咳、のどの痛み、鼻づまり…風邪ではなく花粉症でもない「喉の違和感」を放置してはいけないワケ | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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咳、のどの痛み、鼻づまり…風邪ではなく花粉症でもない「喉の違和感」を放置してはいけないワケ

出所=『その不調の原因は慢性上咽頭炎にあった』(イラスト 林ユミ)

出所=『その不調の原因は慢性上咽頭炎にあった』(イラスト 林ユミ)© PRESIDENT Online

 

「喉の違和感」を放置していると、全身の不調につながる恐れがある。医師の堀田修さんは「のどの痛みや咳、鼻づまりなどの症状がある場合は慢性上咽頭炎の可能性がある。風邪に似ているが風邪薬は効かず、体の離れた場所にまで、さまざまな病気や不調をもたらす」という――。

 

※本稿は、堀田修『その不調の原因は慢性上咽頭炎にあった』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

「のどちんこの裏側」が不調を引き起こす

まずは、図表1をご覧ください。

もし、あなたがこういった病気や不調に悩まれているなら、きっと本書がお役に立てると思います。

 

これらを引き起こす「おおもと」の原因となるのが、これから詳しく取り上げる「慢性上咽頭炎」なのです。

 

画像1で挙げた、さまざまな不調。症状が起こる体の部位にせよ、現れる症状にせよ、多種多様で、まったく異なる病気と捉えるのが一般的な考え方です。

 

しかし実は、これらの不調を引き起こす「おおもと」は共通しています。その「おおもと」というのが、鼻の奥にある「上咽頭(じょういんとう)」という部位です。口蓋垂(こうがいすい)(のどちんこ)の裏側に位置しています。

異物が入るとまず「上咽頭」で炎症が起きる

呼吸によって左右の鼻の穴から吸い込まれた空気は鼻の奥で合流して、肺に続く気管へと向かいます。鼻から入った空気が流れを変える場所が、上咽頭です。

 

吸い込んだ空気には、ほこりやダニ、さまざまな細菌やウイルスなど、体に有害な異物が含まれていることがあります。私たちの体には、こうした異物から体を守るための「免疫」のしくみが備わっています。

 

上咽頭はこれら異物との最初の接触地点であり、この場所で炎症が起こるのが「上咽頭炎」です。

咳、のどの痛み、鼻づまり…風邪のようで違う

もともと上咽頭は、細菌やウイルスが侵入して増殖することにより、炎症を引き起こしやすい場所です。上咽頭に炎症が起こると、鼻水や咳、のどの痛み、つまり、風邪のような症状が現れます。

 

こうした急性の上咽頭炎であれば、抗生剤や消炎剤などで治療できますし、少し経てば自然に治ることが多いものです。

 

ところが、なんらかの理由によって、上咽頭の炎症が慢性化した状態になってしまうことがあります。これを「慢性上咽頭炎」と呼びます。

 

慢性上咽頭炎は「ウイルスや細菌などの感染」と「環境や生活習慣、ストレスなど感染以外の原因」という二つが影響しあって起こると私は考えています。

 

慢性上咽頭炎でも、しつこく続く咳、のどの痛み、鼻づまり、頭痛など、急性の上咽頭炎(風邪)と似た症状が現れるのが典型的です。

 

しかし、急性の上咽頭炎とは違い、抗生剤や消炎剤が効かないという特徴があります。

 

しかも、さらなる大きな問題が生じます。それは、この慢性的な炎症が病巣(びょうそう)となって、体の離れた場所にまで、さまざまな病気や不調をもたらすということです。

「のどの違和感」を感じていないか

なぜ、鼻の奥にある上咽頭の炎症が全身に不調をもたらす原因となるのか? そのメカニズムについては本書で詳しく説明しています。

 

ここで強調しておきたいのは、慢性上咽頭炎を治療することにより、関連する症状が劇的に改善していくということです。

 

病院に行っても原因不明だったり、治療を受けてもいっこうに効果がなかったりした症状が、慢性上咽頭炎の治療でウソのようによくなったケースが多くあります。

 

そもそも、慢性上咽頭炎は決して珍しい病気ではありません。程度の差はあれど、多くの人によく見られる病態(病的状態)です。

 

例えば、読者の皆さんにも「のどがしじゅう痛い、違和感がある……」といった症状に身に覚えのある方がいらっしゃることでしょう。これは非常に高い確率で慢性上咽頭炎の可能性があります。

タバコを吸っている人はリスクが高い

慢性上咽頭炎があるかどうかは、専門的知識を持つ医師に診断してもらう必要がありますが、セルフチェックでおおよその見当をつけることもできます。次の項目に当てはまるかどうか、チェックしてみてください。

