「ゼニたむし」という病名を聞いたことがありますか? 以前に比べ最近は減ったようにも思いますが、例えば子どもの皮膚などに、やや変形した赤っぽい輪状の発疹が浮き出ているのを見たことがあるかもしれません。それが、ゼニたむしです。
今回は、このゼニたむしの原因や治療法、予防策などについて医師に教えてもらいました。
■ 水虫と同じ感染症
ゼニたむしは、医学的には「体部白癬(たいぶはくせん)」や「体幹白癬(たいかんはくせん)」と呼ばれ、「白癬(はくせん)」という真菌が原因となる感染症です。
足白癬、いわゆる水虫とおなじ白癬ですね。また、よく「いんきんたむし」と呼ばれる陰部にできる「陰股白癬」、あまり見かけなくなりましたが頭にみられる「頭部白癬」も同じ真菌が起こす感染症です。どれもかかってしまうとちょっとショックな病気ですよね。
■ 体部白癬の症状は?
体部白癬の特徴的な症状は、輪のようにふちが盛り上がった丸い発疹です。よく見ると、縁の部分は魚のうろこのように膨れていることが多いです。カサカサして痒みがありますが、強い不快感はなく、人から指摘されるまで気付かないこともよくある皮膚疾患です。
ゼニたむしになりやすいのは、
・糖尿病などほかの病気の影響で免疫力が落ちている人
・汗っかきで、ついた白癬が繁殖しやすい子ども
・犬や猫などのペットから移ることもあるため、動物と接触が多い人
が多いと言われています。
■ 検査方法と治療について
前述のとおり、ゼニたむしの原因は「白癬」という真菌類なので、皮膚科で患部から組織を少しとって顕微鏡で見る、あるいは培養検査によって診断を行います。
診断がついたら抗真菌薬とよばれる、真菌を退治する薬を使います。飲み薬の場合もありますし、塗り薬の場合もあります。多くの場合効きはよく、水虫とは異なり、あまり長引くことなく完治することが多いようです。
【医師からのアドバイス】
予防の方法としては、特に汗をかきやすい夏はこまめにシャワーを浴びるなどして皮膚の表面の清潔を保つこと、また、皮膚温度が高かったり蒸れていると白癬が繁殖しやすいので、風通しのいい衣類を選ぶことも大切です。
水虫同様、夏はゼニたむしの季節でもあります。かいた汗はさっぱり流して、白癬を寄せ付けないように生活したいですね。