「もう辞めたい…」でも保険はどうなる?退職後も会社の健康保険を継続できる“奥の手”とは | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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会社を辞めてすぐに次の仕事に就かない場合、加入する公的医療保険には3つの選択肢があるのをご存じだろうか。

 

『医療費の裏ワザと落とし穴』の第280回では、すでに退職を考えている人もそうでない人も、選ぶ際に知っておきたいメリットとデメリットを解説する。(フリーライター 早川幸子)

 

退職したらすみやかに別の公的な医療保険に加入

 

 会社員として働いているときは当たり前に使える健康保険も、退職すると同時に給付を受ける資格を喪失してしまう。

 

 だが、ある日突然病気やケガをする可能性は年齢や性別を問わず、誰にでもあることだ。そのときになんの保障もなかったら、高額な医療費を個人で負担しなければならず、経済的に困窮してしまう。

 

 そのため、日本では、この国で暮らすすべての人になんらかの公的な医療保険に加入することを義務づけており、退職後はすみやかに別の制度への加入手続きをとらなければならない。

 

 退職後の公的医療保険の加入先は、「被扶養者」「任継続被保険者」「国民健康保険」という3つの選択肢があり、支払う保険料や受けられる給付にも違いがある。今回は退職後の公的医療保険の選び方を考えてみたい。

 

被扶養者は保険料負担なし!真っ先に検討したい選択肢

 

 会社員が加入する健康保険は、主に中小企業の従業員を対象とした全国組織である「全国健康保険協会(協会けんぽ)」、ひとつの企業、または同業種の企業が集まって独自に運営する「組合管掌健康保険(組合健保)」のいずれかで、入社すると勤務先が加入手続きをしてくれる。

 

 被保険者(加入者)には被保険者証が配られ(マイナ保険証で対応しているケースもある)、これを見せれば、全国どこの医療機関でも一部負担金を支払うだけで必要な医療を受けられる。

 

 ところが、退職すると健康保険も資格喪失手続きが取られ、被保険者証も返還しなければならない。退職日の翌日から、それまでの健康保険は使えなくなるので、すみやかにその他の健康保険への加入手続きをとる必要がある。

 

 退職が決まった後、年次有給休暇を消化して、間を空けずに退職日の翌日に再就職する場合は、次の会社で新しい健康保険の加入手続きをしてくれる。だが、すぐに再就職しない場合は、次の3つの中から加入先を選ぶことになる。

 

(1)被用者保険に加入している家族の被扶養者になる

(2)退職した会社の健康保険の任意継続被保険者になる

(3)国民健康保険に加入する

 ただし、誰でも自由に加入先を選べるわけではなく、それぞれに加入要件がある。メリット・デメリットも異なるので、詳しく見てみよう。

 

(1)被用者保険に加入している家族の被扶養者になる

 退職後の健康保険で、最初に検討したいのが「被扶養者」という選択肢だ。夫や妻、親、子どもなどの家族が会社員や団体職員などで、被用者保険に加入していれば利用できる可能性がある。

 

 被扶養者は、被保険者(加入者)に扶養されている親族のための制度で、次の要件を満たしている場合に、協会けんぽや組合健保など労働者のための健康保険(被用者保険)に保険料の負担なしで加入できることになっている。

 

・75歳未満であること

・被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫、兄弟姉妹で、生計維持関係にあること(必ずしも同居の必要はない)

・同居していて生計維持関係にある三親等以内の親族(事実婚も可能)

・年収130万円未満(60~74歳は180万円未満)。同居の場合は、原則的に被保険者の収入の1/2未満。同居していない場合は、被保険者からの仕送り等の援助金を超えていないこと

 

 健康保険料は、被保険者の所得に一定の保険料率をかけて決められる。被扶養者が何人いても金額は変わらない。例えば、結婚退職した妻が、夫の健康保険に加入しても、夫の保険料負担が増えることはなく、妻は保険料の負担なしで健康保険に加入できる。

 

当面の保険料を抑えられるので、上記の要件を満たしている場合は、真っ先に検討したい制度だ。

 

 ただし、上述のように収入要件があり、利用できるのは年収130万円未満という要件がある。社会保険の収入基準は将来の見込みで考えるので、退職前の年収が130万円以上あっても、被扶養者になれる。

 

例えば、結婚を機に仕事をやめて専業主婦やパート主婦になるようなケースでは、配偶者の健康保険に加入できる可能性が高い。

 

 一方、退職後に仕事をしていなくても、雇用保険の基本手当(失業給付)をもらっていて、年収要件を超える場合は被扶養者になれない。その場合は、(2)の任意継続被保険者か、(3)の国民健康保険のいずれかから、保険料負担の少ないほうを選ぶのが一般的だ。

辞めた会社の保険を継続できる!?

