ビタミンEの約500倍…認知症予防が期待できる"史上最強の抗酸化物質"を多く含む「魚の名前」 | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か。精神科医の保坂隆さんは「抗酸化力がビタミンEの約500倍で、今のところ史上最強の抗酸化カロテノイドといわれ認知症の予防や脳の老化防止に期待される『アスタキサンチン』という抗酸化物質がある。

 

このアスタキサンチンの世界でナンバーワンの持ち主は赤い天然色素を持つ鮭だ。鮭をひと切れ食べるだけでサプリを摂取しなくてもいいから、面倒くさがりでも無理なくできるはずだ」という――。

 

※本稿は、保坂隆、西崎知之『おだやかに80歳に向かうボケない食生活』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

年齢を重ねるごとに減る体内の酵素チャージは大根おろしで

コーカサス地方のヨーグルトやドイツ名産のキャベツの漬物「ザワークラウト」、韓国の味として人気の「キムチ」などは、世界的に有名な発酵食品です。

 

しかし、日本だって負けていません。

 

味噌、日本酒、みりん、ぬか漬け、塩麹、醤油麹、甘酒……。じつは日本こそ世界に誇る発酵王国なのです。ほかにも納豆、塩辛、酢、鰹節、焼酎などなど数えきれないほど多彩なラインナップです。

 

この発酵食品には、私たちの傷ついたDNAを修復して免疫力を上げるという大事な働きがあります。

 

人間は毎日大量の酵素を必要としていますが、残念なことに体内の酵素は年齢とともに減っていき、どうしても酵素不足になってしまいます。

 

しかも、たまに発酵食品のまとめ食いをしても、あまり意味はありません。酵素をしっかりチャージするには、毎日少しずつでも発酵食品や酵素の多い食品を摂ることが大切です。

酵素は、発酵食品のほか生野菜や果物、植物の新芽などに多いのですが、弱点は熱に弱いこと。高温で長く煮たりすると、すぐに壊れてしまいます。

そこで、「あれこれ面倒なことは苦手」という人におすすめしたいのが大根おろしです。

魚の塩焼きや揚げ出し豆腐などにつきものの大根おろしには、タンパク質分解酵素のプロテアーゼや糖質分解酵素のアミラーゼ、脂質分解酵素であるリパーゼまで含まれているのですから、これだけでも酵素チャージはOK。

大根おろしは、天然の消化酵素剤でもあるので、胃の弱い人にもおすすめです。ただし、酵素は酸化に弱いため、おろしたての新鮮なものを食べる必要があります。

酵素たっぷりのデトックス効果のある果物の種類
体内の老廃物を排出する「解毒」や「毒出し」を意味するデトックスは、いまや広く知られるようになり、すっかりおなじみです。成語的な言葉でいえば「人口に膾炙(かいしゃ)する」となります。

岩盤浴、半身浴、断食など、デトックスにもさまざまな方法がありますが、なかでも簡単にできてしまうのが酵素を使った解毒法です。しかも、わざわざ「酵素入り」と謳った商品を買わなくても、酵素たっぷりの食品を使えば、すぐにできるのです。

なかでもおすすめなのが新鮮な果物です。

果物には酵素のほかにビタミンやミネラル、食物繊維など体にうれしい成分がたっぷり含まれていますから、健康効果も文句なしです。

 

そんな果物のなかでも、とくにデトックス効果が高いものをいくつか紹介していきましょう。

りんご

肝臓や腎臓の機能を高め、強力な消化酵素で胃腸などの消化器官を活発にする働きがあります。

とくにりんごに含まれる中性ポリマーは毒素を排出し、体の中からきれいにしてくれます。さらに、血液中のコレステロール値も正常化してくれますから、生活習慣病やボケが心配なシニアにもぴったりです。

アボカド

一価不飽和脂肪酸という優れた脂肪酸をはじめ、ミネラル分や酵素をたっぷり含んだ栄養の宝庫です。一価不飽和脂肪酸はコレステロール値を下げるのに役立ち、毒素の排出を促す抗酸化物質のビタミンEも豊富に含んでいます。

また、アボカドに含まれるカリウムにはむくみを防ぐ働きがあり、葉酸も倦怠感や疲れを予防してくれます。サラダにしてたっぷりとりたいところです。

バナナ

腸の機能を正常化する働きがありますから、便秘には最適です。

「美容ビタミン」と呼ばれるビタミンB類が多く、美容効果の高いポリフェノールも豊富です。

 

また、たくさん含まれているトリプトファンは、体内でリラックス効果の高いセロトニンというホルモンに変わります。不眠や抑うつ的な気分を解消するにも、バナナは役立つはずです。

パイナップル

血液の循環を促すブロメラインという物質が多く含まれているうえ、タンパク質の消化を助ける効果も高いので、食事と一緒に食べるのがおすすめです。

 

このようにデトックスに効果的な果物はたくさんありますから、楽しみながらデトックス・デーをつくってみるのはいかがでしょうか。それがボケないためにも有効なのはいうまでもありません。

魚を食べる日本の食文化ではDHAが豊富に摂れる

秋刀魚や鯖などのいわゆる青魚の脂には、DHAが多く含まれています。DHAとはドコサヘキサエン酸の略で、脳や神経細胞の発育・維持にとても大切な物質だとわかっています。

 

