【食と健康 ホントの話】
厚生労働省が推奨する1日の野菜摂取量は、350グラム以上。しかし「平成26年国民健康・栄養調査」によると、実際に食べている量は男女平均292・3グラムだ。目標値のクリアはなかなか難しい。
それならば、食物繊維の代わりになるものはないのか、ということで近年注目されているのが「レジスタントスターチ」だ。別名「難消化性でんぷん」という通り、主に穀物やイモ類に含まれる。
食物繊維やレジスタントスターチが健康に有益な理由は、腸内細菌のバランスを整えるためだ。近年わかってきたのは、通称「デブ菌」と呼ばれる、消化されたものを脂肪としてため込みやすくする腸内細菌群の存在だ。
一般的に、腸内細菌はヒトの役に立つかどうかで、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」に分けられるが、デブ菌は悪玉菌寄りの日和見菌で、悪玉菌が優位になるとデブ菌も活発に働き、肥満体質に傾くとされる。しかし、消化器外科医で栄養学の研究者でもある、田無病院(東京都西東京市)の丸山道生院長はこう説明する。
「これがデブ菌だ、というものが同定されているわけではなく、ファーミキューテス門が増え、バクテロイデス門が減ることが、体重増加に関係していると考えられています」
“門”とは生物分類学上の階級の一つで、ものすごく広いグループの概念だ。その大きなグループのバランスが一定方向に傾くと太りやすい、ということがわかっている。それを阻止するためには、善玉菌を優位にする食事をすることが望ましい。