糖尿病の食事療法は「地中海型食生活」が理想的 | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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糖尿病と診断されて最初に学ぶのは、たくさん食べると血糖値が高くなるということです。何を食べても血糖が高くなるので途方に暮れた人もいるでしょう。

しかし、食後高血糖の直接の原因は、ほとんどが糖質(消化吸収できる炭水化物)によるものです。そのため、食事の糖質をグラム単位でカウントして、糖質をあらかじめ決めた量に守る「カーブカウンティング(糖質管理食)」の手法が用いられています。

 では、どの糖質食品でも同じように食べた量に比例して血糖が上がるのでしょうか? 実はそうではありませんでした。これを科学的に調べようとして発見されたのが、「グリセミック指数(GI)」なのです。

■GIの低い食品はすべて高食物繊維?

 以前から、食物繊維の効果とGIを混同している医療従事者がかなりいたので気になりました。この2つの効果は厳密には区別できませんが、同じではありません。

 食事の糖質の量と、体が分泌できるインスリン、あるいは注射するインスリンのバランスが、食後血糖値に最も影響を与えるのは明らかなのですが、糖質食品の種類や加工度、調理法、食べ方も食後血糖値に関係します。この糖質食品の「質」を科学するGIとは何なのか、そしてその賛否両論を紹介しましょう。

■GIの発見

 米国でも1980年までは、糖尿病患者の炭水化物食品の摂取管理は食品交換表を使っていました。つまり、「量」の管理です。トロント大学の科学者、David Jenkinsは、さまざまな炭水化物食品を食べた後の体の血糖値変化に興味を持ち、1981年、ごくありふれた食品62品の血糖反応を「Glycemic Index(グリセミック指数)」として、米国の臨床栄養学の専門誌AJCNに発表しました。栄養学者も医師も患者も、初めて耳にする言葉でした。

 糖質、つまり消化吸収できる炭水化物を50g含む食品を健常者に食べてもらって、2時間の血糖値の変化を折れ線グラフにして、同量のブドウ糖を摂取したときのグラフと照らし合わせました。

各食品の折れ線グラフの面積を、吸収が最も速い、つまり血糖ピークが最も高くなるブドウ糖の面積と比較したのです。こうするとブドウ糖を100とする、各食品の血糖上昇の割合、つまりGIが0~100で表わせます。

 50gのブドウ糖を100とすると、平均的な健常者の場合、精製小麦粉で作った白いバゲット(フランスパン)のGIは95、リンゴは39でした。日常生活で米飯とリンゴの糖質を同じ20gにそろえても、食後の血糖上昇の曲線は異なるのです。

 低GIの食品が食後2時間の血糖値上昇を抑えるのなら、必要とするインスリンも比例して減るので、インスリン不足の2型糖尿病患者には願ってもない話です。当初は大いに期待されました。

しかし、GI発見から30年以上たった今日でも、低GI食はそれほど熱心には糖尿病患者に勧められていないのです。なぜでしょうか?

 

■グリセミックロード(血糖負荷)の考え方

 多くのGI研究者はGIの利用だけでは、それほど糖尿病のコントロールに役に立たないことを知っています。低GI食品でも食べ過ぎれば高血糖になります。やはり糖質の総量規制が必要なのです。

 そこで料理に使用する各食品の糖質量にGIを掛け算した数値を、「グリセミックロード(血糖負荷)」とする方法が考えられました。グリセミックロードは、食事の糖質の質と量を加味した、負荷を表わす数値です。

これはハーバード大学公衆衛生大学院などで応用され、精白穀物の白いパンなどを好んで食べることが血糖負荷を高めて、肥満や2型糖尿病のリスクを高くすることが証明されました。

 GIの高いマッシュポテトとメロンを1カップずつ食べると、当然ながらマッシュポテトの方が血糖値が高くなります。

マッシュポテトにはより多くの糖質(グラム単位)が含まれているからです。ただし、このグリセミックロードを実際に糖尿病食事療法に導入できるかどうかは不明です。疫学としては有用でも、糖尿病患者の日常のコントロール目標には役に立ちません。

■GI擁護派の主張

 低GI食品を選んでその糖質をカウントすることで、血糖上昇を抑えられるとGI信奉者は力説します。25gの糖質を含むベークドポテトとスパゲッティでは、食後血糖に与える影響は3倍も違う! とシドニー大学のJennie Brand-Miller教授は主張します。このGI論者のカリスマ教授は彼女自身の体でこれを実験したそうです。

 もうひとつのメリットは、おおむね低GI食品がヘルシーだという主張です。低GI食品はフルーツや野菜、全粒穀物、パスタ、乳製品などですから、一見説得力がありますが、加工食品で低GIをうたうチョコレートやスナックはとてもヘルシーとはいえません。GIが低いのは高脂肪だからです。

■GI懐疑派の主張

 GIの懐疑派は根本的に欠陥があると考えています。食事はいろいろな材料でできていますから、例えば私達は単品のニンジンだけを食べることは、まずありません。また、GIは個人差が大きいのです。

健常者は、激しい運動で肝臓のグリコーゲンが消費されていれば、何を食べてもその補充に回りますから、血糖値は上がりません。そもそも健常者の場合、高GI食でもほんの少し血糖値が上がるだけです。また、百人百様の糖尿病患者の血糖反応からGIを計測するのは不可能です。

 どうもGIはあいまいさが残るので、サイエンスとは言い切れない部分があります。そう言えば、確かに食品成分表を使った糖質制限食だって実際の糖質量ではありませんから、正確なサイエンスではありませんね。

■GIも使い方次第では……

 食品別のGIリストは数え切れないほどありますが、各国各様の、もともと品質も季節も味も違う同じ名前の食材で、体格も料理の好みも異なる人達がざまざまな条件で測ったものなので、とても紹介できるものではありません。

ですからGIの細かい数値は無視して、高・中・低ぐらいの判断でいいと思います。日本では白米ご飯の血糖上昇を100として、83以上を高GI、65~82を中GI、64以下を低GIとしています。

 ひとつの考え方ですが、食事に低GI食品を少なくとも一品加える努力をするといいでしょう。代表的なのは野菜です。茹でたてのポテトのGIは75ですが、冷めると55に下がります。

ポテトサラダは冷めたいポテトと酢、オイル、他の野菜を加えて作りますから、ポテトが好きな人にはおすすめです。酢やオイルを加えると腸の動きが抑えられて、さらにGIが低くなるのです。

 たっぷりの野菜(デンプン食品は除いて)とフルーツ、全粒穀物、低脂肪乳製品、豆類、魚、脂肪の少ない肉を計画的に摂る「地中海型食生活」を実践すれば、ヘルシーですし、とりもなおさず低GI食なのでおすすめです。