いまだに特効薬のない新型コロナウイルスにおいて、自分の身を守るべく、免疫力を高めるために納豆やヨーグルトを食べる人も多いだろう。しかしこれらの健康食品にも添加物の魔の手は忍び寄る。
消費者問題研究所代表の垣田達哉さんはこう言う。
「特に、極端に安く売られている納豆には気をつけてほしい。発酵には時間と手間がかかるので、発酵時間を短くすることでコストを抑える場合がある。
アミノ酸液で旨みを加えたり、着色料で色味を補って作っている商品も存在します。添付されているたれやからしにも注意してほしい。
さまざまな添加物が含まれている可能性があり、なかには血糖値が急上昇して糖尿病や心臓病のリスクが上がる危険性があるものも。
しかし、30平方センチメートル未満の小さい包装の食品には表示義務がなく、それらが入っていても知ることすらできません」(垣田さん)
ヨーグルトにも安全性が不確かな人工甘味料を使っているものがある。食品ジャーナリストの郡司和夫さんはこう警鐘を鳴らす。
「糖尿病や心臓病のリスクを上げる果糖ブドウ糖液糖や脳卒中との関連性が指摘されたアスパルテームなど、摂取して健康になるとは言いがたい甘味料もあり、ヨーグルトだからといってすべてが安全とはいえません」(郡司さん)
トクホ(特定保健用食品)に指定され「内臓脂肪を減らす」とうたうお茶も要注意だ。
「2007年、カナダで高濃度茶カテキンのサプリメントで肝障害が報告されて同国で販売禁止になったほか、米国でも注意書きなしでは販売できないことになっています」(郡司さん)
食品添加物とはみなされないが、海外では禁止されているにもかかわらず、私たちの口に入る危険物はほかにもある。
日米貿易協定の発効により2020年1月から関税が安くなったアメリカ産牛肉。このほとんどが「肥育ホルモン剤」を使用して育てられているという現状がある。
米ボストン在住の内科医・大西睦子さんが説明する。
「1950年代からアメリカでは肥育ホルモン剤としてエストロゲンなどの女性ホルモンを投与して牛を育てています。
子牛の成長を早め、飼育コストを節減できるメリットがあるものの、ホルモン剤が残留した肉を食べた子供の性成熟を加速させたり、がんを誘発する懸念が拭えない。
1970年代後半にはプエルトリコで幼い女の子の乳房がふくらんだり月経が起きるなどの異常な性的発育が続出し、原因とされたホルモン剤はアメリカでも禁止になりましたが、別のホルモン剤はいまだに使用されています。
一方、こうした経緯からEUは1989年から肥育ホルモン剤使用牛肉が輸入禁止になりました。
ところが、日本では国内飼育される牛は肥育ホルモン剤の使用を禁止しているのに、輸入される肉に関しては何も制限がないのです」
EUが肥育ホルモン剤使用牛肉を輸入禁止にして、7年後には多くの国で乳がん死亡率が減った国もあったとの報告もある。そんな危険な牛肉が、日本にはどんどん入っているのだ。
「当のアメリカ人すらもその害が気がかりで、『ホルモンフリー』と表示された肉を選んで食べるようになっている。何も知らずに口にしているのは日本人だけかもしれません」(大西さん)