(2)退職した会社の健康保険の任意継続被保険者になる

 任意継続被保険者は、退職した会社の健康保険に引き続き加入できる制度で、加入するには次の要件を満たしている必要がある。

 

・退職日の前日までに、勤続期間が継続して2カ月以上あること

・加入を希望する場合は、退職日から20日以内に元の勤務先で手続きをする

 利用できる期間は、任意継続被保険者になってから最長2年間。扶養家族がいる場合は、在職中と同様に、家族は保険料の負担なしで健康保険に加入できる。

 

 また、任意継続被保険者は、原則的に傷病手当金と出産手当金を除いて、退職前と同じ給付が受けられる。協会けんぽの給付内容は法律の範囲内だが、大手企業の健保組合のなかには、法律で決められた給付額以上に有利な付加給付を行っているところもある。

 

 例えば、医療費が高額になった場合に自己負担額を抑えられる高額療養費で、「所得区分に関係なく、毎月の限度額が2万円」といった充実した給付が行われるケースなどだ。

 

 気になるのは保険料。以前は、国民健康保険に加入するよりも、任意継続被保険者のほうが有利になることが多かったが、制度変更によって必ずしもそうとは言い切れなくなっている。

 

在職時より1万円以上アップの可能性も退職直後の保険料に注意

 

 国民健康保険料は、前年(1月1日~12月31日まで)の所得によって決められている。例えば、定年退職すると主な収入は公的年金だけになり、現役世代に比べて所得は低くなる。だが、保険料は退職前の高い年収をもとに計算されるため、退職直後は実際の支払い能力以上の高い保険料になることがある。

 

 一方、任意継続被保険者の保険料は、在職中の標準報酬月額をもとに計算する。在職中は労使折半で事業主負担があったが、任意継続被保険者は全額自己負担になる。

 

例えば、東京都の協会けんぽに加入している人(40歳未満)で、退職時の標準報酬月額25万円だった場合、在職時は1万2974円だった保険料が、退職後は2万5948円になる(2024年度)。

 

 ただし、これまで、任意継続被保険者の保険料は、最大でも「加入者全体の標準報酬月額の平均」をもとに計算するというルールが設けられていた。

 

そのため、退職時の月収が高くても保険料は一定の範囲に抑えられ、事業主負担がなくなっても、国民健康保険に比べて保険料が安くなる人が多かったのだ。

 

 ところが、2022年に法改正が行われ、現在はそれぞれの健保組合の判断で、「退職時の標準報酬月額未満の範囲内の金額」まで保険料が引き上げることが可能になっている。

 

 今のところ保険料の引き上げには慎重な組合も多く、協会けんぽでは従来通りの計算方法を採用しているので、任意継続被保険者の保険料は最大でも標準報酬月額30万円を基準としたものとなっている。

 

 だが、健保組合の中には、退職前の標準報酬月額をもとに任意継続被保険者の保険料を徴収しているところもある。

 

 例えば、保険料率10%の健保組合で、退職時の標準報酬月額が60万円、加入者全体の標準報酬月額が30万円だった場合で、以前なら任意継続被保険者の保険料は最大でもげ3万円だった。ところが、現在は6万円の負担を求める健保組合も出てきているのだ。

 

 一概に、任意継続被保険者が有利になるといは言えなくなっているので、少しでも保険料負担を抑えたい場合は、国民健康保険の保険料と比較して安い方を選ぶようにしよう。

非自発的失業者には保険料の減免措置がある

(3)国民健康保険に加入する

 国民健康保険は、被用者保険に入れる労働者とその家族、75歳以上の人を除くすべての人の受け皿となっている。(1)の被扶養者、(2)の任意継続被保険者の加入要件を満たさない人は、都道府県単位の国民健康保険に加入する。

 

 保険料は、自治体の財政事情や人口規模などによって大きく異なっている。また、保険料計算のベースになっている「所得割」は、前年の所得に応じて保険料が決まる。特に定年退職した後は前年の所得が高いので、それに比例して保険料も高くなってしまう。

 

 また、会社員の健康保険は、扶養家族の分の保険料を支払う必要はないが、国民健康保険は加入する家族の人数に応じた「均等割」があるため、たとえ家族に収入がなくても、家族の頭数に応じた保険料負担が生じる。

 

 この他、市区町村によっては、世帯単位で徴収する「平等割」、固定資産税などに応じて徴収する「資産割」を導入しているところもあるため保険料は割高になることが多い。

 

 ただし、会社都合による解雇や雇い止め、会社の倒産などで退職した非自発的失業者の場合は、国民健康保険を利用した方が保険料は安くなる可能性が高い。

 

 前述のように、国民健康保険料は前年の所得に応じて決められるが、非自発的失業者は前年の所得を7割減にして保険料を計算するという特例措置が設けられている。

 

この制度を利用すれば、任意継続被保険者よりも保険料が安くなるケースもある。解雇や雇い止めにあった場合は、国民健康保険の窓口で相談してみよう。

 

 国民健康保険に加入する場合は、その他の保険の資格喪失から14日以内に手続きする必要がある。無保険にならないように、扶養家族の分も含めて忘れずに加入手続きをしておきたい。

 

 このように、退職後に加入する公的医療保険には3つの制度があり、いずれもメリット・デメリットある。制度変更により、任意継続被保険者は必ずしも有利とはいえなくなっているが、付加給付のある健保組合なら給付面が充実している。

 

 特に、病気やケガの治療中で退職することになった場合は、多少保険料が割高になっても任意継続被保険者になった方が充実した給付が受けられ、トータルでは見た場合は有利になる。保険料だけではなく、自分の健康状態、扶養家族の有無なども考慮しながら、一番お得な制度を選ぶようにしよう。