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日常食が一番アブナイ…みんな大好きパン、パスタ、牛乳、チーズ、ヨーグルトが老化を進めるこれだけの理由

日常食が一番アブナイ…みんな大好きパン、パスタ、牛乳、チーズ、ヨーグルトが老化を進めるこれだけの理由

日常食が一番アブナイ…みんな大好きパン、パスタ、牛乳、チーズ、ヨーグルトが老化を進めるこれだけの理由© PRESIDENT Online

欧米では今や常識! ダイエット効果も絶大

欧米ではセリアック病が多かったこともあり、古くからグルテンフリーの食事療法が存在していました。

 

セルビアのテニスプレーヤー、ノバク・ジョコビッチ選手は、食事法にグルテンフリーを取り入れることで成績が飛躍的に向上し、世界一になりました。

 

その体験を紹介した書籍『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は、日本でも翻訳出版され話題になりました。彼の実家はピザ屋を営んでいましたので、毎日食べている小麦が悪さをしているとは思ってもみなかったそうです。

 

また、パンやパスタを主食にしている欧米人がグルテンフリーを実践すると、糖質制限につながり、ダイエット効果があることもわかりました。

 

ハリウッド女優も実践したことから「グルテンフリーダイエット」が注目を集め、一般の人々にも浸透しました。スーパーマーケットへ行けばグルテンフリーゾーンがありますし、国際線の機内食では、今やほとんどの航空会社がグルテンフリーに対応しているほどです。

 

一方日本では、まだまだグルテンフリーは一般的ではありません。種類が豊富とはいえませんが、スーパーマーケットでは米粉でできたパンやパスタなどを買えるようになってきました。

 

グルテンフリーを実践する場合には、豆腐やおから、納豆などの大豆製品、十割そば、イモなどを積極的に食べるのもいいでしょう。もちろん米もグルテンフリーですが、食べすぎると糖質過多になり、血糖値が上がりやすくなるので注意してください。

 

一方でカゼインフリーは、牛乳やチーズ、ヨーグルトを抜けばいいので、比較的実践しやすいでしょう。中でも牛乳のカゼイン含有量はダントツです。

 

牛乳をやめると「カルシウム不足になるのではないか」と心配な人は、しらすやししゃもなどを食べることをおすすめします。

 

そもそも私たちの体で最も利用しやすいのは魚骨のカルシウムですから、丸ごと食べられる魚がおすすめです。しらすやししゃもには、カルシウムの吸収を促進してくれるビタミンDが含まれているのも大きなメリットです。

 

グルテンフリーによって必要な栄養素が不足する心配は特にありません。パンやパスタをやめると、糖質が減る可能性が高くなりますが、多くの場合は健康にとってむしろプラスです。

 

極端なことをいえば、肉や魚をたくさん食べて必要なカロリーをとれるのであれば、糖質はゼロでも構わないのです。グルテンフリーを実践するときは、小麦を他の主食に置き換えてもいいのですが、それよりもたんぱく質のおかずを増やすことを意識しましょう。

間違いだらけの「牛乳信仰」

そもそも、毎日同じものを食べることにはアレルギーのリスクが伴います。頻繁に食べるものは抗原になりやすいのです。たんぱく質を摂取することは老化防止のためにも非常に重要ですが、毎朝牛乳を飲む、毎朝ヨーグルトを食べるといった習慣はおすすめしません。

 

乳製品には依存性がありますから、冷蔵庫に常備するのを思いきってやめましょう。そのかわりに、豆腐、納豆、魚などの多種多様なたんぱく質を日替わりでとるのが理想です。

 

「牛乳を飲まないと骨が折れやすくなる」と信じている人もいるでしょう。今でも毎日給食で子どもたちに牛乳を飲ませている地域が圧倒的多数です。こうした「牛乳信仰」は根強いものですが、私に言わせれば毎日牛乳を飲むことは腸にとって危険な行為です。

 

健康な体を保ちたいなら、牛乳からカルシウムをとることよりも、魚からビタミンDをとることを意識してください。日本人の98%がビタミンD不足であることが東京慈恵会医科大学の調査によって明らかになり、大きな話題になりました。

 

ビタミンDはカルシウム代謝に関係し、骨を丈夫にする作用があることで知られています。さらに、免疫力をアップさせ、アレルギー症状を改善することもわかっています。小腸の粘膜を正常に保ち、免疫の過剰反応を抑える作用があるのです。

 

アメリカでビタミンDと新型コロナウイルス感染症の関係を調べたところ、ビタミンDの血中濃度が高い人ほど、PCR検査での陽性率が低いことがわかりました。ビタミンDの血中濃度と陽性率との相関が最大になる濃度は55ng/mL程度でした。

 

