白内障手術 単焦点レンズと多焦点レンズ どちらを選択すべきなのか…多焦点なら眼鏡は不要になる? | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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目の中でレンズの役割をしている水晶体が濁って、目がかすむ、ぼやける、まぶしいといった症状が出るのが白内障で、加齢とともに起こります。

 

改善するために水晶体を人工の眼内レンズに入れ換える手術が行われています。人工レンズは、焦点がひとつの単焦点レンズと、レンズに複数の焦点がある多焦点レンズがあります。

 

どちらを選んだらいいか、という相談がヨミドクター編集部に届きました。

 

多焦点特有のデメリットもあるようで、井上眼科病院(東京・お茶の水)名誉院長の若倉雅登さんに回答していただきました。 【図解】単焦点レンズと多焦点レンズの特徴

多焦点なら眼鏡がいらなくなると言われたが…

相談はこのような内容です。  「57歳男性です。先日、眼科検診で軽度の白内障で将来は手術が必要と言われました。

 

その際に自由診療の多焦点レンズにすれば、近視も乱視も矯正できて眼鏡がいらなくなると言われました。

 

大変魅力的に感じたのですが、単焦点レンズと比べて費用以外に何かデメリットやリスクはありますでしょうか? また、白内障の手術は両目同時にやるのでしょうか?」

「手術前の方がよく見えた」と受診する人も

【回答】 
 白内障手術は濁りのある水晶体を、眼内レンズに置き換える手術です。技術も眼内レンズも大変進歩した安全性の高い手術ですが、感染症リスクなどを考慮し、原則両眼同時には行いません。  
 
眼内レンズには保険適用される単焦点レンズと、遠近など2か所以上に焦点が合う多焦点レンズがあります。近年は3焦点以上のものや、焦点深度を光学的に拡張したものなどが開発され、選択の幅が広がっています。
 
ちなみに、国が認めた多焦点レンズを用いる場合は「選定療養」(保険適用分に加えて眼内レンズ代金差額分などを支払う方式)が利用できます。
 
認定レンズ以外は自由診療になります。  
 
手術で眼内レンズが挿入されると、見え方の条件が以前とは変化します。
 
ものを「見る」のは実は眼球ではなく脳なので、手術自体に問題がなくても、この条件変化に脳がすぐにうまく適応しないことがあり、そのような悩みを持つ患者さんが筆者の外来を受診されます。
 
  具体的には、「手術前のほうがよく見えた」「まぶしさが増強した」「手術の後、不快で疲れやすい」「夜間見えにくい」「眼鏡から解放されない」などです。  
 
まぶしさの原因が白内障ではなかった方、日常生活であまり不都合を感じていなかったのに手術をしたという方の中に、不適応や不満が散見されます。
 
また、強い近視の方や、多焦点レンズを選択した方に術後の不調がやや出やすいようです。

見え方の明快さやコントラストが低下することも

 多焦点レンズを使うと見たい距離ごとに眼鏡を変える必要性が減る大きなメリットがあります。

 

一方、大半の方は時間とともに改善してくるとはいえ、多焦点レンズの光学的特性のために生じる以下のデメリットが気になる方もいます。

 

 1)単焦点に比べて焦点の像の明快さ(質)が若干低下することがある 2)光がにじむ、まぶしく感じることがある(夜間運転などで不都合) 3)濃淡を見分ける力(コントラスト感度)が低下することがある

早期発見、早期手術ではない

 白内障に関して早めの手術を勧める医師もいますが、この病気に限っては「早期発見、早期手術」の原則はあてはまりません。

 

自覚的に不都合が生じ、かつその不都合が確かに白内障によることを確認し、手術の目的を明確にしてから受けるべき手術だと筆者は考えます。

 

迷ったら、セカンドオピニオンを利用するのも選択肢でしょう。

わかくら・まさと

1949年、東京生まれ。80年、北里大学大学院博士課程修了。北里大学助教授を経て、2002年、井上眼科病院院長。12年4月から同病院名誉院長。

 

NPO法人目と心の健康相談室副理事長。神経眼科、心療眼科を専門として予約診療をしているほか、講演、著作、相談室や患者会などでのボランティア活動でも活躍中。

 

主な著書に「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、「健康は眼にきけ」「絶望からはじまる患者力」「医者で苦労する人、しない人」(以上、春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社新書)など多数。

 

明治期の女性医師を描いた「茅花つばな流しの診療所」「蓮花谷話譚れんげだにわたん」(以上、青志社)などの小説もある