タレント関根勤さんが、腹痛を訴え病院を受診し、尿路結石と診断されたそうです。その後、痛みは治まり、予定されているテレビ番組の収録には参加されるとのこと。
尿路結石は、腎臓でできた結石が尿管に下がり、尿の通過障害を起こし、大きいと激しい痛みを伴います。「対外衝撃波結石破砕術」などによる治療法があります。
食事や水分の摂り方が大きく影響しますので、高脂肪食や過食などに気をつけることが必要です。男性に多い疾患です。
◆尿路結石の症状
腎臓は、主に血液をろ過して、老廃物や塩分を尿として体外へ排出する役割を担っています。尿が排泄されるまでには、腎臓、尿管、膀胱、尿道といった部位を通ります。これらの総称が「尿路」です。
腎臓でできた結石が尿管に下がり、尿の通過障害を起こすと、激しい痛みが起こります。人間の痛みベスト3に入る激痛と言われています。血尿が出ることもあります。
結石が大きいと尿管を塞いでしまい、尿が出ず、腎臓内の圧が高まって、激しい痛みが起きます。
◆結石の成分
尿中のカルシウム、シュウ酸、リン酸など、尿に溶けにくい成分が結晶となって、大きくなったのが結石です。尿路結石の8割は、シュウ酸カルシウム結石ですが、どのようにして結石ができるかは諸説あります。
シュウ酸とカルシウムは便となって排出されますが、肉類を多く取ることでカルシウムが脂肪と結合し、腸で余ったシュウ酸が尿中に移動し、カルシウムと結合し、シュウ酸カルシウムとなり、結石ができるという説もあります。
◆尿路結石の治療と費用
一般に1cm未満の結石は、自然排出が期待できると言われています。直径1cm以上の尿路結石の治療法には、体外から結石に音波を当て、結石を砕き、尿とともに排出させる「体外衝撃波結石破砕術」があります。
治療費は、健康保険3割負担で7万円~9万円ほどです。
また、内視鏡により石を取り除く方法もあります。費用も、病院によって、また術式によって違ってきます。
◆尿路結石の予防
尿路結石の予防には、食事や水分摂取が大切です。
●1.1日の尿量が2L程度になるように水分をとる
●2.バランスのとれた食生活をすること
多く摂ったほうがよい栄養素は、クエン酸(果物や野菜)、マグネシウムや食物繊維(穀物、野菜、海藻)、カルシウム(乳製品・大豆製品)です。
摂りすぎに気をつけるものは、動物性たんぱく質、砂糖、塩分、脂肪の多いもの、シュウ酸(ほうれん草、紅茶など)、尿酸(干しシイタケ・鳥レバー・カツオ)です。
●3.夕食後は、何も摂取せず就寝までは4時間くらいは空ける
以前は、カルシウムを摂ると結石になると考えられていました。けれども最近は、シュウ酸が尿路結石に果たす役割が注目されています。シュウ酸カルシウム結石では、カルシウムを積極的に摂るほうが予防になります。
シュウ酸が尿中に出る前に、腸内でカルシウムと結合し、便とともに排泄されるからです。けれども大切なのは、その人の腎臓機能です。腎臓が悪いことを自覚していない人も多いので、治療のさい診てもらった医師に、腎機能についてもよく相談してください。
◆男性に多い尿路結石
尿路結石の男女比は、2.4:1で、男性に多い病気です。男性は30~50歳代に、女性は閉経後の50歳代に発症のピークがあります。最近は男女ともに患者数は増えていますが、男性に多いのは、メタボリック症候群の増加にともなう、高脂肪食や過食など、食習慣の変化によるとのこと。
関根さんも、タレントとして不規則な生活や食習慣から、尿路結石になられたのではないでしょうか。
●執筆者プロフィール:南部洋子(なんぶようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師株式会社とらうべ社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
●監修医:田中 一誠医師(泌尿器科)、大田川病院腎センター長