日本内分泌学会や日本骨代謝学会が推奨する目安は30ng/mLですが、免疫の観点からは、もっと高い濃度にしなければいけないのです。ただし、日本人の98%はこの30ng/mLにも届いていないのが実情です。

 

ビタミンDは、コレステロールを原料として、太陽の紫外線を浴びることによって皮膚でつくられます。最近は「紫外線が体に悪い」という情報が浸透し、紫外線を避ける人が増え、ビタミンDがつくれなくなっています。

 

ビタミンDを生成するのは紫外線の中のUVBで、洋服や窓ガラスを通過できません。日焼けするまで浴びなくても、1日15分以上、直射日光を浴びれば確実につくられます。また、ビタミンDは魚の内臓に多く含まれます。イワシを丸ごと食べたり煮干しを食べるのもおすすめです。

 

ビタミンDに関しては、サプリメントで補うのもいいでしょう。過剰摂取すると障害が起きますが、市販サプリメントに含まれている程度の量で過剰摂取になることは考えられません。

 

筋肉とビタミンDとの関係も研究が進んでいます。オーストラリアの実験では、65歳以上の女性を2つのグループに分けて検証しました。

 

一方のグループにはビタミンDを摂取してもらい、もう一方にはプラセボ(偽薬)を飲ませました。どちらのグループにも運動せずに生活してもらって4カ月後に筋肉量を測定したところ、ビタミンDを飲んだグループのほうが明らかに筋肉は増えたのです。介護予防の観点からも、ビタミンDは重要です。

甘い菓子パンがもっと老化を進めるワケ

グルテンとカゼインが、腸の粘膜に炎症を起こすことによって老化を進めることはすでに説明しました。さっそくグルテンフリーやカゼインフリーに取り組んでみようという方に向けて、最大限のアンチエイジング効果を得られるコツをご紹介します。

 

体の老化とは、おもに「糖化」と「酸化」だといわれています。

体の中にあるたんぱく質に糖がくっつき、たんぱく質の機能が落ちることが「糖化」です。

 

老化とはさまざまな機能が低下することですから、たんぱく質の機能が落ちる=老化といえます。骨や筋肉、ホルモンの一部もたんぱく質が主材料になっています。

 

たとえば、骨のたんぱく質に糖がつくと、骨がしなやかさを失います。骨密度が低くなくても、パキッと折れやすくなるのです。

 

体の中に糖があれば、必ずたんぱく質とくっつきます。そのときに問題になるのは、血液中の糖濃度です。濃度が高いと糖化が進むので、濃度を上げないことが大事です。

 

特に、ブドウ糖よりも果糖が体の糖化を進めることがわかってきました。菓子パンや清涼飲料水、甘い乳飲料などに含まれる「果糖ブドウ糖液糖」をできるだけ避けることも大事です。

 

また、血中の糖濃度が低い時間をできるだけ長くするためには、血糖値を急に上げないことも重要です。繊維質の多い野菜サラダを先に食べるなど、順番を工夫するのも有効です。それだけでも糖化=老化が防げます。

 

一方、腸の炎症によって起こるのは体の酸化です。酸化はサビとも言われますが、抗酸化力を持つ食品をとることで防ぐことができます。たとえば、緑黄色野菜、ビタミンC、ビタミンEなどが知られています。

 

また、細胞の中で起こる酸化反応を防ぐ成分としてはグルタチオンが知られています。サプリメントでとることもできますが、すぐに分解されてしまい細胞の中まで届かないという問題があります。

 

そこで、細胞の中のグルタチオン濃度を上げるために有効なのが魚の油です。魚油をとっていると細胞の膜に魚油が取り込まれます。魚油の成分がたくさん取り込まれている細胞はグルタチオン濃度が高くなり、サビにくくなるのです。

 

グルテンフリー、カゼインフリーと同時に、糖化と酸化の防止にも気をつけると、一層のアンチエイジング効果が期待できます。さらに発酵食品を積極的にとるなど、「腸活」といわれている健康法とあわせて実践するのもよいでしょう。栄養は吸収されてはじめて意味を成します。

 

健康によい栄養素をきちんと吸収するために、腸を荒らす食材は避けて、腸内環境を整えておくことが大切なのです。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年6月14日号)の一部を再編集したものです。

 

溝口 徹(みぞぐち・とおる) 医師 1964年生まれ。神奈川県出身。福島県立医科大学卒業。横浜市立大学病院、国立循環器病センターを経て、1996年、痛みや内科系疾患を扱う辻堂クリニックを開設。2003年には日本初の栄養療法専門クリニックである新宿溝口クリニック(現・みぞぐちクリニック)を開設。著書に『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』『発達障害は食事でよくなる』『お酒の「困った」を解消する最強の飲み方』(いずれも青春出版社)、『花粉症は1週間で治る!』(さくら舎)などがある。