 

□ 朝起きると、のどがイガイガする、痰がからむ

□ 鼻水がのどを流れ落ちてくる

□ 咳がいつまでも続いている

□ 疲れ、頭痛、肩こりがとれない

□ しょっちゅう風邪をひく

□ 口を閉じると、あごに梅干しのようなしわができる

□ 唇がいつも乾燥している

□ 耳の下(胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん))を触ると痛みがある

□ 睡眠中、いびきや歯ぎしりがある

□ すっぱいものがこみ上げることがある

□ 舌の側面に歯型がついている

□ タバコを吸っている

2個以上に当てはまるようなら、慢性上咽頭炎の可能性があります!

処方薬はないが、治療法はある

慢性上咽頭炎には現在、処方できる薬はありません。ですが、ご安心ください。たいへん有効な治療法があります。

 

それが「上咽頭擦過(さっか)療法」です。最近では、英語訳の「Epipharyngeal Abrasive Therapy」の頭文字を取って「EAT」(イート)と呼ばれています。

 

手法としては単純なもので、0.5~1.0%濃度の塩化亜鉛の溶液を浸み込ませた綿棒を鼻から、咽頭捲綿子(いんとうけんめんし)(のどの奥に薬を塗るための医療器具)を口から直接入れ、上咽頭にこすりつけるという治療法です。

 

この際、塩化亜鉛を軽く塗るだけではあまり効果がなく、綿棒をしっかりと上咽頭にこすりつける必要があります。単純な方法ではありますが、こすりつける力加減などには多少のコツがあって、治療者の熟練を要します。

慢性的な炎症があると、大人が泣くほど痛い

EATを行ったとき、慢性上咽頭炎がある人と、そうでない人とでは、実は反応がまったく違います。

 

上咽頭は常に体外からの異物の侵入にさらされているため、健康な人でもある程度の炎症があるものです。けれど、それが病的な炎症でない限り、EATを行ってもさほどの痛みはありません。出血もないか、あっても軽度です。

 

ところが、上咽頭に病的な炎症が起こっていると、綿棒をこすりつけることで激しい痛みを感じるのです。大の大人でも耐えきれずに涙を流すようなことが珍しくないほどです。

 

また、炎症が激しいほど大量の出血が起こり、挿入した綿棒に血が付着します。白い塊状の膿(うみ)(死んだ免疫細胞や細菌、ウイルスなどがたまったもの)が取れることもあります。

 

こうした痛みや出血の程度が、慢性上咽頭炎を見分ける重要なポイントの一つになります。EATは慢性上咽頭炎の「治療」になると同時に、「診断」にもなるのです。

さまざまな不調や症状が改善するきっかけに

「とても痛い、出血する」と聞いて、怖くなってしまう人もいるかもしれませんが、EATは高い治療効果を発揮します。

 

慢性上咽頭炎が治っていくにつれ、EATを行っても痛まないようになっていきます。そして、さまざまな不調や症状も改善していきます。

 

もし、さきほど紹介したチェックリストで慢性上咽頭炎が疑われる場合は、EATを試す価値があると言えます。

 

ちなみに従来、この治療は「Bスポット療法」と呼ばれていました。

 

「B」は鼻咽腔(びいんくう)の頭文字を取ったもので、上咽頭治療のパイオニアである故・堀口申作(しんさく)先生(東京医科歯科大学名誉教授)の著書『原因不明の病気が治るDr堀口の「Bスポット療法」』(光文社)の中で、読者の関心を高めるために出版社が命名したのだそうです。

 

私も以前は「Bスポット療法」と呼んでいましたが、近年では慢性上咽頭炎の治療について海外からの問い合わせも増えてきたため、海外の人にもわかりやすいように、英語訳の略称「EAT」を用いることにしたのです。

 

堀田 修(ほった・おさむ) 医学博士 1957年生まれ。愛知県出身。防衛医科大学校卒業、医学博士。医療法人モクシン堀田修クリニック院長、認定NPO法人日本病巣疾患研究会理事長、IgA腎症根治治療ネットワーク代表、日本腎臓学会評議員。2001年、IgA腎症の根治治療である扁摘パルス療法を米国医学誌に発表。現在は同治療の普及活動と臨床データの集積や、扁桃、上咽頭、歯などの病巣感染(炎症)が引き起こすさまざまな疾患の臨床と研究を行う。著書に『病気が治る鼻うがい健康法』(KADOKAWA)、『つらい不調が続いたら慢性上咽頭炎を治しなさい』(あさ出版)など