医師が「どうしましたか?」と聞く理由|最善の治療を受けるための心得 | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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その場で医師から発せられた言葉が「どうしましたか?」の一言。


 「妻がどうしても病院に行けとうるさいので…」など思うままに話し出すと、医師の顔がみるみる曇っていくので、こちらとしても戸惑ってしまう…こういった体験は、だれしも一度はあるだろう。

 

最近は医療者と患者のコミュニケーションの不具合が、しばしば話題になる。それは「医者の側に問題がある」といった論評に傾きがちだが、本当にそうなのか。

 

そのあたりの問題に一石を投じ、両者の好ましいコミュニケーションのあり方を説いたのが、今回紹介する書籍『医者のトリセツ 最善の治療を受けるための20の心得』(世界文化社)だ。

医師の「どうしましたか?」の真意


 頭痛で来院した患者の例を続けよう。本書は、医師の「どうしましたか?」には、「さまざまな可能性を絞り込む判断材料が欲しいので、あなたの体に起きていることを教えてください」という意味が込められていると述べている。

 

真っ先に知りたいのは「主訴」。「頭が痛い」がそれにあたる。その次に知りたいのは、症状が始まり、今の時点までどう変化してたのかの「ストーリー」。

 

そう言われると難しそうだが、時間軸に沿って順序立てて話すことに留意すればOKだ。さらに、「もともと頭痛持ちなのですが」「頭痛知らずだったのですが」といった付加情報があれば完璧だとも。

ここまでくれば、医師の頭の中では絞り込みが進み、いくつかの可能性が残されるはず。患者さんは、さらに絞り込むために投げかけられる質問に対して、感情や自己分析など余計な言葉をはさまずに答えていけばよいのです。(本書44pより)

もう1つ、患者が戸惑いやすい質問に「痛むとき、あなたは何をしていましたか?」というのがある。
ソファでテレビを見ていたというものであっても、「特に、なにもしていませんでした」はNG。医師にしてみれば、単に「ソファでくつろいでいた」という情報でも有益なのだ。

 

これは、静かにしている時に起きた頭痛と、運動をした直後の頭痛とでは、その原因も異なる可能性があるから。「赤ワインを飲んでいた」というような、素人目には関係なさそうな情報もきちんと伝えよう。

「お任せします」は安易に言わない


診断が終わると、治療法の選択という重要な局面に入る。ここで安易に「お任せします」と言ってはならないという。特に重い病気で、その医師との付き合いが浅い場合、この言葉を使ってしまうと、「治療方針が不本意な方向に進んでしまう」リスクが伴う。

「お任せします」といわれた医師は、「患者さんは私の説明をきちんと理解し、私を信頼して任せてくれた」と勘違いし、患者さんにとってではなく医師が最善と思う治療法を迷わず選択することになるからです。(本書112pより)

大事なのは、「絶対に嫌だ。これだけは譲れない」と思う事柄を、きちんと伝えること。例えば、仕事の繁忙期と重なって長く入院するわけにはいかない場合、その事情を話す。それに応じて、医師からは「それならこういう方法もあります」と提案される可能性が生まれる。

 不調でも検査で異常がない場合のコミュニケーション


頭痛や耳鳴りが続いているといった、漠然とした体の不調。診断・検査を受けても、これといった異常は見つからず、通院してもなかなか改善に結びつかない。

 

多くの人が経験する、こうした困った状況に対して、医師は「後ろめたさ」を感じているという。


 患者が不調を訴えても、検査結果に異常が認められないケースは少なくないそうで、医師の側から見ればこれは「病気とはいえず、したがって有効な治療法も提示できない」というジレンマに陥る。

 

これに対し、患者が症状のつらさを訴え続けると、効き目のあまり期待できない薬が処方されるという問題が…これについて本書は、「セルフケアと医療の両面から取り組む意識を持つ」必要性を説いている。

重要なのは患者さん自身の“トライ・アンド・エラー”。日常生活の中でできるセルフケアを試み、その結果を医師に伝えるのです。

 

このとき、患者さんがつらさの程度や変化を数字に置き換えるなど、わかりやすく伝える工夫をしてくれると医師は非常に助かります。(本書153pより)

患者のセルフケアの結果に対し、医師はフィードバックを行い、より有効なセルフケアを探って実践する。こうした二人三脚の取り組みにより、不調の改善を目指す。医師に頼りすぎることなく、医学的専門性をうまく活用するのが吉だという。

本書の監修に携わったのは、東京医療センターの尾藤誠司臨床研修科医長。患者と医療従事者のコミュニケーション研究の第一人者であり、本書は「よい医者の見つけ方」のような皮相的な内容に陥らず、

 

含蓄に富んだ1冊に仕上がっている。医師とのコミュニケーションに問題ありと自覚している方に一読をすすめたい。

【今日の健康に良い1冊】
『医者のトリセツ 最善の治療を受けるための20の心得』

(尾藤誠司監修、本体1000円+税、世界文化社)

文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。