「歯の神経を抜く」ってどういうこと? “抜いた後も痛む”って本当? 歯科医師に聞いた | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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よく聞く「歯の神経を抜く」とは、つまり…?

よく聞く「歯の神経を抜く」とは、つまり…?© オトナンサー 提供

 

 虫歯治療のとき、よく耳にする「歯の神経を抜く」という言葉。

 

実際に神経を抜く治療を受けた経験がある人もいると思いますが、「どういうときに神経を抜く必要が出てくるの?」「神経を抜いたら歯はどうなるの?」

 

「神経を抜いた歯も痛むことがあるって本当?」といった疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。

 

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「歯の神経を抜く」というのはつまり、どういうことなのでしょうか。千葉センシティ矯正歯科(千葉市中央区)院長で歯科医師の石川宗理さんに聞きました。

感染源の「完全な除去」が目的

Q.そもそも、「歯の神経」はどこにあり、どんな役割を果たしているのですか。

石川さん「歯は大きく分けて、外側から次の3層構造となっています。

(1)エナメル質……人体で最も硬い組織。神経が通っていない

(2)象牙質……骨と同じくらいの硬さで細い神経の管が無数に通っている

(3)歯髄(しずい)……神経や血管、細胞などで構成される

 

この『歯髄』が、一般的には『歯の神経』と呼ばれています。実際には神経だけでなく、血管やさまざまな細胞が含まれていますが、メインの役割としては“歯が破壊されているかどうかのセンサー”です。

 

外層のエナメル質は、歯の頭(白い部分)だけを覆っており、神経は通っていないため、かんでも痛みを生じることはありません。

 

一方、象牙質は歯の頭から根っこまでの大部分を構成しており、無数の微細な管が空いていて、そこに神経の枝が全体に通じています。すなわち、この象牙質が外界にむき出しになったときには、痛みを感じます。

 

例えば、虫歯が進行して象牙質まで破壊が及んだり、歯茎が下がってエナメル質に覆われていない象牙質(歯根)がみえたりすることによって知覚過敏が生じます。

 

『歯が痛い』というのはとても嫌なことではありますが、私たちの歯によくないことが起きていることを、お知らせしてくれているのです」

 

Q.「歯の神経を抜く」とはつまり、どういうことなのでしょうか。

石川さん「基本的に、歯の神経を抜かなければならないときというのは、虫歯の進行が歯髄に達して感染を起こしたときです。

 

通常、体が感染を起こすと炎症が発生し、膿(うみ)が出ます。皮膚にできた場合は、膨れ上がったできものを切ってあげることによって圧力が下がり、痛みが緩和されます。

 

しかし、歯髄は周りを象牙質に覆われているため、炎症や膿によって圧力がどんどん高まり、痛みもどんどん強くなっていきます。

 

さらに、そのまま放置すると、感染は根っこの先から注射器のように骨へと進んでしまいます。そのため、圧力の解放と感染源の完全な除去を行い、根っこの先にまでダメージがいかないようにするために神経を抜く必要があるのです。

 

すなわち『歯の神経を抜く』とは、感染した歯髄を取り除き、完全に感染を除去することを指します。

 

Q.神経を抜いた歯はその後、どうなるのですか。

石川さん「神経を抜いた歯は中が空洞となるため、再び感染を起こさないよう、基本的にはゴムのような材料で密閉を行います。

 

そして、セオリー的には被せものをすることになるのですが、プラスチックのような材料で詰め物をすることもあります。

 

その場合は歯の色がどんどん劣化していくことがあるので、処置時は色が悪くなくても、時の流れとともにどんどん黒っぽくなってくることがあります。

 

色の問題だけではなく、血流がなくなった象牙質は、水分が抜けていきます。

 

枯れた枝が折れやすいのと同じように、歯も折れやすくなります。基本的には被せもので、周りを覆うことによって折れづらくすることが重要となります。

 

また、被せものをしている周りの掃除を怠っていると、虫歯が再発することがあります。

 

しかし、センサーである神経を抜いた歯は、『痛み』というシグナルを伝えることができないため、知らず知らずのうちにとても大きな虫歯ができてしまうことがあります。

 

以上のことから、歯の神経を抜くと、歯の“寿命”自体が縮むといっても過言ではありません」

「神経を抜いた後も痛む」の真偽は?

Q.一方で、「神経を抜いた歯が痛む」ことがあるというのは本当ですか。

石川さん「本当です。基本的には歯髄の死んだ歯でも、根っこと骨の間にある『歯根膜(しこんまく)』という部位の神経は生きているため、そこでは痛みを感じることがあります。

 

痛むケースの例としては、『神経や感染源の取り残しによって、根っこの先の感染が進んだとき』『かみ合わせが悪く、一部の歯に強く力がかかるとき』『歯が割れたとき』『歯周病が進行したとき』などが挙げられます。

 

また、神経のない歯ではなく、他の歯の痛みが脳で勘違いされた場合に生じる『関連痛』のケースもあります」

 

Q.その他、「歯の神経を抜く」ことについて、知っておくとよいこととは。

石川さん「歯の神経を抜く治療は、専門的には『歯内療法』といい、歯科の中でも専門性の高い分野です。

 

先述した通り、神経を抜いた歯には被せものをすることになるのですが、正しく感染源を取り除き、再感染が起こらないように適切に“栓”をしなければ、せっかくの高価な被せものも、すぐに外して再治療をしなければならない…といったことが起こります。

 

セラミックなどのいい歯を入れる際には、いい『歯内療法』にも着目してみるといいかもしれません。

 

また、唾液や呼気にも細菌が多数存在するため、完全無菌状態で治療する必要があります。そのため、唾液や呼気から歯を孤立させるアイテム『ラバーダム』を使うことなども非常に重要です。

 

これらの技術を総動員すると、時間と機材の費用がかかるため、多くの場合は保険外の診療となってしまいますが、再感染や再治療のことを考えると、とても有意義なことだと思うので、ぜひ検討してみてください」

 

オトナンサー編集部