女医を襲った症状「口の中が苦い」「舌がピリピリする」 まさかの栄養不足とは? | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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翌朝起きれないほどグッタリの女医 猛暑の体調不良の原因は目からの紫外線?

翌朝起きれないほどグッタリの女医 猛暑の体調不良の原因は目からの紫外線?© AERA dot. 提供

 

日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。

 

今回は「亜鉛欠乏症」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

 

「舌がピリピリする……」「口の中も、なんだかずっと苦い」

 

 コロナと言えば、「味覚異常も引き起こす」感染症であることを、すでに誰もが知っていたであろう、2022年の春のことです。

 

 舌のピリピリとする違和感や、苦味感(味覚の異常)を感じるようになったと思ったら、その数日後には、ひどい倦怠感までも自覚し、寝込んでしまいました。

 

 コロナパンデミックの最中だったこともあり、コロナに罹患してしまった可能性を強く疑った私は、自宅にあった新型コロナウイルスの迅速抗原検査をすることにしたのです。

■コロナは「陰性」ではナゼ?

 しかしながら、結果は「陰性」。翌日、クリニックで採血検査を実施してもらったところ、まさかの「亜鉛欠乏症」であることが判明したという出来事がありました。

 

 あれから、もうすぐ2年が経とうとしているこの冬、再び「亜鉛欠乏症」を発症してしまったのです。

 

「亜鉛って、あまり知らないかも」という方もいらっしゃるかもしれません。

 

 亜鉛は、ヒトの必須微量元素の一つであり、私たちの体の中で、ホルモンの合成や分泌の調整、DNA合成、タンパク質合成、200種以上の酵素の構成や酵素反応の活性化、免疫反応の調節、生殖、創傷修復といった広範囲な役割を担っています。

 

そのため、身体の成長や維持に不可欠な栄養素だと言っても、過言ではありません。

 

 亜鉛は体内で生成することができません。そのため、食事などから体内に取り込む必要があります。そんな重要な栄養素の一つである亜鉛が欠乏することにより発症する疾患が、亜鉛欠乏症です。

 

  亜鉛は上記のように、様々な役割を担っていることから、体内で欠乏することにより、肌荒れ、脱毛、免疫力の低下、男性の性腺機能低下、成長遅延、食欲不振など様々な症状をきたすことが、報告されているのです。

 

 さらに、舌にある味覚を感じる細胞(味蕾)を作る上でも、亜鉛が不可欠です。そのため、体内の亜鉛が欠乏すると、味がおかしく感じたり、苦みを感じたりする「味覚異常」を引き起こします。

 

 また、日本のように、薄くスライスされた牛肉や豚肉は少なく、販売されているのは大きくカットされた肉が中心です。そのため、好きだった豚肉は、全く食べなくなってしまいました。

■サプリメントで補充を開始

 そんなこんなで、自炊中心の食生活ではありますが、亜鉛不足を補うためにサプリメントによる補充を始めました。幸い、アメリカは販売されているサプリメントの種類が豊富です。

 

  グミタイプのサプリメントを見つけることができ、ここ1カ月間、毎日摂取することができています。苦味感もかなり改善されてきたところではありますが、しばらくサプリメントで亜鉛の摂取を補っていこうと考えています。

 

 たかが苦味ではありますが、今回は想像以上に生活に支障をきたすことを実感することになりました。再発を防ぐためにも、健康を維持するためにも、より一層、食生活に気をつけることを今年の目標にしようと思います。

■現代の日本で栄養不足!?

「高所得国に属する日本では、栄養不足が起きるのは考えにくい」そうお思いの方もいらっしゃるかもしれません。私も、自分が栄養不足に陥るとは思ってもいませんでした。

 

 実は、世界人口の約17%が、亜鉛の摂取不足に陥っていると推定されています。特に、低所得国と中所得国の国では、亜鉛欠乏症の有病率が20%以上を記録している国も多数報告されており、大きな健康問題の一つになっています。

 

 一方、高所得国の一部でも、亜鉛欠乏症の有病率が10%に達する可能性が指摘されています。高所得国の場合、亜鉛欠乏につながる原因として、菜食を中心とした食生活や肉の摂取量の不足、ダイエットや偏食などが挙げられているのです。

 

 「亜鉛欠乏症を再発してしまったのではないか」そう疑うようになったのは、この冬のある日の朝でした。まさに数年前に経験した症状を、再び自覚するようになったからです。

 

 朝、口の中がとても苦くて、目が覚めます。そして、その苦味は日中もずっと続きます。苦味を自覚するようになった数日後には、粉をふいたかのように腕の皮膚がめくれ始めたのです。そこで、私は亜鉛欠乏症を「再発」したに違いないと思ったのでした。

 

 実は、数年前に「亜鉛欠乏症」とわかったとき、薬を内服することによる亜鉛の補充を開始しました。しかしながら、幸いにもすぐに症状が改善した私は、飲み忘れる日が続いたこともあり、1カ月ほどで内服を中断してしまっていたのです。「医者の不養生」と言われても仕方がないと思います。

 

 では、再発してしまった理由はなんだったのか。アメリカに拠点を移してからの自分の食生活を振り返って、気がついたことがあります。それは、日本にいた時と比較して、圧倒的に魚介類を食べる習慣が減ってしまったということです。

 

 生魚が販売されているコーナーは、肉売り場と比較すると規模が圧倒的に小さく、量の割に値段が高く、日本ほど魚の種類も豊富ではありません。あまり新鮮そうにも見えないため、自然と足が遠のいてしまったのでした。

 

 魚の代わりに、肉を食べるようにしてはいるものの、基本的にお手頃価格で淡白な鶏肉が中心です。質のいい赤身の牛肉になればなるほど、価格も上がってしまうため、亜鉛が豊富だと分かっていても、頻繁には食べていられません。