あれこれやるのは面倒でも、2つだけならできるかも!?
子どもの頃は、肩こりがどういうものか、よくわからなかった。肩を揉む両親を見ながら、大人になればわかるのかと思っていたが、悲しいかな、中年になった今では嫌になるほどよくわかる。
マッサージをしても、一時的に楽になるだけで、すぐにまた元通り。この痛みがとれるときは来るんだろうか?
そんな悩みをもつ人に朗報が! 肩こりをはじめとする頭痛、腰痛、冷え性といった(中年にありがちな)不調は、肩甲骨と骨盤、たったその2つのストレッチでかなり取り除けるのだそうだ。
あれこれやるのは面倒でも、2つだけならできるかも!? フィジカルトレーナー・宮崎裕樹さんに、その仕組みを解説してもらった。
基本は、肩甲骨→骨盤→連動運動の3ステップ
【ステップ1】肩甲骨(写真上)
肩甲骨は健康のバロメーター。肩甲骨周辺には、上半身の主要な筋肉やじん帯、関節、血管が集まっている。その肩甲骨がこり固まったり動かなくなると、それらの本来の機能が失われてしまう。
本来あるべき位置に肩甲骨が収まり、可動性が良い状態に戻ると首や肩、胸、骨盤とのバランスも改善されて、姿勢も良くなり、ゆがみも軽減する。体を整えるためには、肩甲骨を自由に動かし、柔軟性を高めておくことが重要になる。
【ステップ2】骨盤(写真中央)
次に、体のほぼ中心にある骨盤。肩甲骨と同じく、骨盤の周辺には腹筋や背筋、大臀筋など重要な筋肉が集まっている。 骨盤は体を支える土台であり、姿勢を正しく保つ機能を持っている。骨盤周辺の筋肉のバランスが崩れると、背骨がゆがみ、たるみや筋肉のこわばりが起こる。
そのため、ストレッチで骨盤周辺の筋肉を緩めて、骨盤を前傾や後傾、左右にひねるなど自由に動かすことができれば、不調になっている原因のゆがみが改善される。
【ステップ3】連動運動(写真下)
肩甲骨と骨盤は、背骨を通してつながり、対になっている。例えば、歩行時に右足が前に出るとき、右の肩が後ろに引っ張られる。左足は後ろにあるので、左の肩は前に出る。このように肩甲骨と骨盤は、相互に連動して動いている。
したがって、単一の部位をストレッチするよりも、肩甲骨と骨盤を連動させてストレッチする方が運動効果が上がることがわかる。正しく連動させるには、連結部になる体幹部の柔軟性が重要となってくる。この部分が硬いと動きが悪くなり、連動性が落ちてしまうのだ。
【連動性を上げるストレッチの5ポイント!】
1.肩甲骨と骨盤を同時操作
2.複数の動作をする
3.腹圧を高める
4.体幹部の可動性を高める
5.体幹部を柔軟にする
呼吸とインナーマッスルを意識
基本は上記の3ステップなのだが、このとき、『腹式呼吸』『腹横筋』の2つを意識することが大切なのだそう。
腹式呼吸は、お腹の動きを使った呼吸法。内臓に圧を加えて、お腹を膨らませながら呼吸する。内臓を連動させ、インナーマッスルに働きかけるため、体幹部の安定性も向上する。
腹横筋は、わき腹の深層部に位置するインナーマッスル。内臓を保護するコルセットであり、内臓を正しい位置に保つ役割を担っている。
腹式呼吸とともに腹横筋を柔軟に収縮させることで、腹圧を高め、体幹部や背骨を安定させる。腹圧が弱いと腰への負担も増え、体のゆがみにも発展してしまうのだ。このあたりは、何回となくギックリ腰をやっている編集M的にも、実感をともない、よく理解できる。
まとめると……
『腹式呼吸』『腹横筋』の2つを意識しながら肩甲骨と骨盤のストレッチ&連動運動。
これにつきるらしい。やることがシンプルなので、これならできるかも、と思わせられる。あとは実践あるのみ。目指せ! 子ども時代の肩こり知らずな体!
監修:宮崎裕樹
TEAM MIYAZAKI代表。
アスリートのフィジカルコーチや格闘技のコーチ、スポーツインストラクターへの指導など、数多くのトレーニング指導をしている。元日本オリンピック強化コーチ、元全日本スキー連盟強化コーチを歴任し、プロ野球、ラグビー、バレーボール、プロゴルファー、ボクサー、K1選手、競輪選手、芸能人などとパーソナルトレーナー契約を結んでいる。