1年で相談5倍 100万円で親子の縁切る「代行サービス」が人気の背景 | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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人生の後半戦で「親子の縁」がトラブルの種となるケースは多い。そうした時代背景を受け、「親子の縁切り」を請け負う“新たなサービス”が登場している。法的には不可能な肉親との絶縁はどのように行なわれているのか。

 

「親との一切の関わりを断ちたい。介護から死後の葬儀、納骨まで面倒をみてほしい」――。

 終活をサポートする一般社団法人「LMN」には、そんな相談が連日寄せられているという。同法人の代表理事・遠藤英樹氏が語る。

 

「以前は週に2件ほどだった相談が、ここ1年で5倍以上に増えています。理由としては“親の面倒を見るのがしんどいから離れたい”というものが多い」

 

 公的介護保険がスタートして20年余り。さまざまな事業者によりサービスが提供され“介護の社会化”は進んだように見える。だが、家庭内で家族が看護や介護を担うケースはまだ多く、「老老介護」や「介護離職」の問題は深刻化する一方だ。

 

 遠藤氏がLMNを設立したのは5年前。在宅で両親を介護し看取った経験から、「家族の負担を和らげたい」と、総合的な終活サービスの提供を始めた。

 

「末期がんを患った父の最後の1か月、自宅で24時間、付きっきりの状態でした。その時に医療・介護保険制度について調べ、保険ではカバーされない負担があると知りました。

 

そこで、『病院の付き添い』や『介護施設の選定』『財産管理』など、介護保険外でお手伝いできる終活の全てについて、それぞれの専門家と提携してサービスを提供することにしたのです」(同前)

 

 その結果、“親子の縁切り”を望んでLMNに駆け込む人々が現在急増している。「子供からの相談は40~50代が中心」(遠藤氏)という。

 

 どんな手順で、「親の最期」は委ねられるのか。

菩提寺への挨拶も業者に任せてしまう

「まず相談者(子供)にヒアリングし、親とどの程度の距離感にしたいのかを確認します。多いのが、“病気やケガ、死亡時など何かあった時の連絡”を希望するパターンと、“一切連絡を取らず、死後もすべて丸投げ”のパターン。いずれも、われわれが親子間の連絡係となります」(遠藤氏)

 

 後者のパターンでは、病院や介護施設の手配から入院・入所後の手伝い(月に1度の施設訪問など)、死後の葬儀や納骨、遺品整理まで全て代行する。親がどこでどう暮らしているかを含め、子供が知りたがらない限り、一切連絡はしないという。

 

「費用については、82歳で余命5年の場合を想定すると、初期登録料のほか介護や葬儀、相続関連など各種代行料が33万円、毎月1回の定期サポートサービス(施設訪問など)が5年分として計66万円かかります。概ね100万円程度が目安になります」(同前)

 

 葬儀代などは別途親の資産から出すことになるため、親の生命保険金を充てるかどうかなど細かく話し合い、予算の手当てをしておくのだという。

 

「揉めがちな相続や葬儀費用の交渉で親族を訪ね、『お前は誰だ』と怒鳴られたり、亡くなった後、納骨時に菩提寺の住職から『なんで子供が来ないんだ』と説教されたこともあります」(同前)

 LMNの手配で施設に入所した親から、「うちの子供から連絡はないの?」と聞かれることも。

 

「『仕事が忙しいみたいですよ』とごまかす心苦しさはありますが、依頼主の事情を考えると、仕方ないと思います」

 遠藤氏がそう述懐する、親を“捨てる”子供の事情とは何か――。

介護の相談を受けた娘は「関わりたくない」

 実際にLMNに依頼があった事例を見てみる。北関東に暮らす80代の母について依頼してきた、都内在住の50代サラリーマンのケースだ。

 

「『UR住宅に一人で暮らす母親が、ゴミ出しなどのご近所トラブルが絶えないと地域包括支援センターから連絡があった』と息子さんから相談を受けました。母親は初期の認知症を患っていて、暴言や暴力の症状も出ていた。

 

そこで我々は適切な治療を受けられるように入院先を探し、症状が落ち着いたところで有料老人ホームを探して入居してもらいました。現在は月に1回訪問し、依頼者の息子さんに状況を報告しています」(遠藤氏)

 

 この間にLMNが代行したのは、住んでいたURの解約や部屋の片付け・引っ越し作業、老人ホームとの契約だった。

 

「現役世代は夫婦共働きで子育て中の世帯が多く、特に、離れて暮らす親の面倒を見るのは難しい。子が自分の生活を維持しながら老親にできることは、金銭的な援助くらいしかないのが実情ではないでしょうか」(遠藤氏)

 

 また、関東在住の40代女性は、こんな事情を抱えていたという。

「70代の母と“一切関わりたくない”という依頼でした。もともと母娘の折り合いが悪く、自立してからは連絡も取らず疎遠にしていたといいます。娘さん曰く『毒親だった』と。

 

だが、病気がちになり介護の不安が出てきた母が娘を頼ろうとした。過去のわだかまりをなかったことのように話す母に愛想を尽かした娘さんが、『声も聞きたくない』と依頼してきました。こうしたケースは少なくありません」(同前)

 

 令和の“姥捨山”現象について、宗教学者・島田裕巳氏はこう指摘する。

 

「少子高齢化で頼れる親戚が少なくなった現代社会では、“親との関係に困ったから〟とプロに間に入ってもらうのは悪いことではない。親を尊敬できない、愛せないという感情を抑えて無理するより、いっそ関係を解消しプロに委ねれば、親子双方にプラスになる面が大きいと思います」

 

 追い詰められた子が親と無理心中を図るなど、介護をめぐる悲惨な事件は後を絶たない。親も子も不幸になるくらいなら「親子の縁を切る」という選択肢が、より現実的になってくるのだろうか。

※週刊ポスト