●プラセンタ注射の副作用について
美肌や美白、疲労回復などさまざまな美容・健康効果が期待できるプラセンタ注射。注射に使用されるプラセンタ薬は国内のヒト胎盤エキスを原料とした医薬品です。現在、日本では「メルスモン」と「ラエンネック」の2つの製剤が薬事法で承認され、厚生労働省に認可されています。
プラセンタの皮下注射や筋肉注射では重い副作用の心配はほとんどありませんが、ごくまれに投与後に悪寒や吐き気、発熱、発疹などの症状が出ることがあります。
これは、アレルギー体質や体力が低下している場合などに起こる一種の拒絶反応です。このような症状が出た場合、すぐに投与を中止する必要があります。
また、注射したところに疼痛や発赤といった副作用が出ることがありますが、たいていの場合、半日ほどで症状は消えるのでさほど心配はないでしょう。
●プラセンタ注射を受ける際の注意点
○静脈注射は未認可
プラセンタ注射薬の静脈注射は、血圧低下やショック状態、呼吸困難、チアノーゼ、痙攣(けいれん)、ホルモン異常などの症状が臨床実験で現れた症例があるため、投与法として認可されていません。
また、静脈注射はすぐに成分が体外へ排出されてしまいます。プラセンタの効果を十分に発揮させるには、皮下注射や筋肉注射を選ぶとよいでしょう。
○カクテル注射のリスク
他の薬剤と混合させたカクテル注射も投与法として認可されていません。
血圧低下やショック状態、呼吸困難、チアノーゼ、痙攣、ホルモン異常といった副作用の可能性があるほか、プラセンタの他に配合された成分との相互作用でリスクが懸念される注射だからです。
プラセンタ治療を受ける際は十分に注意して、投与方法を選びましょう。
○献血に注意
プラセンタ注射は、ヒト胎盤由来のエキスが原料です。心配されるのが変異型クロイツフェルトヤコブ病「vCJD」という病気。献血の際に「vCJD」の適切な検査方法がないからです。
今まで、プラセンタ注射による感染の報告はありませんが、理論的なリスクを否定できないため、プラセンタ注射を投与したことがある方は献血ができなくなっています。
上記のことを踏まえ、医師の説明をよく聞いたうえで、慎重に治療を受けるようにしましょう。
(この記事の監修: 高輪皮膚科・形成外科 院長 / 小林しのぶ 先生)