存容器を電子レンジにかけると熱によってプラスチックが溶け出し、1平方センチメートルから420万個のマイクロプラスチックが放出されるとの報告があります。

 

 汚染から少しでも身を守るためにはペットボトルの利用を控え、コンビニ弁当などを電子レンジで温める際はレンジ対応の陶器に移し替えること。カップ麺は避けるべきでしょう」

 

 水道水などあらゆる場所から検出されているため、心配な場合は検査という手段もある。株式会社食環境衛生研究所は、2019年から「飲料水」や「食塩」などを対象にマイクロプラスチックの混入を調べている。

 

「検体をフィルターでろ過することでマイクロプラスチックの混入を確認します。量に加え、プラスチックの種類まで判別することができます」(同研究所の浅沼開さん)

 

 これまでマイクロプラスチックは体内に入っても吸収されず、便や尿として排出されると考えられてきた。だが前述したように近年の研究では、より微小なマイクロプラスチックが内臓や血管にとどまり、“悪さ”をする可能性が指摘された。

 

 それを効率よく体外に排出する研究を進めているのが、東海大学海洋学部水産学科准教授の清水宗茂さんだ。清水さんは、ラットにマイクロプラスチックを混入したエサに、さまざまな成分を混ぜたものを与え、食後のラットの糞を調べて、各成分がマイクロプラスチックの排出にどれほど影響したかを調べた。

 

 その結果、最も多くマイクロプラスチックを排出する働きが強かったのが「難消化性食素材」が混ざったエサだった。

 

「難消化性食素材は人間の消化酵素では分解されにくい成分であり、かつ食べても安全な物質であることから、トクホなどに用いられています。その代表例が食物繊維。

 

実際に実験で食物繊維を混ぜたエサを食べたラットは、糞中のマイクロプラスチック量が最も多かった。食物繊維のなかでも、カニやエビから作られる『キトサン』は、マイクロプラスチックを排出させる能力が特に高いと考えられます」(清水さん・以下同)

 

 なぜ食物繊維が有効なのか。清水さんが続ける。「人工消化液にマイクロプラスチックと食物繊維を入れて実験すると、両者は凝集する性質があることがわかりました。

 

おそらく、消化が難しい食物繊維とマイクロプラスチックが腸内でくっついて、そのまま便として排出されるのでしょう。

 

もともと食物繊維には、肉などに含まれる余分な脂と一体化して便として排出する作用があります。マイクロプラスチックの性質は脂に近いので結合しやすいのかもしれません」

 

 大切な命を守るためには、毎日の食生活で第6の栄養素といわれる食物繊維を摂取して、汚染物質を体外に排出することが肝要だ。

 

「根菜や海藻など、和食には多くの食物繊維が含まれているので、和食中心の献立を意識してできれば3食とも食物繊維を摂りたい。

 

食事をする際は最初に食物繊維を摂ることで、糖や脂の吸収を穏やかにするだけでなく、効率的にマイクロプラスチックを排出することが期待できます」

 

 清水さんはキトサンなどの難消化性食素材を用いて、体内に取り込んだマイクロプラスチックを排出する次世代型食品の開発をめざしているという。

不織布マスクは吸い込むリスク増

 マイクロプラスチックが入り込むのは食品の中だけではない。早稲田大学創造理工学部教授の大河内博さんは、大気中に浮遊するマイクロプラスチックの問題を指摘する。

 

「特に交通量が多い道路沿いはタイヤや道路塗料などの摩耗粉塵が多い。肥料を被覆する『マイクロカプセル』や農業用マルチフィルム、ベランダなど屋外に放置されたプラ製品、

 

人工芝や衣服なども大気中マイクロプラスチックの発生源になるうえ、中国で発生したマイクロプラスチックが越境大気汚染物質として日本に運ばれてくる可能性もあります」

 

 特に大気中マイクロプラスチックは、人体に深刻なダメージを与える恐れがあると大河内さんは続ける。

 

「食べ物や飲み物で摂取したマイクロプラスチックはある程度は自然に体外に排出されますが、呼吸によって肺の奥(肺胞)まで吸い込んだものはなかなか排出されません。

 

食べ物や飲み物はプラスチックに接触していないものを選べますが、空気中のマイクロプラスチックは目に見えないので危ないと思わない。そのうえ人は1日2万回以上呼吸するので、プラスチックを“吸う”リスクは“食べる”や“飲む”を上回ります」

 

 みえ呼吸嚥下リハビリクリニック院長の井上登太さんは「喘息」と「喫煙」がリスクを増大させると語る。

 

「喘息持ちの人と喫煙者は肺胞や気管支にある繊毛の機能が弱く、肺に入った異物を排出する力が弱い。そうした人がマイクロプラスチックを吸い込むと、肺内にとどまりやすいと考えられます。喘息がある人は薬で炎症を抑え、喫煙者は何よりも禁煙することが望ましい」

 

 取り込むリスクを最大限に減らしたうえで、危険なプラスチックを「吸わない」ためにはどうすればいいか。すぐに思いつくのはマスクの着用だが、高田さんは「不織布マスクはNG」と語る。

 

「不織布マスク自体にマイクロプラスチックが含まれるので、着用しているだけでそれらを吸い込むリスクがあります。そのため私は外出する際はコットンの布マスクを使用しています」(高田さん・以下同)

 気をつけるべきは外出中だけではない。「屋外」よりも「屋内」の方が危険だと高田さんは話す。

 

「最新の研究によれば、屋外より屋内の方が呼吸によって取り込むマイクロプラスチック微粒子の数が多かった。洋服や絨毯などの化学繊維、合成洗剤や柔軟剤などを包むマイクロカプセルなど、室内には多様なマイクロプラスチックが浮遊していることがその理由だと考えられます」

 

 米ボストン在住の内科医・大西睦子さんは、除去するために「毎日の家事」がポイントと指摘する。

 

「マイクロプラスチックは部屋の片隅のほこりと混ざって空気中を漂うことが多い。小さな粒子を捕集するHEPAフィルター付きの掃除機を使ってこまめに掃除をすることが大事です。洗濯機にもマイクロファイバーをキャッチするフィルターを取りつけましょう」

 

 大河内さんは「植物」に期待を寄せる。

「私たちの研究では、植物の葉がかなりの量のマイクロプラスチックを捕捉することがわかりました。例えば道路に面した家なら、道路側から空気が家の中に直接入らないよう植栽すれば、室内へのマイクロプラスチックの侵入を防げます。

 

ただし、ベランダにプラスチックのプランターを放置するのはNGです。

 

劣化してマイクロプラスチックとなり、飛散したり、家の中に入ってくる恐れがあります」

 あらゆる手段を駆使してマイクロプラスチックをシャットアウトしつつ、プラスチックのハンガーや洗濯ばさみはステンレス製に変えるなどして「脱プラスチック」をめざしたい。その際「プラ」の種類にも注意して選ぶべし。

 

プラスチックには「ポリプロピレン(PP)」「ポリスチレン(PS)」「ポリエチレン(PE)」などがある。

 

「このうち、ストローやプリンカップなどに使われるポリプロピレンと、発泡スチロールや食品用トレーなどに使われるポリスチレンは特に劣化しやすく、生殖に悪影響のある添加剤も多く入っているので、なるべく使用しないことが大切です。

 

プラの種類はパッケージに記されています」(高田さん)

マイクロプラスチックに対峙するべく、できることから始めたい。

※女性セブン2024年6月20日号