脳内のDHA濃度が減ると、脳の発達が遅れたり、情報伝達のスピードが遅くなり、頭の回転が遅くなるといわれているのです。

 

DHAが脳の働きと関係があると最初に考えたのは、イギリスの脳栄養化学研究所教授のマイケル・クロフォード博士でした。

 

驚くべきことにクロフォード博士は「日本の子供の知能指数が高いのは、魚をたくさん食べ、魚に含まれているDHAを大量に摂取しているためだ」と指摘したのです。

 

それを裏づけるように、お母さんたちのお乳に含まれているDHAの量は、オーストラリア人が母乳100mlあたり10mg、アメリカ人はわずか7mgだったのに、日本人は20mgだったという結果も出ています。こんなにDHAが含まれている母乳を飲んでいれば、脳が発達して当然です。

 

ところが、日本では食の欧米化が進み、「青魚より肉がいい」という風潮が続いているのですから、脳のことを考えると、ちょっと残念です。もう少しDHAを効果的に摂取したいところです。

 

それにはどんな方法があるのでしょうか。

青魚を刺身で食べてしまうのです。

青魚は薬味たっぷりで刺身で食べる

DHAは加熱すると、そのほとんどが失われてしまいます。以前の日本人は大量の青魚を食べていたため、それでも十分にDHAを補給することができていました。

 

青魚を加熱して食べていたのは、青魚が傷みやすいからでした。しかし、輸送技術の進歩によって、鮮度を損なわずに消費者の手元に届くようになりました。

 

そこで、たまにしか青魚を食べる機会がないなら、DHAがたっぷり含まれている生の状態で食べてしまおうというわけです。

 

青魚特有の臭みが気になるなら、わさびやしょうがをたっぷり使いましょう。生臭さが消えるだけではなく、わさびとしょうがには血行をよくする働きがあります。

 

つまり、こうした薬味と一緒に青魚を食べれば、より効果的にDHAを脳へ運ぶことができ、ボケとは無縁でいられるのです。

鮭は最強の抗酸化物質がたっぷり

「アスタキサンチン」という抗酸化物質が話題になっているのをご存じでしょうか。アスタキサンチンは自然界に広く存在する天然の赤い色素で、鮭や海老、カニなどに多く含まれるカロテノイドの一種です。

 

カロテノイドはトマトのリコピンなど活性酸素を消去することで知られていますが、そのなかでも抜きん出たパワーを持つのがアスタキサンチンです。

 

アスタキサンチンの抗酸化力はビタミンEの約500倍と大変強く、今のところ史上最強の抗酸化カロテノイドといわれています。

 

そして、世界でナンバーワンのアスタキサンチンの持ち主は鮭。鮭の身の赤い天然色素に、すぐれた抗酸化作用があるのです。

 

アスタキサンチンはもともと海藻の色素ですが、海藻を食べたおきあみを鮭が食べるというプロセスを経て、鮭の身に赤い色素が蓄積されます。

 

鮭は海ではゆっくり回遊していますが、産卵のために川を上るときは食べ物もとらず、ひたすら流れに逆らって川を上っていきます。

 

川を上るとき、鮭は必死に泳いでいて、活性酸素も大量に発生しているのですが、強力な抗酸化作用を持つアスタキサンチンがそれを抑えているのです。

認知症の予防や脳の老化防止にも

アスタキサンチンは強い抗酸化力を持つだけでなく、血液脳関門を通り抜けるという特殊な働きをすることもわかっています。

 

血液脳関門というのは、脳に有害な物質が入り込まないように防ぐ関所のようなものですが、アスタキサンチンはこの厳しいチェックを通過できる数少ない物質なのです。

 

そのため、認知症の予防や脳の老化防止にも期待は高まるばかりです。

 

もちろん、サプリで摂取しなくても、意識して鮭の塩焼きやバター焼きをメニューに加えるだけでOKです。鮭をひと切れ食べるだけでいいのですから、面倒くさがりのあなたでも無理なくできるはずです。

 

 保坂 隆(ほさか・たかし) 精神科医 1952年山梨県生まれ。保坂サイコオンコロジー・クリニック院長、聖路加国際病院診療教育アドバイザー。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学へ留学。東海大学医学部教授(精神医学)、聖路加国際病院リエゾンセンター長・精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授を経て、2017年より現職。また実際に仏門に入るなど仏教に造詣が深い。著書に『精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術』『精神科医が教える50歳からのお金がなくても平気な老後術』(大和書房)、『精神科医が教えるちょこっとずぼら老後のすすめ』(海竜社)など多数。 

 

 西崎 知之(にしざき・ともゆき) 医師、医学博士 1954年生まれ。神戸大学医学部卒業。神戸大、米国カリフォルニア大学アーバイン校と一貫して生体内情報伝達機構を専門に研究している。特に脂質シグナルと関連づけた新規の認知症治療薬、糖尿病治療薬、がん治療薬の開発に従事している。現在、上海中医薬大学附属日本校、ベトナム国家大学ハノイ校の客員教授を務め、後進の研究指導に当たるとともに新しい研究分野にも挑戦している。著書に『認知症はもう怖くない』『私は「認知症」を死語にしたい』『脳の非凡なる現象』(以上、三五館)、『ボケるボケないは「この習慣」で決まる』(廣済堂出版)がある。共著に『あと20年! おだやかに元気に80歳に向かう方法』(明日香出版社)がある。