世の中にはさまざまな依存症があります。アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症など、身を滅ぼしてしまう危険の高い病気ばかりです
。そのなかで近年「セックス依存症」が注目されるようになりました。性の快感や興奮に溺れてしまい、性病、望まない妊娠を引き起こす危険もあります。
「セックス依存症」はいったいどのようなメカニズムとなっているのでしょうか。医師に聞いてみました。
セックス依存症とは何ですか?
性依存症は精神疾患に分類される依存症の一つで、依存の対象がセックス、あるいは性的な行動であるものを指します。
依存の対象は、性交渉ばかりでなく、マスターベーションであったり、アダルトビデオやサイトであったり、ネットで性的なチャットを行うことであったりする場合もあります。
これ以外にも性的な刺激があったり興奮を呼び覚ます行為におぼれ、自分で抑制が効かなくなっていくもの全般を指します。
セックス依存症になりやすい特徴
子供時代からの肉親との関係が希薄であったり、親からの愛情が十分注がれず淋しい思いをしたと本人が認識しているケースや、性的虐待を受けたことがある場合、自分に自信がないときにも発症しやすいといわれています。
また、日常生活で不安や孤独感、ストレスが多く、何らかのはけ口を求めるケースでも発症しやすいとも言われることがあるようです。男性ホルモンが発症に関与している、といった説もあります。
セックス依存症によって引き起こる危険
セックス依存症にかかってしまうと、配偶者や恋人など特定の相手がいるケースでは、相手の状況を考えず自分の欲求に従って身勝手にセックスを求めたり、特定の相手以外と性行為のために浮気をしてしまったりするトラブルが予想されます。
また、特定の相手がいないケースでも、不特定多数の相手とセックスをし、性病や望まない妊娠に至ったりすることも考えられます。
依存が通常の生活で満たされない場合には、買売春などを行ったり、性的な内容のビデオや書籍などを万引きしたり、性犯罪などを起こしてしまう危険性もあります。
セックス依存症の治療方法
セックス依存症の治療は主に精神科で行われます。
治療施設への入院や、外来の場合はカウンセリング、あるいは必要に応じてお薬を処方することで不安感などを抑える治療を行う場合もあります。
しかし、特効薬はなく、時間をかけてじっくり向き合っていくということになります。
日本が「セックス依存症」の意識が低い理由
日本で海外よりもセックス依存症に対する意識が低い理由としては、セックスに関して人前で話すことをタブーとする風潮が強いことが挙げられると思います。
また、セックス依存症に限らず、アルコールや薬物など、「依存症」に対する治療の選択肢があまり一般的に知られていないことも関与しています。
こういった依存症を患っていることを他人に開示し、治療を受けるということに心理的な抵抗が強いということも挙げられるかもしれません。
医師からのアドバイス
セックス依存症は、ただセックスが好きな人、ということとは異なり、性的なことに関する衝動のコントロールの障害ということができるでしょう。自分が当てはまるかなと思う方は、早めに精神科を受診することをお勧めします。