咳だけが8週間以上治らないのは「咳ぜんそく」? 放置すると「ぜんそく」に移行も【症状チェックリス | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

『無敵の「1日1食」 疲れ知らずで頭が冴える!』
さあ、元気に歳でもとりますか!それに女性は明日の美しさを迎えにいこう。

咳だけが8週間以上治らないのは「咳ぜんそく」? 放置すると「ぜんそく」に移行も【症状チェックリスト】

咳だけが8週間以上治らないのは「咳ぜんそく」? 放置すると「ぜんそく」に移行も【症状チェックリスト】

咳だけが8週間以上治らないのは「咳ぜんそく」? 放置すると「ぜんそく」に移行も【症状チェックリスト】© AERA dot. 提供

 

咳(せき)は身近な症状といえるでしょう。飲み物や食べ物にむせたり、冷たい空気を吸い込んだりすると咳が出るもの。これは空気の通り道である「気道(気管支)」の粘膜が刺激を受けて起こる、防御反応の一つです。

 

また、かぜやインフルエンザなどでは発熱やのどの痛み、頭痛とともに咳の症状が表れます。咳の多くは一過性のもので、感染症が治れば咳も治まっていきます。しかし、「咳が残っている」「咳だけ治らない」という状態が8週間以上続くなら、「咳ぜんそく」かもしれません。

 

 この記事は、週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院」編集チームが取材する連載企画「名医に聞く 病気の予防と治し方」からお届けします。「咳ぜんそく・ぜんそく」全3回の1回目です。

■夜間から早朝の乾いた咳が特徴

 かぜやインフルエンザでは咳に悩まされることは多いもの。感染症による咳は一般的に3週間以内で治まり、これを「急性咳嗽(がいそう)」と呼んでいます。

 

時にはそのあと、後遺症のように咳が残ってもほとんどは8週間以内に改善されます。しかし咳が8週間を超えて続く「慢性咳嗽」になると、「咳ぜんそく」が疑われます。

 

 咳ぜんそくになると気道(気管支)が過敏になり、慢性的な炎症が起こります。そのため、ちょっとした刺激で咳が出てしまうのです。

 

とくに夜間から早朝にかけて、痰(たん)を伴わない乾いた咳が出やすいのが特徴です。患者のなかには、「咳のために眠れない」と不眠を訴える人も多くみられます。

 

 また、花粉やダニが増える時期などに症状が表れやすく、「毎年、この時期に咳が出る」と、季節によって変化するのも特徴的です。季節だけでなく、日々の気圧の変化、温度・湿度の変動などでも、咳が出たり、症状が強くなったりします。

咳だけが8週間以上治らないのは「咳ぜんそく」? 放置すると「ぜんそく」に移行も【症状チェックリスト】

咳だけが8週間以上治らないのは「咳ぜんそく」? 放置すると「ぜんそく」に移行も【症状チェックリスト】© AERA dot. 提供

■アレルギーの関与が大きい

 では、どのような人が咳ぜんそくにかかりやすいのでしょうか。

 咳ぜんそくの気道の炎症には、アレルギー性鼻炎や花粉症などの「アレルギー性疾患」が大きく関与しています。

 

咳ぜんそく患者の約6割が、なんらかのアレルゲン(アレルギー症状を起こす物質)に対する抗体をもっています。

 

これを「感作」といいます。そのため、季節によって症状が強くなるという特徴がみられるのです。

 

 一方、残りの約4割の咳ぜんそく患者は、アレルゲンへの感作がなかったり、それまでアレルギー性疾患の病歴がなかった人です。

 

この場合の発症のきっかけとして最も頻度が高いのは、かぜやインフルエンザなどの感染症です。

 

感染症が治ったあとも気道の炎症が治まらず、咳だけが続いてしまいます。

 

季節による症状の変動はあまりありませんが、新たに呼吸器感染症にかかることや、天候の変化や運動、喫煙などによって症状が誘発されます。

 

 名古屋市立大学呼吸器・免疫アレルギー内科学分野教授の新実彰男医師はこう話します。

「咳ぜんそくの発症には、患者さんのもつ『気道過敏性』が関与しています。

 

アレルギー性疾患がなくても、気道が過敏な人では咳ぜんそくのリスクが高くなります。気道過敏性は生まれもっての体質によるところもあると考えられています」

 

 症状の引き金として、ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛など、患者にとってのアレルゲンに触れること(曝露)、気圧や温度・湿度などの変化、感染症、過労やストレス、睡眠不足など患者の体調が挙げられています。

咳だけが8週間以上治らないのは「咳ぜんそく」? 放置すると「ぜんそく」に移行も【症状チェックリスト】

咳だけが8週間以上治らないのは「咳ぜんそく」? 放置すると「ぜんそく」に移行も【症状チェックリスト】© AERA dot. 提供

■アレルゲンテストや呼気NO検査がおこなわれる

 咳ぜんそくの診断では、問診や聴診、胸部X線検査のほかに、呼吸機能検査、「アレルゲンテスト」や、気道の炎症の程度をみる「呼気一酸化窒素(NO)検査」などがおこなわれます。

 

▼問診

 問診は重要で、咳の様子、息苦しさの有無、呼吸をするときにぜいぜいする(喘鳴、ぜんめい)かどうか、感染症の有無、アレルギー性疾患を中心とした病歴、家族に咳ぜんそくやぜんそく、

