“若年性認知症になる平均年齢”は51歳。見逃してはいけない「15のシグナル」 | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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70~80代の年老いた親は常にリスクに晒されている。だが、離れ離れに暮らしていると、そのわずかな異変に気づくことは難しい。病気、犯罪、異性の影……そんな見えない脅威から老親をイチ早く守る術を伝授!

 

◆若年性認知症になる平均年齢は51.3歳

「そんなことして大丈夫かよ。危なっかしいなぁ……」

 

帰省した際、久々に会った親の「異変」を目の当たりにしてそんな危機感に駆られた人もいるのではないか。

 

厚生労働省によると若年性認知症になる平均年齢は51.3歳だという。いつ親が症状を発症してもおかしくないのだ。

 

65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は’12年には7人に1人だったが、’60年には3人に1人になると推計される(※厚生労働省の若年性認知症のデータを基に編集部で作成)

65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は’12年には7人に1人だったが、’60年には3人に1人になると推計される(※厚生労働省の若年性認知症のデータを基に編集部で作成)© 日刊SPA!

 

そこで今回、週刊SPA!は「親を介護している男女200人」を対象にアンケートを実施。「親に異変を感じたきっかけ」という問いに対して多かったのが認知症の兆候だった。

 

◆親に異変を感じたきっかけは?

 

「今までは当然、お米を箸で食べていたのに、久々に実家に帰ったらスプーンで食べるようになっていた」(55歳・男性)

 

「普段より歯磨きする回数が増えた」(60歳・女性)

 

今回、寄せられた回答の中には、こういった記憶障害と思われるわずかな異変をきっかけに認知症が発覚したケースも多く見られたが、加齢による単なる物忘れなのか、

 

深刻な記憶障害なのか、見極めは難しい。老年学研究の第一人者である医師の渡辺修一郎氏が話す。

 

「細かい内容を忘れているということは普通の老化や健忘症でも見られますが、認知症の記憶障害は体験そのものを忘れてしまい、きっかけがあっても思い出せないという点に特徴があります」

 

◆「おかずが一品減る」「買い物はキャッシュレス」複雑な作業ができない

記憶系の認知機能が低下し短期的な記憶に支障が出てくると、脳のワーキングメモリーをいくつも同時に使う作業が困難になる。そのため、食材を切り、お湯を沸かし、

 

その間に油で炒め物をするなどタスク(仕事・課題)が多岐にわたる調理は避けられる傾向にある。

 

実際、今回行ったアンケートの中でも「自炊が減っておかずも一品減った」(64歳・女性)といった回答があった。渡辺氏が続ける。

 

「料理の場面では、吹きこぼしが増えたり、調味料を入れ忘れたりといったことが起きやすい。ダブルタスクが難しくなると、面倒くさいと感じることは徐々にやらなくなっていくため、前述の食事をするとき『箸を使わずスプーンで食べるようになる』といった兆候も表れます」

 

◆抑うつ的な症状や意欲の減退にも注意が必要

 

何事もおっくうがってやる気を失っていくと、異変は目に見えるかたちで顕在化する。

 

「趣味などをやめてしまうといった抑うつ的な症状や意欲の減退も、代表的な認知症の初期症状。それまで身だしなみを整えていたのが無頓着になり、部屋の整理整頓ができなくなるなどの変化にも注意が必要です」(渡辺氏)

 

◆もっとも大きなリスクとなるのが「クルマの運転」

一方、認知機能の低下がもっとも大きなリスクとなるのがクルマの運転だ。公共交通機関が行き届かない田舎で暮らす老親にとって、クルマは日常生活を維持する生命線。免許の自主返納率は80代ドライバーでいまだ10%未満というのが実情である。

 

「免許返納を勧めても『注意して運転しているので大丈夫。それにクルマがないと買い物ができない』と言うので黙っていたが、帰省で最寄り駅まで迎えに来てもらったとき、

 

以前は注意深く運転していた道幅4mの山道をノーブレーキで走るのを見て怖くなり、病院で診てもらうことにした」(50歳・女性)

 

こんなアンケート回答も散見されたが、シルバー世代のドライバーによる異変を知らせるアラートは、すぐさま大きな事故に直結するため注意が必要である。

 

◆運転ミスが増えたことがきっかけで認知症が見つかることも

 

「頻繁にクルマをぶつけたり、脱輪するなど運転ミスが増えたことがきっかけで認知症が見つかることも多い。老化によって反射神経が鈍ったり運動スキルは低下しますが、これとは別に、認知症が絡む事故の場合は、決定的な判断ミスが大きな要因です」(渡辺氏)

 

現在、国は75歳以上のドライバーを対象に認知機能検査を義務づけており、警察庁のWebサイトには問題用紙も掲載されている。そのため脳科学者の篠原菊紀氏は、親の異変に気づいたら、こういったテストを積極的に活用するのもいいと話す。

 

「自動車免許の認知機能検査では、16種のイラストを制限時間内に覚えさせ、単純な数字は用いたタスクを課した後でいくつ思い出せるかテストします。これは認知症のスクリーニングをするうえで効果的です」

 

◆メールやチャットでは意外と気づきにくい

“認知症になる平均年齢”は若年性を含むと51歳。見逃してはいけない「15のシグナル」

“認知症になる平均年齢”は若年性を含むと51歳。見逃してはいけない「15のシグナル」© 日刊SPA!

 

異変のシグナルは、ほかにもある。

 

「キャッシュレスでの買い物が多くなった」(65歳・男性)

 

「会話が少なくなった」(50歳・女性)

 

「キャッシュレスが増えたというのは、細かい計算が苦手になっているということですね。また、軽度の認知症では“言語流暢性”が失われるといったことも頻発しますが、

 

会話は生成AIと同じで論理矛盾がなければ成り立つため、メールやチャットでは意外と気づきにくい。TPOをわきまえない言動や、面倒に感じて連絡の頻度が減るといったことが先に起きる場合も多い気がします」(篠原氏)

 

下に認知症が疑われる際のチェックポイントを掲げた。異変を感じたら即座に専門医に相談することが肝要だ。

 

◆「認知症のシグナル」チェックリスト

 

①昔は密にあった連絡が減った

②おかずが一品減った

③箸ではなくスプーンで食事をする

④キャッシュレスでの会計が多い

⑤昔話など同じ話をするようになる

⑥財布や鍵を探すようになる

⑦心配で同じことを何度も聞いてくる

⑧綺麗好きだったのに散らかっている

⑨クルマの傷が増えている 

⑩料理の味つけが大きく変わった

⑪食への興味や意識が減退している

⑫身だしなみを気にしなくなった 

⑬お風呂にあまり入らなくなった

⑭感情の起伏が大きくなった

⑮人や物を「あれ」と呼ぶことが増えた

 

【老年学博士・渡辺修一郎氏】

桜美林大学大学院教授。老年学研究の第一人者として、身心の「老い」を迎えても質の高い生活を目指すための研究に取り組む 

 

老年学博士・渡辺修一郎氏

老年学博士・渡辺修一郎氏© 日刊SPA!

 

【脳科学者・篠原菊紀氏】

公立諏訪東京理科大学教授。専門は脳神経科学、応用健康科学。著書に『「すぐにやる脳」に変わる37の習慣』ほか多数

 

脳科学者・篠原菊紀氏

脳科学者・篠原菊紀氏© 日刊SPA!

 

取材・文/週刊SPA!編集部 アンケート協力/パイルアップ 撮影/近藤沙菜 モデル/島松悦子

※8月22日発売の週刊SPA!特集「[老親が危ない]診断」より