健康診断で「尿酸値が高い」と指摘…考えられる“3つの病気”とは? 専門医に聞いた | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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「尿酸値が高い」ときに考えられる病気は?

「尿酸値が高い」ときに考えられる病気は?© オトナンサー 提供

 

 健康診断の結果で、「尿酸値が高い」と指摘を受けたことはありませんか。

 

「もしかして病気?」「どうして高いんだろう…」と不安になったことがある人もいると思いますが、実際に「尿酸値が高い」場合、何らかの病気の可能性はあるのでしょうか。

 

広島ステーションクリニック(広島市東区)理事長で、肝臓学の専門医である石田清隆さんに聞きました。

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尿酸の正常値「男女ともに7.0ミリグラム」

Q.そもそも「尿酸」とは何ですか。

石田さん「尿酸はプリン体の老廃物です。プリン体とは、細胞の中の核にある『核酸』や、生体のエネルギー物質といわれる『ATP(アデノシン三リン酸)』などのことをいいます。それらが分解された最終代謝産物が尿酸です。

 

そのため、人間が生命活動をし、新陳代謝が行われている限り、体内で作られます。プリン体の分解は主に肝臓で行われ、腎臓や腸管から排せつされます。

 

尿酸の1日あたりの新規産生量は0.6グラム程度といわれています。産生された尿酸は体内にためられる一方で、主に尿や腸管から毎日同量の尿酸が出ていくため、体内の量は一定量以下に保たれています。

 

しかし、尿酸の産生が増えたり、排せつ量が減ったりすることで、血液中の尿酸の量が増え、尿酸値が高くなるというわけです。

 

検診での尿酸の正常上限値は、男女ともに7.0ミリグラム(1デシリットルあたり)です。値がこれ以上高くなると、尿酸が血液中に溶けず結晶となり、体内に蓄積される傾向が出てきます。これが『高尿酸血症』です。

 

高尿酸血症の頻度は、成人男性では20~30%、女性は閉経前では1%前後で、閉経後では3~5%に認められます。女性ホルモンには尿酸の排出を促す働きがあるため、女性は男性より有病率は低くなっています。

 

尿酸には抗酸化作用があり、体内で増え過ぎた活性酸素を消去する役割を持っています。多くのほ乳類動物は、体内でビタミンCを合成して体の酸化を防ぐことができますが、人間やモルモットは合成に必要な酵素を持っておらず、体内でビタミンCを合成できないため、尿酸を使って体の酸化を防いでいます」

 

Q.健康診断で「尿酸値が高い」と指摘されることがありますが、この場合にリスクが高い病気は何でしょうか。

 

石田さん「先述したように、尿酸は体の酸化ストレスの除去に必要な物質ですが、尿酸値が高いと血液中に溶け切らず結晶となってしまい、さまざまな弊害を起こします。それによって起こる主な疾患は、次の3つです」

 

【痛風】

関節に蓄積された尿酸結晶に免疫細胞が反応して炎症を起こし、激痛発作が起こるのが「痛風」です。温度が下がると溶解度が低下するため、体温の低い足の親指の関節が痛風発作の好発部位です。

 

その他、足首やくるぶし、膝、耳などにもみられることがあります。また、皮下組織や関節などに沈着してコブのようなものをつくることもあり、「痛風結節」と呼ばれます。

 

【痛風腎(つうふうじん)】

尿酸の結晶が腎臓にたまり、炎症を起こして腎臓の働きが低下した状態を「痛風腎」といいます。腎臓の機能が低下すると、尿酸の排出量が低下し、さらに尿酸結晶がたまりやすくなるという悪循環になるため、「慢性腎不全」に陥ることもあります。

 

痛風腎は、はっきりした症状がないまま進行することも多いため、注意が必要です。

 

【尿路結石症】

尿酸の結晶が腎臓にたまると、腎臓や尿管、ぼうこうなどに結石ができる「尿路結石症」を引き起こすこともあります。尿が酸性になると、尿中の尿酸の溶解度が著しく低下して結石ができやすくなります。壮年男性と閉経後女性に多くみられ、罹患(りかん)率は年々上昇しています。

 

腎結石は血尿で気付くこともありますが、多くは症状がありません。結石が尿の流れに沿って尿管内に落下し、尿路が閉塞すると腎盂内圧が急上昇して、激痛(腰背部から側腹部)や放散痛(下腹部)が起こります。この痛みは通常3~4時間ほど続き、夜間や早朝に起きることが多いです。

 

【その他】

高尿酸血症自体が血管内皮に炎症を起こし、動脈硬化から慢性腎臓病、心血管疾患、脳血管疾患、高血圧を引き起こす可能性も注目されています。

「プリン体の摂取量を抑える」だけでは不十分

Q.「尿酸値が高い」と指摘された場合、どうすればよいですか。

石田さん「先述の通り、尿酸はプリン体から作られるため、プリン体の過剰摂取を意識的に抑えることが重要です。『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第3版)』では、1日の推奨摂取量は400ミリグラムとされています。

 

しかし、プリン体については近年、食べ物から摂取する量より、体内で合成される量の方が多いということが分かってきました。そのため、食事によるプリン体の摂取量を抑えることは大事ですが、その注意だけでは不十分です。プリン体の多い食品の摂取を減らすこと以外に、次の4点も意識する必要があるでしょう」

 

【(1)水分を多く取る】

尿量を増やすことで、尿酸の排せつが増えます。

 

【(2)肥満による高インスリン血症を改善する】

肥満者の多くは「高インスリン血症」の状態になっています。インスリンは尿酸の排せつを低下させるので、過食を控え、適度な運動をしましょう。歩行、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、尿酸値を低下させるのでお勧めです。

 

逆に激しい運動をすると、エネルギー物質であるATPを大量に使うため、尿酸が増えてしまうだけでなく、大量に生じた乳酸が尿酸の排せつを低下させてしまいます。

 

【(3)飲酒を控える】

アルコールは尿酸の産生を増やし、尿酸よりも優先して排出されるため、尿酸の排せつを低下させます。

 

【(4)体内の血液・尿をアルカリ性にしてくれる食品を摂取する】

海藻や野菜といった「アルカリ性食品」は、尿をアルカリ化します。これらの食品を食べることで尿中の尿酸が溶けやすくなり、尿酸の排せつを増やします。尿路結石の予防にもつながるでしょう。

オトナンサー編集部