 

アレルギー疾患をもった人がいるかどうか、生活環境などをくわしく聞きます。

 

 慢性咳嗽を起こす、そのほかの原因疾患を見分けるためにも、問診は重要です。胃酸の逆流で咳が出る「胃食道逆流症」、蓄膿症に合併する気管支炎である「副鼻腔気管支症候群」などが考えられますが、咳ぜんそくにこれらの疾患を合併している場合もあります。

 

▼呼吸機能検査

 思い切り息を吸ったり吐いたりする「スパイロメトリー」という検査で、肺活量や、気管支がどれくらい狭くなっているか(「気流閉塞」といいます)を調べます。

 

▼アレルゲンテスト

 アレルゲンが不明な場合には、血液検査などでアレルゲンを調べます。

 

▼呼気NO検査

 気道に炎症があると、呼気(吐き出した息)の中のNOの濃度が高くなることがわかっています。呼気中のNO濃度を測定して、炎症の強さを測ります。マウスピースをくわえてゆっくり息を吐く検査なので、痛みや負担はありません。

 

咳だけが8週間以上治らないのは「咳ぜんそく」? 放置すると「ぜんそく」に移行も【症状チェックリスト】

咳だけが8週間以上治らないのは「咳ぜんそく」? 放置すると「ぜんそく」に移行も【症状チェックリスト】© AERA dot. 提供

■生活の見直しと気管支拡張薬で改善

 咳ぜんそくの治療では、まず症状の誘因となるアレルゲンを除去することが基本となります。そのうえで、薬物療法がおこなわれます。

 

 薬物療法では、炎症を抑える「吸入ステロイド薬」と、炎症を起こして狭くなっている気管支を広げる「気管支拡張薬」を併用します。

 

気管支拡張薬を用いることで咳が改善されれば、咳ぜんそくと確定診断をつけることもできます。いずれも、専用の器具を使って吸入するタイプの薬で、両者が一つの器具に入った「配合剤」もあります。

 

 そして、生活習慣の改善も大切です。かぜやインフルエンザなどの感染症予防をしっかりする、禁煙、過労やストレスを防ぐ、規則正しい生活を送って体調を崩さないなどが、症状を悪化させないために必要となります。

 

 合併しているアレルギー性疾患を改善すると、咳ぜんそくが軽快することも少なくありません。

 

「アレルギー性鼻炎は咳ぜんそく患者さんの約50%に合併しています。鼻炎や、鼻炎から起こる鼻茸(はなたけ)を治療すると、咳ぜんそくも改善されることが多いです」(新実医師)

■症状のコントロールで、変わらない生活が送れる

 咳ぜんそくは慢性の病気で、治ることは少ないとされています。治療によって咳が出なくなっても、気道過敏性や気道の炎症は残っているからです。

 

しかし、適切な治療によって気道の状態をコントロールできれば、通常の生活を送り、趣味やスポーツを今まで通り楽しむことができます。長期間にわたって悪化しないようであれば、薬の中断が可能になる場合もあります。

 

 では、コントロールがうまくいかないとどうなるのでしょうか。咳ぜんそくは名前にもあるように、「ぜんそく」にきわめてよく似た病気です。

 

ぜんそくでは気道の炎症は咳ぜんそくよりも重症で、気管支の内径が小さくなって、空気の通り道が狭くなっています。

 

そのため、咳ぜんそくではみられない息苦しさや喘鳴が表れます。咳ぜんそくを放置したり、治療を中断してしまったりすると、なかにはぜんそくに移行するケースもあります。

 

「8週間以上咳が続くことが診断の目安となっていますが、患者さんはどれくらいの期間続いているか思い出せないことも多いでしょう。

 

一定期間、咳に悩まされ、自然によくなる傾向がなければ、まずは内科などのかかりつけ医に相談することをおすすめします」(新実医師)

 

(取材・文/別所文)

【取材した医師】

名古屋市立大学医学研究科呼吸器・免疫アレルギー内科学分野教授 新実彰男(にいみ・あきお)医師

1985年 京都大学医学部卒。英国インペリアル・カレッジ・ロンドン留学、京都大学大学院呼吸器内科学准教授などを経て、2012年名古屋市立大学大学院腫瘍・免疫内科学教授、14年から現職。22年からは同大病院副病院長も兼任。専門は呼吸器内科学、アレルギー学。「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」「喘息予防・管理ガイドライン2021」などの作成に携わる。日本内科学会理事、日本呼吸器学会理事、日本咳嗽学会理事長。

咳だけが8週間以上治らないのは「咳ぜんそく」? 放置すると「ぜんそく」に移行も【症状チェックリスト】

咳だけが8週間以上治らないのは「咳ぜんそく」? 放置すると「ぜんそく」に移行も【症状チェックリスト】© AERA dot. 提供

名古屋市立大学病院 愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1

汗を大量にかく人とかかない人の違いは? 発汗機能は2歳までに決まる説も 多汗症チェックリスト

汗を大量にかく人とかかない人の違いは? 発汗機能は2歳までに決まる説も 多汗症チェックリスト© AERA dot. 提供

連載「名医に聞く 病気の予防と治し方」を含む、予防や健康・医療、介護の記事は、WEBサイト「AERAウェルネス」で、まとめてご覧いただけます。